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  •  債権管理条例制定後の不納欠損処理について
    SSE - 2011/01/26(Wed)   No.28347

    はじめまして。自治体で水道料金の担当をしている者です。

    現在、本市では水道料金の不納欠損を行い、簿外の管理を行っているところですが、
    今回、市町部局全体の債権管理条例が出来ることで、簿外管理していた水道料金について
    債権放棄を行う予定です。

    しかし、今までは本市の財務規則で下記の通り定めてあり、
    歳入が、次の各号の一に該当する場合は、不納欠損として処分することができる。
    (1) 権利の放棄について、法第96条第1項第10号の規定による議会の議決があつたとき。
    (2) 法第236条、地方税法(昭和25年法律第226号)第18条第1項又はその他の法律の規定により消滅時効が完成したとき。
    (3) 地方税法第15条の7第1項の規定による滞納処分の停止が3年間継続したとき。
    (4) 地方税法第15条の7第5項の規定により滞納処分の停止後直ちに納税義務を消滅させたもの。
    (5) 令第171条の7第1項及び第2項の規定による免除がなされたとき。

    現在、水道課と財政課との間で、「今までは財務規則に反して(条例上正しくないが方針決裁により債権管理条例が出来るまでは不納欠損→簿外管理を行っていた)不納欠損を行っていた過年度分については、一度不納欠損を取り消して、債権放棄→不納欠損という手続きを取る必要があるのでは?もしそれが不要であれば根拠は何か?」ということになってます。

    不納欠損はあくまで会計上の処理であり、また過年度ですでに不納欠損処分をしているものを取り消す…ということは会計上考えにくいのですが。我々としては「あくまで過年度分は債権放棄の議会への報告だけでよい」と考えたいところです。

    最近、同じようなケースで過年度の不納欠損処分を行われた自治体の担当者様や法律等詳しい方、ご教示お願いします。



     Re: 債権管理条例制定後の不納欠損処理について
    むかし法規 - 2011/01/26(Wed)   No.28350

    単なる興味ですが、「債権放棄」はどのような形式で行う予定ですか。
    「債権放棄」とは、抽象的な用語で、債権を実体法的に消滅させるためには、(債務者に到達して法的効果が発生するところの)債務免除の意思表示(民法519条)が必要だと思いますが(債権管理条例ができても事情は変わりようがない)。
    なお、いわゆる私債権について、時効期間が経過しただけでは、(2)にいう「消滅時効が完成したとき。」に当たらないという考え方が前提ですね。

    (追記)あ、「過年度分」だから、そもそも時効期間が経過していないと。

    (追々記)あと、単に、自ら定めたルールで、対外的な取引の安全などを考慮する必要がなければ、ルール違反の行為の“効果”(要するに内部的な意味づけ)をどう評価するかは団体さんの裁量で、“取消し”という言葉が適当かどうかは別として、そもそも“効果”は生じていなかったと整理する(内部的に、そのような行為はなかったと考えることにする)ことはあるでしょう。この場合も、債権管理条例の有無とは、無関係のように思えますが。
    財政課さんの真意は、なんでしょう?


     Re: 債権管理条例制定後の不納欠損処理について
    市太郎ver.2 - 2011/01/26(Wed)   No.28360

    債権管理条例があれば、私債権を放棄するのに議会の議決が必要なくなるため、現実には回収不能な価値のない債権について、積極的に債務の免除や放棄の規定を活用して、欠損処理を進めることができます。
    そういう意味で債権管理条例の有無により事情は大きく変わるでしょう。

     ところで、私の認識だと私債権は債権放棄や免除をしてから不納欠損は行うもの、又は同時に行うものと思っていましたが、いきなり不納欠損により調定減してしまうのは、財務規則違反というより自治法に違反していませんか?
    それと、私が不勉強なだけかも知れませんが、既に不納欠損してしまったもの、特に決算認定が終わったものまで過去に遡及して取り消すことはできないのでは?


