東京外国為替市場の仲値は廃止すべき−(2000年12月 4日)

一体、何時から東京市場において「仲値」なるものが登場したのか、私は正確には知らない。
多分、外為管理法が昭和24年12月1日に制定され、同12月5日よりTTS/TTBが、外国為替管理委員会により、制定された頃に「仲値」も採用されるようになったものと推測する。因みに、この頃のTTS/TTBの開きは、それぞれ1円20銭であった。 ということは、この時代に「仲値」が採用されだしたのではあるまいか。

現在のTTS/TTBは、米ドルの場合仲値プラス、マイナス1円であるが、以後、50年余りにもわたり、毎営業日飽きもせずに1ドルが360円と定められた昭和24年から、110円前後の今日まで仲値制度は生き残り続けて来た。否、現在もわが国における、外国為替取引の根幹ともいえる指標となっている。

欧州の各主要市場では、伝統的なブースにおけるフィクシング制度があり、フィクシングで取引を希望する顧客の取引を銀行が持ち寄り、値決めを行う慣行が残っているが、その場に持ち込まれた値決めするがけのものであり、その他の取引に強制力を伴うものではない。昨年のユーロの登場により、恐らくブースの役割も全く異なったシステムへと変遷してゆくことであろう。

先進市場にあって、わが国と同様の仲値制度を取っている市場を私は知らない。 ニューヨーク、ロンドン、シンガポールと何処の市場でも、市場の動きに合わせたレートが、対顧客取引でも適用されており、基本的に一日の取引に同一のレートが適用されるのは変動相場が導入されて以来、約30年を経た今日、又コンピユーターがこれだけ普及している時代にあって、何らかの見直しが必要であろう。

さてわが国の外国為替市場におけるフィクシングー仲値決めーは毎営業日における午前10時ごろの市場レートを参考に決められており、この仲値をベースに外貨の両替レートが決められ、輸出入決済のレートに適用されている。米ドルの場合は、一部の外銀を除き、5銭刻みとしているが、コンピューターがこれだけ発達した現在、何も計算上の便宜だけで5銭刻みとする必要もなかろう。

最近までは、東京三菱銀行の呈示する仲値にほとんどの銀行が合わせていたが、今年に入って日本興行銀行と富士銀行が独自の仲値を呈示し始めたことは、喜ばしいニュースとして本稿9月1日号にも書かせていただいたとうりである。コストも取引高も異なる銀行が、何も東京三菱に合わせるのは、護送船団方式をそのまま引きずっているだけで、あくまで自行のコストを反映したレートとスプレッドを呈示すべきであろう。勿論、競争原理がそこに働かなければならないのはいうまでもない。

現在のシステムでは、市場レートが仲値から1円動くと10万ドル以上の取引は市場連動制が適用され、2円動いた時点で10時現在の仲値が取り消され、改めて取引レートが立て直されるという取り決めも各行の部門採算に任せたほうが、時代にマツチしているように思われる。

ビッグバンを目前に控えた現在、全ての銀行が同一の価格体系の枠の中で、外国為替取引を行ってゆくのには、無理がある。
従前からの「慣れ」が先行し、新たな改革には抵抗もあろうが、もうこの辺で50年来のやり方を根本的に見直す時代が到来していることは、間違いあるまい。