Q.41 架空請求
数ヶ月前から、自分の携帯電話に頻繁に利用請求のメールが来るようになりました。
先日、その1つだと思うのですが、メールに書いてあったHPアドレスをウッカリ見てしまいました。
すぐに終了させようとしたら、「ご登録ありがとうございました」という表示が出たような気がします。請求のメールには私のIPアドレスが書かれているので気持ち悪いのですが、無視してしまって大丈夫でしょうか?



A.41 回答
(1)相談内容によりますと,相手には請求メールに自分の携帯のIPアドレスが書かれているということですが,まずこれはどういう意味ですか。
 携帯のIPアドレスが書かれているということは,サイトを閲覧するために,自らの携帯電話情報を送信している場合だと思います。
この場合,多くの料金請求のサイトには、金額だけではなく,「ご登録完了しました。」「携帯電話情報を送信します。」とか「あなたの携帯の個体識別番号と手続きを完了しました。」と標示されます。

(2)携帯の個体識別番号が表示されるということは,利用者個人の情報が相手に伝わった可能性があるのではないでしょうか。
確かに,自分の携帯の個体識別番号や,位置情報,携帯のメールアドレスという個人情報を入手したかのような画面が表示されれば,不安になります。
 しかし,個体識別番号とは,通常@携帯電話会社名と端末の機種や、A業者が勝手に付与したIDという意味しかありません。
また,メールアドレス等の個人情報を入手したかのように装っているだけで,実際に個体識別番号から直にメールアドレスを入手することもできませんし,位置情報から個人情報が漏れることもありません。
 したがって,「個体識別番号」から個人情報が伝わることはないので、このようなサイトにアクセスしてしまっても慌てないことが大切です。

(3)それでは,今回の場合,うっかり見てしまったということですが,どうすれば良いですか。
 @ まず,そのサイトの利用規約を確認します。そして,利用規約が存在しないようなサイトの場合は,無視をすることで十分だと思います。
 A 次に利用規約がある場合にどうするかですが,その場合は,利用規約の内容をよく読んで確認することが必要です。
  電子消費者契約法では、事業者は、消費者に対して申し込み内容を再度確認させるための画面を用意する必要があるので、
このような確認措置が無いような場合、その申し込みは無効であると主張することができます。
 
(4)今回の相談者の状況がよく分かりませんが,仮に相談者が利用規約に同意した上,サービスを利用した場合はどうなりますか。
 その場合には,支払い義務が発生するおそれがあります。
 但し,携帯電話の操作如何にかかわらず,例えば,「いいえ」や「NO」ボタンをクリックしても、「登録完了」画面になる場合もありますが,
そのような画面では、確認措置があることにならないので、申込みの無効を主張できます。
 また,利用者登録や電話発信等をする段階で、業者側は消費者に対し、様々な方法により誤動作防止の為の措置を講ずる義務があります。
その措置を講じていないため,消費者が登録や契約の申込みをしてしまった時は,錯誤として契約の無効を主張できる場合も多いです。

(5)支払い請求が来た場合にどういうことを注意したら良いでしょうか。
 @ 自ら納得して同意したといえない場合には,支払う義務はありません。氏名、住所、電話番号などの個人情報は絶対に伝えない方が良いと思います。
相手の連絡先が記載してあったとしても、自ら連絡せず、無視することが一番よい対処法です。
 A 但し,最近、「少額訴訟・支払督促」制度を悪用した架空請求の被害報告があります。
裁判所から請求がきたような場合には,悪質だから全て無視したらいいということで処理しますと,非常にまずい事になります。
裁判に欠席すると(欠席裁判と言います)残念ながら業者の勝訴となり、その判決を根拠として請求されてしまいます。

(6)一般的な注意点
 これらの不当な料金請求は、出会い系サイトやアダルトサイトによく見られますし,
一方的に送られてくる勧誘メールに安易に登録したり、返信したりする行為が原因となります。
おもしろ半分や興味本位で、届いた勧誘・広告メールに記載されたURLをクリックするのはやめた方がいいです。




Q.42 お金の貸し借り
先日、友人に頼まれて口約束だけでお金を貸しました。金額は100万円ほどです。口約束だと、返済義務も含めた「契約」にはならないのでは?
彼の事は信頼していますが、こういう事はキチンとした方がお互いのためかとも思い始めました。やはり一筆書いてもらった方がいいのでしょうか?

