2002年6月11日ボローニャ歌劇場の清教徒を東京文化会館で観てきた(聴いてきた)。

予想に違わず、今世紀最高のグルベローヴァ、サッバティーニ、ヌッチ、ダルカンジェロ、

グルベローヴァの旦那ハイダー指揮など、清教徒上演における最高のエポックと受け取れるような素晴らしい上演であった。

サインをもらうため並んだため、終電車の午前様(飲まないで)となってしまった。

グルベローヴァは軽やかさが多少失われたが、高音の輝き、ベルリーニの旋律線の歌い回し、エルヴィーラの悲しみと喜びの音色と演技、それぞれ充実していた。サッバティーニも、アルトゥーロはこれが最後と言っていたため、困難な高音部、特に弱音、ディミュニエンドのコントロールは抜群で、第一幕のCIS、第三幕のCISなど、清教徒の聴かせ場をバッチリ決めて、わたしも久しぶりに熱くなってブラーヴォと何度も叫んでしまった。(年を考えたが)

ここはモッフォのページなので、本題に入ろう。

モッフォは、デビューから60年代の後半まで、清教徒を得意のレパートリーにしていた。

正規録音は残されていないが、幸いなことの2種類のプライベート盤が残されている。

@メロドラム盤 1959年 放送録音 モノラル

指揮 マリオ・ロッシ RAIミラノ管弦楽団、合唱団

   E=モッフォ A=G・ライモンディ R=サバレーゼ G=アリエ

Aエンコーナ盤 1967年 ライブ録音 モノラル

指揮 グァルダーニョ フィラデルフィアオペラ管弦楽団、合唱団

   E=モッフォ A=デュヴァル R=アウセンシ G=ジャイオッティ

@ 放送録音のため、音はまあまあ。モッフォは全幕に高音の冴えをみせ、アリアや幕の最後、

    最高音のCも立派。1幕の「私は愛らしい乙女」の歌い回しのうまさ、2幕の狂乱の場での

    切実さなど、そこに全盛期のモッフォがいる。ライモンディは得意な役として活躍した

    テナーだが、ステファーノに迫る歌唱である。ただしFは出していない。

ロッシの指揮は劇的な展開をみせ、単なる伴奏に落ちっていないのが好ましい。

習慣的カット版。

このCDは、USAの海賊版でしか現在は入手できない。

A ライブの隠し撮りのため、音は悪い。

  声帯障害を起こし始めた頃のモッフォだが、思いの外、状態が良い。高音の冴えは

  @に劣らず素晴らしく、ライブらしい乗りが第2幕から終幕に向けて高揚する。

  デュヴァルは、サザーランドの最初の全曲版で歌っているが、得意役としただけあり、

   3点CIS止まりだが、立派な高音と歌い回しを聞かせる。グァルダーニョは、職人的

   伴奏にとどまるが、十分に作品の美しさは伝えている。 

  このCDは、エンコーナレベルで輸入でしか入手できないが、一時期タワーレコード渋谷で見かけたことはある。

                

  

 

                2003年8月15日