     Re: 債権管理条例制定後の不納欠損処理について
    むかし法規 - 2011/01/26(Wed)   No.28365

    >市太郎ver.2 さま

    自治法のどの条項に、どのように違反しているかの明示がないと、スレ主さんとしても答えようがないと思いますが。


     Re: 債権管理条例制定後の不納欠損処理について
    SSE - 2011/01/27(Thu)   No.28379

    むかし法規様 市太郎様 回答ありがとうございます。

    債権放棄と不納欠損の関係性については、このフォーラム上でも何度か取り上げられていると思います。
    私の認識では、自治法上で不納欠損の定義はなく、あくまで行政の会計上の処理である…
    と考えてます。(債権放棄は自治法96条の10ですね)
    よって、H15年の最高裁の判決後、今でも「水道料金は民法の2年の時効適用→その後不納欠損し、債権放棄せずに簿外の管理で支払の申し出があれば雑入で受ける」という処理をしている自治体が多くあります。


     Re: 債権管理条例制定後の不納欠損処理について
    むかし法規 - 2011/01/27(Thu)   No.28381

    議会の“権利放棄”議決はともかくとして、その後の債務免除の意思表示(要するに、実体法上の債権の存否)については、特に考慮しないという前提ですね。であれば、特にコメントはありません。失礼しました。
    なお、不納欠損の認識については、概ね同感ですよ、はじめから。

    (追記)「簿外の管理で支払の申し出があれば雑入で受ける」の意味は、受領しても不当利得にはならない(要するに、翻意した相手が“返してくれ”と言ってきても返さなくていい)ということでしょうが、議会で“権利放棄”の議決をしても、債務免除の意思表示がなければ、債務は消滅せず、結局、(債権管理条例を制定すれば、いちいち議決を経る手間は省けるとしても)債権の存否については、何も変わらないのではないかという疑問でした。


     Re: 債権管理条例制定後の不納欠損処理について
    SSE - 2011/01/27(Thu)   No.28382

    むかし法規様
    するどい指摘ありがとうございます! 
    債権管理条例(案)
    第○条 市長及び管理者は、市の私債権について、消滅時効の期間が経過したときは、
    当該市の私債権及びこれに関し既に発生した履行の遅滞に係る損害賠償金その他
    の徴収金を放棄することができる。
    2 市長及び管理者は、決算を議会の認定に付する際に、前項の規定により放棄した私債権に
    ついて議会に報告するものとする。

    とされており、
    ●「債権放棄」とは、抽象的な用語で、債権を実体法的に消滅させるためには、(債務者に到達して法的効果が発生するところの)債務免除の意思表示(民法519条)が必要だと思いますが(債権管理条例ができても事情は変わりようがない)。
    ⇒これについては全く考慮してないみたいです。(焦)

    ●あと、単に、自ら定めたルールで、対外的な取引の安全などを考慮する必要がなければ、ルール違反の行為の“効果”(要するに内部的な意味づけ)をどう評価するかは団体さんの裁量で、“取消し”という言葉が適当かどうかは別として、そもそも“効果”は生じていなかったと整理する(内部的に、そのような行為はなかったと考えることにする)ことはあるでしょう。この場合も、債権管理条例の有無とは、無関係のように思えますが。
    ⇒正にその通りだと思います。結局これに関してはほぼ内部的な問題ということでしょうね。


     Re: 債権管理条例制定後の不納欠損処理について
    市太郎ver.2 - 2011/01/27(Thu)   No.28397

    私法上の債権に係る不納欠損処分については、従前は時効の完成により議会の議決を要せず不納欠損処分を行い得るとされていましたが、昭和46年の最高裁判決以降、時効による消滅の判断ができないため、それに係る不納欠損処分に当たっては「権利放棄」に係る議決を経て、この債権を不納欠損として整理することが必要であるとされています。
    この意味において、自治法違反ではないかという指摘をさせていただきました。
    また、この点について過去にも議論があったかも知れませんが、地方財務実務提要2巻5521〜5522頁にはそのように書かれています。
     なお、不納欠損した金額は、調定減額しないということと、議会の決算認定後も議決を経て修正が可能であるようですので、この2点については上記私の書き込みが間違っておりました。お詫びして修正します。

    私も財務の経験がなく、詳細な実務については承知しておりませんが、大変失礼ながら、むかし法規さんも同様と推察いたします。
    できれば、財務に長けた方のご意見をぜひ伺いたいと思います。


     Re: 債権管理条例制定後の不納欠損処理について
    楽天イーグルス - 2011/01/27(Thu)   No.28401

    すでに、過年度収益修正損か何かで会計上、処理しているんですよね。
    債権放棄→不納欠損という手続をとる際には、貸借対照表などはどのようにするつもりなんでしょうか?