 

A.42 回答
(1)お金の貸し借りというのは法律的にはどういう契約になるのでしょうか。
 お金の貸し借りは,民法上は消費貸借契約ということになります。この契約は,@お金を返すという当事者間の合意と,Aお金を交付することよって成立します。
 書面の作成は,契約の成立要件にはなりませんから,口約束だけでも,契約は成立しますし,借りた人の返済義務もあります。

(2)問題はお金を借りた相手方が自らの意思で返済してくれない時です。
 この場合,返さない相手に対して裁判を起こして争う必要がありますが,通常の場合,お金を貸したと主張した人が,
裁判所から返済を命じる判決を得るためには,次の3点を証明しないとしけないことになります。
 @相手方との間で金銭を返すという合意があったこと,A実際に金銭を交付したこと,Bお金を返す期限である弁済期が到来したことです。

(3)それはどのように証明すれば良いのでしょうか。
 それを証明する方法には原則として制限はありません。相手方との金銭のやりとりや交渉経過を全てビデオに作成しており,
そのビデオを見れば,上記の要件が,全て客観的に判断できる程度に,具体的に撮影されているならば,それでも足りると思います。
ただ,あまり合理的な方法ではありません。

(4)それでは実際にどうすれば合理的な証明ができますか。
 やはり,具体的に貸し付けた金額,返済日は何時か,ということ等を明確に記載した契約書を作成しておくことが,一番合理的な証明方法ということになります。
 通常は,契約書に本人の実印を押印し,印鑑証明書を添付することによって,その契約書の信用性を高めることになりますが,
契約書の署名が手書きで記載されており,本人の筆跡が確認できる内容であればそれでも十分です。

(5)今回の場合,結論的には,どうすればよいでしょうか。
 相手が返さないとかというトラブルにならないようにする意味でも,トラブルになったときの防御の意味でも,やはり契約書を作成した方が良いと思います。
思い切って,契約書の作成を伝えたほうが良いでしょう。



Q.43 国選弁護人
今テレビドラマになっている「国選弁護人」は、国が選ぶ弁護士ですよね。
どんな仕組みで選ばれるんでしょう?くら先生は選ばれた事がありますか?



A.43 回答
(1)国選弁護人とはどういう弁護人なんでしょうか。
 一般的に知られていると思いますが,刑事事件については,捕まった人やその家族が個人的に依頼する私選弁護人と,国家が弁護人を選任する国選弁護人があります。

(2)どのように選任されるのでしょうか。
 選任の方法は,弁護人の選任が不可欠である必要的弁護事件と,弁護人の選任が任意である任意的弁護事件で若干異なりますが,
一般的には,私選弁護人の選任がなされない場合に,国選弁護人が選任されます。その選任方法ですけど,各地の弁護士会により若干異なっています。
 金沢弁護士会では国選弁護人希望者が国選弁護人名簿に登録しています。
そして,国選弁護人の依頼があった日時にその名簿に登録されている会員が選任されるという手続きになります。

(3)国選弁護人は,何時の時点から,選任されるのでしょうか。
  以前は,起訴された被告人のみが国選弁護人の選任を請求できましたが,今では原則として,勾留された段階から国選弁護人の選任請求ができます。

(4)国選弁護人の費用はどうなるのでしょうか。
 国選弁護人の費用負担は事案によって異なります。
注意しないといけないのは,国家が国選弁護人を選任するということと,国選弁護人の費用を本人が負担するのか免除されるのかは別個の問題です。
被告人に資力が十分にあるような場合には,国選弁護人を選任したとしてもその費用を負担しないといけない場合もあります。

(5)国選弁護人になったことはありますか。
あります。

(6)どのくらいありますか。
  弁護士になった頃は,国選弁護人に選任される機会は,1年間で10件近くありましたが,最近では年間5件前後のような感じです。
 参考までに,昨年度の事件,平成22年の1月から12月までに受任した,国選弁護事件を調べて見ましたが,
住居侵入窃盗未遂事件,覚せい剤取締法違反事件,常習累犯窃盗事件,公文書偽造等事件,貸金業違反事件,放火事件等6件ありました。
今までで多分100件以上の国選弁護事件をしていると思います。

(7)裁判員対象の国選弁護事件はありますか。
 昨年受けた放火事件は裁判員事件でした。
 裁判員制度が始まってまだ数年ですから,まだ1度しか経験はないですが,これまで裁判員対象となるような殺人,強盗傷害事件,放火事件などの国選弁護事件は,何度も受任していますから,
今後も裁判員対象の国選事件を受けることもあり得ると思います。


Q.44 ネットオークションでのチケット転売
先日、インターネットのオークションを見ていて、疑問がわいてきました。
アイドルのコンサートチケットとか、スポーツの入場券が売りに出されていたのですが、これって「ダフ屋行為」には、あたらないのでしょうか?個人で何かのチケットを買って、何か理由ができていく事ができないから転売したいのか、それとも、最初から転売が目的でチケットを買ってオークションに出しているのか、正体が分かりませんよね。こうしたチケットの売買は、どんな場合、違法になるんでしょうか?




