靖国神社の零戦 |
モダンな建物の玄関ホールに、零戦は来園者を迎えるように置かれていました。天井まである大きな窓に面して、まるで空を恋しがるように機首を外に向けています。明るい室内と白い床のため、写真撮影には絶好のコンディションです。
機体の状態はとてもきれいで、エンジンを換えれば飛行可能になりそうです。機体に触れるほど接近できて、来園者が少ないので、ゆっくりと細部を観察できます。
去年見たときは、透明度が高くキズの無い風防ガラスに違和感を感じたものですが、すべてがきれいになると不自然さは感じませんでした。
玄関ホールへの立ち入りは自由ですから、零戦はタダで見ることができます。でもここまで来たのならお金を払って2階に上がってみましょう。館内にも飛行機の展示があります。これは彗星艦爆。残念ながら程度はあまりよくありませんが、展示場所が良く、翼の上面を撮影することが出来ます。
天井から吊るされた桜花。これも2階のテラスから細部を観察することが出来ます。主翼全面に使われた頭が突き出したリベットや段の付いた風防など、粗末な作りが悲しい。
以前一度だけ訪れたことがあった遊就館ですが、そのときは古い建物に雑然と戦争の遺物が置かれている感じで、返って生々しく感じられショックを受けたものです。新しくなった遊就館は洗練された博物館に生まれ変わりました。しかしそこに展示してあるものは、神話の昔からたどる日本の戦争の歴史です。巷では反戦-平和の枕詞なしにこれほどはっきりと近代の日本の戦争について展示されることは無く、若い人にとっては新鮮に映るかもしれません。もしまだ観ていなければ、たっぷり時間を取った上、「私の国の」という一人称の自覚を持って御覧になることをお勧めします。