人造人間さんのココロ




「まっこんな弟だけど、これからもヨロシク頼んますわ」
「あらあら、こちらこそ」
アリシアと暁兄のやり取りを聞きながら。
(この状況・・・暁さんが見たら卒倒するだろうなぁ・・・・・・。それにしても・・・。)
「ホントだったんだ・・・・」
━━━━あ。
声になって出ていたことに遅ればせながら気づいて、口元に手を当てる。
見れば、何事かと自分を見つめる2人と1匹。
「どうしたの?灯里ちゃん」
「にゅ?」
首をかしげているアリシアとアリア社長に対して。
「おぉ?なんだ嬢ちゃん、もしかして弟からなんか聞いてたかい?」
と、興味津々で身を乗り出す暁兄。
「はひっ!ってあ、いえいえ別に何もっ!」
あの時のことは、他の誰かには話してはいけないことのような気がしていた。
藍華はトップクラスだろうが、多分、兄であるこの人もその中に入るハズ、
「今からの話はオレの心の中に閉まっとくからよ。何聞いたんだ?嬢ちゃん」
隠し事が苦手で、頼まれると断れない性格の灯里。
どうしよーどうしよー。と、おろおろしたものの、隣に座るアリシアの興味津々の視線も感じ取って、隠し通すのは、諦めた。


とりあえず話し終えて。
「あらあらまあまあ」
「ほぉ。アイツがねえ・・・・」
ほーほー、と楽しそうに頷く暁兄。
それを見てやっぱり話すべきじゃなかったかろうかと、後悔の灯里。
「あ、お茶のおかわり、お持ちしましょうか」
アリシアが言い、おもむろに立ち上がった。
「あ、なら私・・・」
「灯里ちゃん。アリア社長をお願いね?」
はい、と抱っこを交代して、ぱたぱたと台所に消えていった。
「ぶいにゅ?」
「すいませんねぇ〜」
いいえ〜。と台所からの返事を聞いてから
「なあ灯里ちゃん。」
「はひっ」
少し緊張して、姿勢を正す。
「アイツはな。暁は、バカみてえに意地っ張りで素直じゃねえ。分かるよな?」
「・・・・な、何となく」
曖昧に頷く。実はよく分かっていないが。
「おまけに見栄っぱりときた。どうしようもねえな。よーするにガキなんだアイツぁ」
「はあ・・・・」
「だからよ。自分が昔人造人間だと思ってた。なんて話、ちらっとでもしようもんならマジギレよ。顔真っ赤にしてな」
今じゃあ厳禁句だ、と笑いながら言う。
「聞くだけでそれじゃあ、自分から話すなんてありえねえんだよ。オレも、絶対しねえ、するわきゃねえと思ってた。ところが、だ」
少しだけ笑みを引っ込めて、穏やかな表情で灯里を見つめて、
「灯里ちゃん。どーやら弟にとってアンタは別格みたいだな」
「・・・・・・。」
目を丸くしてぽかんとしている灯里に暁兄は
「改めて灯里ちゃん。あんなバカだけどよ、よろしく頼むな」
なんで頬が熱くなってきているのか。灯里には分からなかった。
急に恥ずかしくなって、俯いてしまう。
「お待たせしました。どうぞ・・・・灯里ちゃん、どうしたの?」
新しい紅茶を持ってきたアリシアが、灯里の顔を不思議そうに覗き込む。
「え。あ大丈夫です!」
「そう。・・・・あ、そうだ灯里ちゃん。これ」
さっき拾ったの。とポケットから出したのは
「灯里ちゃんの落し物」
「あ」
優しく微笑んで、灯里の手渡した、バラのしおり。
「本棚と床の間に挟まってたの。本の間から滑って落ちちゃったのね。きっと」
「あ、ありがとうございますアリシアさん!よかったぁ・・・・」
思わずしおりをアリア社長と一緒に抱きしめる。
「お。しおりにして持っててくれたのか、ポッコロの日のバラ!暁のヤツ喜ぶぞぉ」
熱が引いた頬がまた熱くなる。今度はきっと、顔も赤い。
「は、初めて貰ったお花だったしあの、枯れちゃったら寂しいなあって・・・・っ」
アリシアのいつもの笑顔と、暁兄の笑みに気づいて、灯里はまた俯いてしまった。










+感謝状+
くいっく様から、素敵な暁灯里小説を頂きました…!
人造人間ネタキターーーー!!!
もう暁さんはどんだけ灯里たんのことが好きなんだと小一時間悶々しながら
ごろんごろん身悶えておりました。逆も然り!
兄貴とアリシアさん、グッジョブ…っ
そんな秘密の話を灯里たんに話して特別扱いする暁さん。
そして、もらったバラを後生大事にしてる灯里たん。
もう結婚しちゃえよ…!籍入れちゃえよお前ら…!!!ハァハァハァハァ
すいません取り乱しました。

くいっくさん、このような素敵な小説を下さって本当にありがとうございました!






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