A.44 回答
(1)ダフ屋行為については,刑法上取締の規制がなされておらず,各都道府県の条例によって規制されています。
 例えば,石川県では,公衆に著しく迷惑をかける暴力的不法行為等の防止に関する条例の6条に(いわゆる迷惑防止条例)に規制されています。

(2)条例の内容についてどうなっていますか。
 条例の内容は,少しややこしいですが,要するに6条@では、転売目的で公共の場所で乗車券やチケットなどを買う行為を禁止しており、6条Aでは、転売目的で得た乗車券やチケットなどを公共の場所で売る行為を禁止しています。
 そうすると,いわゆるダフ屋さんが取締の対象にされるのは,最初から転売目的で公共の場所でチケットを買い、公共の場所で売るから問題なのです。

(3)違反した場合はどうなるのでしょうか。
 その違反に対しては,50万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。常習として前項の違反行為をした者は、六月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処すると規定されています。

(4)ネットオークションの場合はどうなるのでしょうか。
例えば,インターネットオークションで、個人間のチケット売買が多く行われていますが、
中には、最初から転売目的でチケットを購入して頻繁に転売を繰り返し、多額の収益を得ていると思われる『チケットゲッター』と呼ばれる人たちがいます。問題はこの人達が取締の対象になるかです。
ネットオークションの場合でも,転売する目的,公共の場所で購入することを禁止していますから,チケットを買う行為は「ダフ屋行為」であり『迷惑防止条例』違反を犯していることになります。
たとえ個人間の売買であろうと、転売する者はコンビニエンスストア等でチケットを購入した段階ですでに『ダフ屋行為』をしているのです。

(5)これに対して,元々行こうと思って購入したコンサートのチケットが偶々行けないから売る場合はどうでしょうか。
この場合,その人は、公共の場所で購入はしていますが,転売目的でそのチケットを購入したわけではないですから,迷惑防止条例では処罰されません(=犯罪になりません)。

(6)結論としては,個人で何かのチケットを買って,何か理由ができて行く事ができないから転売したい場合はダフ屋行為にはなりませんが,
最初から転売が目的でチケットを買ってオークションに出しているのはダフ屋行為になり,取締の対象となります。

(7)その事実認定は,やはり,当初から利用しないことが明白な状況にあるとか,頻繁に繰り返しているとか,枚数が多くて,利益目的が明確であるとか,その人の置かれた状況によって認定されることになると思います。

☆ (乗車券等の不当な売買行為(ダフヤ行為)の禁止)
第6条 何人も、乗車券、急行券、指定券、寝台券その他の運送機関を利用しうる権利を証する物又は入場券、観覧券その他の公共の娯楽施設を利用しうる権利を証する物(以下「乗車券等」という。)を
不特定の者に転売するため又は不特定の者に転売する目的を有する者に交付するため、乗車券等を公衆に発売する場所において、乗車券を買い又は公衆の列に加わつて買おうとしてはならない。
2 何人も、転売する目的で得た乗車券等を、公共の場所において、不特定の者に売り又は人を勧誘して売ろうとしてはならない。

第13条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
2 常習として前項の違反行為をした者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。



Q.45 夫婦の財産 
私は共働きの主婦です。 毎月、自分のパートのお給料から、お小遣いを削ってへそくりをしてきました。
5年かけて50万円貯めましたが、この前、夫に見つかりました。夫はそのへそくりは「夫婦の財産」だから、食事に行こうとか、あれを買おうとか言ってきます。
私としては、自分で貯めたので自分のために使いたいのですが、夫が言うように「夫婦の財産」になってしまうんでしょうか?


