2010年12月26日 (日)

  日本は世界第5位の農業大国
 副題「大嘘だらけの食料自給率」が、本書のテーマです。
 日本の食料自給率(カロリーベース)は2009年は40%で、農水省が食料安全保障の根拠としています。ところがこの数字、計算根拠は非公開で、世界で日本以外には計算している国すらないというのですから驚きです。
 なぜ、日本だけがそんな特殊な統計を使っているのか?
 ウルグアイラウンド交渉の際、農水省が、自給率が低く見えるよう自給率の根拠を「生産額ベース」から「カロリーベース」に恣意的に切り替えてしまったというのです。さらに農業生産額では、実は、書名のとおり世界第5位。
 そのうえで著者は以下のように主張します。
  ・農水省は食料自給率で危機感をあおり、利権構造を延命している。
  ・日本農業弱者論を国民に刷り込み、農業の抜本改革を阻害している。
  ・日本農業は潜在力があり、成長産業となる可能性がある。
 取材は綿密で、積み重ねた数字には説得力があります。

 これまで日本の農業は、農業=故郷・地域という枠組みの中で考えられてきました。しかし、TPPやFTAなど、世界的な貿易自由化の流れを防ぐことは、もはや困難でしょう。本書でも述べられているように、日本農業を世界市場の中の「産業」として見直し再構築していくことは、国・地方、いずれの立場からも急務といえそうです。

 農水省を一方的な悪役としている部分には違和感を覚えますが、これからの日本農業・地方を考えるためにはぜひ読んでおきたい一冊です。
 

日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率 (講談社プラスアルファ新書)
浅川 芳裕
講談社
2010-02-19
¥ 880
ISBN: 4062726386
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