    個人的には、既に会計上処理しているものであれば、そのような手続は今さらできないと思いますが。

    会計上は処理したけれど、債権としてはまだ持っているということで、債権放棄のみの手続になるのではないでしょうか?


     Re: 債権管理条例制定後の不納欠損処理について
    むかし法規 - 2011/01/27(Thu)   No.28404

    市太郎ver.2 さま

    最高裁が、地方自治法の解釈として、不納欠損という会計処理をするためには、権利放棄の議決を必要とする、と判断したということでしょうか? 
    時効期間の経過の客観的な認識は、議会で議決すればできるといものでもないので、もっぱら、今後は積極的には徴収に努めない(要するに、会計上未収金とは取り扱わないこととする)という、自治体の意思の決定の面?

    結論だけはなく、簡単でも、論理過程を示していただければ、ありがたいのですが…。
    ネットの匿名掲示板という限界はありますが、それなりに論理的な議論をしたほうが楽しいという趣味にすぎませんけど。

    >昭和46年の最高裁判決以降、時効による消滅の判断ができないため、それに係る不納欠損処分に当たっては「権利放棄」に係る議決を経て、この債権を不納欠損として整理することが必要である

    (追記)ネットの匿名掲示板、楽しみを超えてリアルの仕事の参考にするということであれば、手元で確認可能な具体的な文献・判例の引用と、各人が自分の常識に照らし共感できる論理ぐらいでしょうか。もちろん、経験を踏まえた論理は説得力に富みます。


     Re: 債権管理条例制定後の不納欠損処理について
    市太郎ver.2 - 2011/01/27(Thu)   No.28410

    むかし法規さん

    大変失礼をしました。
    不納欠損に関するものではなく、おそらくむかし法規さんもご承知の判例です。
    参考文献としてあげた書籍には詳細に書かれていますが、判決の要旨を要約すると、
    私法上の金銭債権の消滅時効については、民法145条が適用され、当事者が時効を 援用しない以上、時効による消滅の判断をすることができないというものです。

    つまり、むかし法規さんが最初にご指摘していたことです。


     Re: 債権管理条例制定後の不納欠損処理について
    むかし法規 - 2011/01/27(Thu)   No.28417

    >市太郎ver.2 さま

    お手数おかけしました。感謝。

    この問題、
    1 時効期間が経過してしまった債権については、回収の見込みが乏しいので、予算から落とす
    2 時効期間経過前に、事情があって、回収しないこととしたい債権については、予算から落とす
    の、1については恣意的な運用の心配は少ないので議決事項としない、2については恣意的な運用が懸念されるので議決時効とする、
    かつ、いずれにしても、その後も納めてもらえれば、それにこしたことがないので、あえて債務免除までする必要はないから、「簿外管理」する、という取扱いが合理的であることは明らか。それを端的に不納欠損と呼べればよかったと。
    (なお、2については、相手の不安定な立場に配慮し、場合によってはきちんと債務免除までするというバージョンもあり?)

    ところが、自治法が、民法学では実益はなく、詳しい解説書で趣味的に論じるところの、「権利の放棄」なる概念を議決事項として定めてしまったのが混迷の第一。権利放棄もしないで、回収をあきらめるわけにもいかないだろうと。
    さらに、そもそも、民法と民事訴訟法の両法を合わせ見れば、(私の感覚では、)時効とは、訴訟において、相手の請求を封じるための抗弁として援用されるところに意味があるところ、訴訟を離れた状況で考えてしまうことが混迷の第二(訴訟外での時効の援用により、実体法的に、完全に債務が消滅するという考え方、民法学で通説でしたっけ? 実益がないので、本気で論じられていなかったような記憶が…)。

