2014年 9月25日 (木)

  天気予報はこの日「ウソ」をつく
 自然災害が頻発し、自治体職員も気象の知識が不可欠な時代になってきました。しかし、そもそも気象予報がどうやって出されているのかについて我々が知る機会はありません。

 本書は、「天気予報を出す組織や会社は今何をやっているのか」について解説した本です。予報が外れる理由から始まって、気象予報が持つ原理的な困難さ、気象庁や民間予報会社が今抱えている課題や挑戦について幅広く紹介されています。

 印象に残ったのは、民間会社のウェザーニュースの的中率が気象庁を上回るようになった理由が、全国400万人の個人レポーターのデータにあったことです。一方、気象庁は人員削減で、人間による観測をどんどん減らしてきた結果、データの見落としや誤測定も懸念されているというのはショックです。

 また、欧米では従来からマスコミの天気予報は防災を重心を置き、地域生活者の立場に立った報道をしているそうです。東日本大震災を機に、日本でもようやくリスクコミュニケーションの重要性が認識されてきましたが、市民目線で使いやすい情報提供はどうあるべきなのか、考えさせられます。

 著者は日経新聞で科学記事担当や欧米支局勤務を長く務めた記者ですが、実は筑波大大学院で環境科学を修めた理系の人で、気象予報士でもあります。このため、科学的な基本と欧米の状況をきっちり踏まえており、今日の気象予報の全体像が分かりやすく一望できます。

 防災等で必要になる詳細な知識までは踏み込んでいませんが、本書を一読しておけば、専門的な解説書も理解しやすくなりそうです。
 


天気予報はこの日「ウソ」をつく (日経プレミアシリーズ) 
安藤 淳
日本経済新聞出版社
2014-08-09

¥ 918
ISBN: 4532262550
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