A.45 回答
(1)まず,夫婦の財産ということについての法律をみてみましょう。
 夫婦の財産関係については民法762条が規定しています。
この条文は以下の通り,まず,1項で夫婦の一方が婚姻前から有する財産や婚姻中自己の名で得た財産は特有財産になると規定しています。
そして,2項で夫婦のいずれに属するかが明らかではない財産はその共有に属するものと推定する。と規定しています。

(2)そうすると,夫婦の特有財産となるのか共有財産となるのかの問題となりますが,
どのように区別できますか。
 その区別は,婚姻中自己の名で得た財産ということの意味が重大なポイントになります。
婚姻中自己の名で得た財産とは,夫婦がそれぞれの名義で取得した財産ということです。したがって,夫婦がそれぞれ,自分が稼いだ収入は,各自の特有財産となります。
例えば,今回の相談者のように,妻が自分の稼ぎからへそくりをしていたならば,当然にそれは妻の特有財産ということになりますから,自分の自由に使うことができます。

(3)この問題との関係で専業主婦が,夫から貰う生活費の一部をやりくりしてへそくりをしていた場合にはどうなるのでしょうか。
 この場合は,先ほどの例と異なり難しい問題が発生します。

(4)何処が難しいのでしょうか。
この場合は,配偶者が家事労働等により協力していた,いわば内助の功をどう評価出来るかということが問題になります。
古い最高裁判例は,妻の内助の功について,否定しています。そうすると,妻が家計をやりくりした才能や,家事労働に対する評価をしないという結論になります。
この立場を徹底すると,@夫名義の収入,A夫婦の生活費を控除した残額の預貯金など,B夫の収入から購入した住宅や電化製品等の家財,全てが夫の特有財産ということになります。
とすれば,妻が家計をやりくりして蓄えたへそくりも夫の財産ということになります。

(5)これに対し,最近では妻の家事労働を評価する見解や,下級審の判決が現れてきています。
この立場によれば,夫が共同生活の維持のために提供した給料の残余を,妻が蓄えたへそくりについては,夫婦の共有財産ということになります。

(6)最も,夫婦の間で,たとえ高価なものであっても,夫の物とか妻の物か,あるいは共有かという議論を裁判所が解決する問題ではなく,夫婦の気持ちによって解決するべき問題でしょう。



Q.46 殺人,死体遺棄の刑罰 
最近、石川県内で痛ましい事件がありましたね。殺人、死体遺棄。こうした言葉に接するだけでも、気分が落ち込んでしまいます。まだ捜査の途中だと思いますが、こうした罪が確定したら、どんな罰を受けることになるんでしょうか?



A.46 回答
(1)どんな罰を受けるかということですが,
 まず,法律の規定を見ますと殺人罪ですが,刑法199条によると,死刑,無期,若しくは5年以上の懲役刑と規定されています。
 次に,死体遺棄罪ですが,刑法190条によると,3年以下の懲役と規定されています。

(2)それでは,実際殺人罪で起訴されて,裁判が行われた場合に,どうなるのかを考えてみます。
その人が殺人罪を犯していると裁判所が,判断した場合です。
殺人罪は,裁判員裁判の対象事件ですから,裁判員6名と裁判官3名の9名が判断します。
その審理の結果,殺人罪を犯していると判断した場合,死刑か無期か5年以上20年以下の範囲で,刑を選択することになります。

(3)そのいずれを選択するかの基準はあるのでしょうか。
これは情状によって,決まります。
? 犯行自体に関する情状について少し例を挙げてみます。
 @ 犯行が計画的であるか,偶発的であるか。
 A 主犯格か,従犯的であったか。
 B 犯行の態様が残虐で悪質であるとか。
 C 犯行の動機に同情の余地があるとか。
 D 被害者側にも多少の落ち度があるとか。
例えば,最初から殺人計画を練って用意周到に実行した場合と被害者から因縁をつけられてかっとなって行った場合は違う扱いになるでしょう。
また,主犯格である親分に強引に引き込まれて渋々参加した場合に,主犯格とその人とは異なる扱いなるでしょう。
? その他も,被害者の遺族に多額の被害弁償金を支払ったとか,それまでにちゃんと仕事について,前科がなかったのかどうか,など様々な事情が考慮されます。
 
