「……。やっぱりさあ、ラルクって馬鹿でしょ。つーか馬鹿だ」

「久しぶりの再会の第一声がそれとは、ご挨拶だな」
 奈落の入り口の手前の墓場に、やはりラルクがいた。
「だって馬鹿じゃない。
 ティアマットの呪いが解けたんでしょ。やっと奈落から離れて、自由に外界(そと)に出られるじゃない。
 なのに、何でこんなところでじっとしているの?」
 今日ティアマットの呪いが解けたことは、ラルクは誰にも告げていない。
 だが既にそれを了解しているところが、やはり双華が双華たる所以だと思う。
「白の森にいるシエラにも、やっと会いに行けるのに」
「シエラにはもう会った」
 マナストーンを奪う者、マナストーンと知恵のドラゴンを守る者。立場が違うとはいえ、ティアマットの命に従っている間に会えた。
 ティアマットが倒された後、ようやく『姉弟』として会えた。
 真紅なる竜帝の呪いで奈落に縛られている間も、いつかの言葉どおり、姉は目の前の英雄の少女と会いに来てくれた。
 姉の姿を目にし、言葉を交わし、姉の瞳を見て。
 やはり姉は姉だ。誇り高き彼女だった。
「だからもういいんだ」
「ふーん?」
 納得したとも、納得がつかないとも口調で、
「じゃあ、ラルクはどうして墓場(ここ)にいるままなの?」
 双華は聞いた。
「ここが一番分りやすいだろう」
「?」
「お前が俺を見つけるのに、ここが一番分りやすいだろう?」
「……ラルク?」
「お前が来るのを待っていた」
 ラルクは続けた。
 生き返りたいと願い続け、生き返れた。
 生前の願いでもあった、姉との再会は済んだ。
 執着、しがらみ。そういうのから『自由』になって、初めて戸惑った。
 『自由』に、『解放(じゆう)』であることに戸惑った。
 戸惑って、そして、一番に脳裏に浮かんだのは双華(おまえ)だったと。
「お前が見る世界を、俺も見てみたい」
 多分、いや絶対、ラルク一人で世界を見て回っても、それほど面白くないだろう。

 利用する者と、利用される者。誰かに命じられたとか、策謀とかでもないで。
 ただ単に何の意図もなく、彼女とただの旅をしたいと思った。
 これほど魅力のあるものはないだろう。
「……。ラルクって、さ」
「何だ?」
 「やっぱりイヌだー」よねー……。
 内心で、サボテン君の言葉にしみじみ頷く双華。
 今のラルク……主人に散歩に連れて行かれるのを待っている、大型犬(しかもシッポパタパタ揺らしてる)とダブるのは何故だ。
「何でもない。じゃあ散歩に行きましょうか」
「おい、『散歩』とは何だ?」
「何でもないって。じゃあ出かけるわよ、ポチ!」
「だから「ポチ」とは……(以下略)」












+感謝状+
ラルク萌え中に明さんに頂いた素敵SS!
もう、ラルクが可愛くて仕方ありません(萌)
散歩を待っているイヌ…!!もう、可愛すぎですね!!
ラルクが双華ちゃんのことを大好きなのがもろわかりですね。
恋愛感情抜きにしても。
こういうラルクと双華ちゃんの関係、すごく良いですよねv

ちなみに、双華ちゃんは明さん宅の女主ちゃんです。

明さん、素敵なSSをありがとうございましたー!
ラルク萌えが止まりませんっ。





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