    「時効の援用」あるいは「債務免除」により、債権が、自然債務的意味においても消滅しなければ、不納欠損としないという考え方(あるとすれば)の見直しが出発点だと感じています。
    ただ、「権利の放棄」という明文の規定を、「時効完成前の債権を予算から落として簿外管理する意思決定」とまで解釈することは、裁判所は躊躇せざるを得ないのでしょうね、当然ですけど。判決による立法になってしまう。

    >SSE さま

    上記の意味で、債権管理条例で、債務免除までやらない、考えない、というスタンスは、きわめて常識的だと思っています。
    自分用の覚え書を兼ねてますので、長文失礼。自治法の制度設計と、それをその場しのぎで適当に弥縫している行政実例の悪口になってしまうのは、いつものことですが。


     Re: 債権管理条例制定後の不納欠損処理について
    あお - 2011/01/27(Thu)   No.28420

    議論が大分出たところで恐縮ですが、
    @「簿外管理の債権を一度不納欠損を取り消して、債権放棄→不納欠損」とあるのは
    楽天イーグルスさんの言うように
    「会計上は処理したけれど、債権としてはまだ持っているということで、債権放棄のみの手続になるのではないでしょうか?」に同感です。
    企業会計上、要は不良債権を抱えたままでは、荷が重いので簿外管理して権利放棄しているということではないのでしょうか。会計上の問題であって簿外管理自体は根拠は乏しいと考えています。
    本来は簿外ではなく、毎年の会計上で権利放棄して欠損する方が、より適切ではないのでしょうか。

    A「過年度分は債権放棄の議会への報告だけでよい。」とあるのは、権利放棄を議会の議決にかからしめるのでなく、条例で権利放棄を規定した以上は長限りで権利放棄できることと考えます。
    議会への報告は義務ではありませんが、行政側の恣意的な放棄とならないような一つのチェックのあり方と考えます。
    しかし、権利放棄できる事由が問題で、自治体の債権も国の債権管理取扱規則30条のみなし消滅と同様の事由でなければ恣意的な権利放棄がまかり通ることになると考えます。
    (自治体も国もどうにもならない債権は同様です。国と違って自治体の場合は1件ごとに議決を得るか、権利放棄の規定を条例規定するかどうかです。)

    なお、誤った不納欠損の債権は、不納欠損自体が行政内部の扱いであるため、復活して調定することは差し支えないと考えます。
    判例も確か同様の復活できる旨を示唆しています。(H19.8.8水戸地裁)
    「不納欠損処理は,納税義務が消滅した場合や,租税債権の確保の見込みがなくなった場合に,既に調定された歳入を表示するために実施される措置であり,自治体の内部行為にすぎない。また,これに関する一連の事務手続も,地方自治体の会計上の内部的帳簿手続の問題であり,納税義務を消滅させたり,租税債権を放棄したりする効果を有するものではない。」


     Re: 債権管理条例制定後の不納欠損処理について
    むかし法規 - 2011/01/28(Fri)   No.28428

    閑話になりますが、
    債権管理条例の法的興味といえば、議会の議決によらない「権利の放棄」の方式。
    「権利の放棄≠債務免除」と整理した場合(常識的にはそうなりますね、議会の議決だけで債務免除の効果が生じるはずもない)、一般的には、権利の放棄はできないはずはない、というぐらいの言及で、その方式は確立していないはず。
    議決であれば、「次に掲げる債権は、放棄する」というような議案で可決すればいいだけですが、首長さんは、どうやって“権利放棄”するのか。
    「権利の放棄」、私法上の概念というより、自治法が創設した概念と理解すればいいだけなのですが、そうすると、議決という方式以外でそもそもできるのか? という疑問が生じてしまいます。
    実務的には、通常の起案・決裁により、“権利放棄”しているのでしょうかね、外部的には表示されることなく。


     Re: 債権管理条例制定後の不納欠損処理について
    SSE - 2011/01/28(Fri)   No.28429

    むかし法規さま 市太郎ver.2さま 楽天イーグルスさま あお様
    大変貴重な意見ありがとうございます。
    私の知識の範疇を超えた議論でしたので、皆様の回答をじっくり勉強させていただきます。