後何回こうしていられるんだろう―――。








カウントダウン








透き通るような桃色の髪。
見た目に劣ることなく、触れればサラサラと流れていく。
「もう、暁さん! 髪引っ張るの止めて下さい!」
「うるさい。掴み心地がいいのが悪い」
「……そんなことないと思うんですけど」
困ったような顔をしながら、自分の髪を触るその仕草が愛しい。

もうダメだと思う。

意識するのが遅すぎた。
気づいた頃には、もう後戻り出来ない位置まで来ていた。

お前の隣は居心地がよかったから、……だから遅れてしまったのかもしれない。
いつの間にか側にいるのが当たり前になっていて。

「暁さん……? もう! 今度は何で笑ってるんですか!?」

可愛いから。
……言ったらきっと全部壊れてしまう。

「いやぁ、もみ子の顔があまりにも愉快でな」
「ひどいですー!」

そう、そうやってありのままに居て。
お前だけは。

俺が本当の俺になってしまっても。

……都合のいい考えだな。
俺を見せてもそのままで居て欲しいっていうのは、つまり俺自身を受け入れて欲しいって
ことで―――。

「暁さん!」
「あぁ悪い、もみ子。何か言ったか?」
「もう! 今度はちゃんと話聞いて下さいよ?」
「あ、あぁ……」

止めろ。
そんなに無邪気に顔を近づけないでくれ。

……ほら、『その時』が迫るのが分かる。

「……なぁ、もし俺様と会えなくなったらどうする?」
「えっ! 暁さん、どこか行っちゃうんですか!?」
「いや、もしもの話だ」
「そうですね……そしたら、すごく淋しいですね……」
「―――」



じゃあ、会えなくなるのと        とどっちを選ぶ?



なんて、馬鹿げた。

「暁さん、居なくならないで下さいね?」

お前が求めるのがどっちの俺か分からないけど

「おぉ」

せめて今だけ、言葉だけは。











+感謝状+
波月祈悠さんから、当サイト1周年記念に素敵SSを頂いてしまいました。
(悠羅さんの絵と一緒に戴いたのですが、折角なので分けさせて頂きました;)
ち、ちょっと奥さん、暁灯里ですよ…!!(大興奮)
動悸が止まりませんどうしましょう。
こんなシリアスでカッコいい暁さん、あまりに素敵過ぎて倒れそうです。

暁さんの独白、切なくて軽く目頭が熱くなりますな。
一度気付いてしまったら、後戻りなんて出来ないわけですよ。
色々ぐるぐる悩むわけですよ。
壊れるのが怖いわけですよ。
うわぁぁぁぁん切ないよ暁さーーん!(落ち着け)
ホント青少年らしくて凄く素敵…。(ハァハァ)

祈悠さん、素敵な暁さんを下さって本当に有難うございました…!!


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