(4)その結果,5年から20年,無期刑,死刑の範囲で選択されることになるのですが,5年以下に下げることはできないのでしょうか。
 できます。

(5)どういう場合にできますか。
@ まず,法律上の減刑事由がある場合に軽減できます。
例えば,正当防衛とか心神喪失であれば,罰することができませんが,過剰防衛に当たる場合には,減刑又は免除することができますし,心神耗弱ということになれば,その刑を減軽することになります。
その他に,法律上の自首にあたれば減刑することもできます。
A 次に,酌量減軽という方法があります。
先ほど述べた犯罪の情状に酌量すべき点があって,5年でも重いような事情があれば,半分の2年6ヶ月まで下げることができます。
 
(6)逆に,最長20年の懲役刑を重くすることはできますか。
  2個以上の犯罪を犯したような場合には,最長30年まで延長することができます。



Q.47 連帯保証人について
@ 妻の実家が経営する会社の借金の保証人になっている。
A 借金の額は2000万円ほど。
B 奥さんのお母さん…義理の母が、もし会社が借金を返せなくなったら場合どうなるのか?と相談したところ,次のアドバイスを受けた。その内容については
@ 預貯金や財産の名義を、義理の母の名義に変える。
A 義理の母が、祖父の養子になり、相続人になれる手続きをすれば良い。
B しかし、こうした事を行うのは、かえってトラブルを招くのでは?



A.47 回答
(1)相談文が長いので少し整理します。単純化すると,借金をしているのは,妻の実家が経営する会社である。借金の金額は2000万円,そして,その借金を連帯保証しているのは,妻の父親である。
 一般相談に行ったら,@妻の父親の預貯金,財産の名義を,妻の母親名義に変更した方がよい。A妻の母親が祖父(夫の父親)の養子になり,相続人になる手続きをする。とアドバイスされたということのようです。

(2)まず,妻の父親の預貯金,財産を,妻の母親名義にすることについてお答えします。
これについては,やはり心配しているとおり,会社が倒産した場合に,訴えられたりするような事態が発生する可能性は高いと思います。
 連帯保証人が自分の財産を妻に移転すれば,債権者を害する行為ということになりますから,その行為は,民法424条で取消の対象となります。
 実際,債権者が財産の移転行為の取消を求めるような裁判は,かなり多いです。

(3)では,連帯保証人としての責任を免れる方法はないでしょうか。
 かなり難しいですが,場合によっては,何らかの解決方法が見つかることもあります。
 個別の事案によって,異なりますから,一般相談というような形での回答は難しいと思います。
やはり法律事務所に出向いて,直接に具体的な諸事情を説明して,相談を受けたら良いと思います。

(4)次に,妻の母親が祖父(夫の父親)の養子になり,相続人になる手続きをすることの是非ついてお答えします。
 具体的な内容が不明確ですので,妻の父方の祖父の相続人は妻の父親だけであるとしましょう。
 妻の父方の祖父がなくなった場合,妻の父親は,相続人として,祖父の全財産を相続します。
これを妻の母親を祖父の養子にすれば,祖父の子供は2人ということになり,祖父の相続財産が父と母に半分ずつということになります。
 父親が連帯保証していても,妻である母親にはその効力は及びませんから,祖父の財産の半分は債権者の追及を免れるということになります。

(5)妻の父親が取得する相続財産を減らす目的で,妻の母親を祖父の養子にすることに何か問題はないのでしょうか。
これについては,何も問題はありません。相続税対策のために孫の1人を養子にする扱いは実際に良く見られます。


Q.48 弁護士費用特約
先日、自分の自動車の任意保険の契約書を調べていたら「弁護士費用特約」という言葉を見つけました。これって、どんなものなんでしょうか?



A.48 回答
(1)弁護士費用特約とはどんなものでしょうか。
 簡単に言えば,自動車事故によりケガをしたり自動車等を壊されたりした場合の相手方への損害賠償請求のために、
相手方との交渉を弁護士に依頼したときや事故の解決が訴訟に及んだときに必要となる弁護士報酬や訴訟費用等を補償してくれる特約です。

(2)実際にどういう場合にこの特約が必要となるのでしょうか。
 一般に,任意保険に加入していれば、交通事故が発生した場合,自分の保険会社の担当者が相手方と示談交渉にあたってくれます。
 しかし、全ての事故で示談交渉してくれるわけではありません。そのような場合に,この特約が有効になります。

(3)それは,どのような場合でしょうか。
 例えば「信号待ちで停車中に追突された」「駐車中に追突された」といった事故では、追突された方に一切の非はなく、相手方の過失が100%となります。
 この時、追突された被害者は自分の保険を使って示談交渉することができません。

