2010年 1月10日 (日)

  市民協働を「社会的ジレンマ」として考える
 本書には直接の言及はないのですが、読みながら「市民協働」に思いをはせましたので、その側面からご紹介。
 おそらく、全ての自治体が総合計画など、何らかの形で市民協働を掲げていることでしょう。ですが、これまたほとんどの場合、協働の呼びかけは行政の側から一方的に行なわれているはずです。さまざまな理由付けにもかかわらず、根本的に、市民の側には行政と市民協働しなければならないインセンティブは存在しないのです。
 市民協働は、本書でも詳しく解説されている「社会的ジレンマ」そのものといえます。
(1)市民がみんな参加すれば社会が良くなることは分かっている。
(2)しかし、「私」が参加するコストは払いたくない。

 おそらく、(1)の理屈だけでは「私」は参加コストを受け入れないでしょう。人間が利他的(に見える)行動を起こすには、何らかの個人的なメリットまたは心理的圧力が必要なのです。では、現に成功している市民協働の事例で、人を動かしている要因は何なのでしょう。それを探し出すためにも、社会的ジレンマの研究を学ぶことは有用に思えます。
 本書は、めんどくさそうなタイトルが付いていますが、要は「人間は、周りとの関係がどうなったときに行動を起こす動物か」、という視点から社会心理学を分かりやすく解説したもので、お勧めできる入門書です。市民協働の実務家の方には、人間の本質に合った施策を見つけ出すためにも参考になると思います。
 

複雑さに挑む社会心理学―適応エージェントとしての人間 (有斐閣アルマ)
亀田 達也,村田 光二
有斐閣
1999-12
¥ 1,995
ISBN: 4641120811
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