(4)それはどうしてでしょうか。
  本来,自動車保険は,基本的に事故相手からの損害賠償請求に備えるためのものですし,相手へ損害を請求するためのものでありません。
 さらに,保険会社が相手方に請求する行為は,弁護士法違反の問題点もあります。その意味で,加入者に賠償が発生しない過失割合が10対0の事故では、保険会社が示談にでることができないのです。

(5)保険会社が示談に出ら来られないということはどういうことですか。
 被害者本人が,加害者側(加害者本人や保険会社)と話をすることが必要となります。
 この場合,加害者側が誠意ある姿勢を見せ、納得いく賠償金額を提示してくれれば問題はないのですが、なかには示談を進めず支払いを拒むケースもありえます。

(6)このような場合にどうすればよいでしょうか。
 泣き寝入りしないためには,弁護士に依頼し、相手に損害賠償請求の為の訴訟等を起こす方法がありますが,弁護士に賠償請求を代行してもらう為には費用が発生します。
その場合に,その費用を、限度額内で補償してくれるのが弁護士費用特約です。

(7)交通事故による被害を受けた場合,弁護士に解決を依頼することは,そんなに効果があるのしょうか。
 保険会社の支払い基準と裁判基準とは異なりますし,実際に弁護士に依頼して裁判をすると、損害額、慰謝料額が大幅にアップする事例も多く存在します。
 また,加害者とトラブルとなる場合には,加害車輌が任意保険に加入していない場合もありますし,そのような場合に,どのように損害を回収するかの対応も必要となります。

(8)そうすると,とりあえず弁護士さんに相談した方がよいのでしょうか。
 弁護士費用特約があるなら,利用した方が良いと思います。
 また,弁護士費用負担特約の内容も,家族も補償対象となる場合や物損事故も補償対象となる場合もありますから,その判断も必要です。
その意味でも,仮に,自分の加入している保険について弁護士費用特約について良く理解できなくても、「もらい事故」「歩行中の事故」など、交通事故で被害に遭ったなら、まずは専門家に相談してみるのが良いと思います。



Q.49 名ばかり管理職
私「名ばかり管理職」です。肩書は管理職なんですが、残業代も出ないし、仕事も辛いんです。報酬も…。これって、何か法的に訴える事はできませんか?



A.49 回答
(1)管理職の労働条件については,労基法41条が規定しています。
 この規定によれば,「監督者若しくは管理の地位にある者」については,労基法第4章及び第6章に定める労働時間,休憩及び休日に関する規定を適用しないと規定しています。
今回はこの規定の適用範囲の問題です。

(2)まず,労基法第4章及び第6章に定める労働時間,休憩及び休日に関する規定を適用しないと規定していますが,これはどういう意味でしょうか。
 この意味は,労基法上は,@労働時間,A休憩,B休日に関する規定の適用が除外されることになります。したがって,会社とすれば,残業手当や休日出勤手当を支払う必要はないことになります。
 これに対し,年次有給休暇については,適用が除外されていませんので(適用されますので),管理職であっても,請求することができます。

(3)少し問題となるのは,深夜勤務した時の割増賃金についてです。
 これも,本来は労基法が適用され,管理職であっても,深夜勤務手当の請求権はあるのが原則です。
但し,管理職手当に一定の深夜勤務時間に関する,みなし深夜手当が含まれていると理解できる場合には,その手当でカバーされている範囲を超えている超勤分についてのみ割増賃金の支払いを請求出来ます。

(4)もっとも,相談者の方は,「名ばかり管理職」という立場にあると言ってますが,この点についてはどうなるのでしょうか。
「名ばかりの管理職」という立場が「監督者及び管理の地位にある者」といえるかが問題となります。
まず,この立場にあるといえるかどうかについては,形式的に,部長代理,課長などの名称の如何にかかわらず,その実態を総合的に考慮して判断する必要があるとされています。

(5)次に,具体的な判断基準について説明します。
 @ まず,その人の立場として,労働管理方針の決定に参画し,あるいは労務管理上の指揮権限を有し,経営者と一体的な立場にあるか否か。
 A 次に,自己の勤務について自由裁量の権限をもち,出社退社等について厳格な制限を受けない地位にあるか否か。
 B さらに,その地位にふさわしい特別給与が支払われているか否か。例えば,賃金面での処遇が基本給や手当,賞与等の面で,その地位にふさわしい扱いがなされているか。
 これらの点を総合的に勘案して判断することになります。

(6)今回の「名ばかりの管理職」さんの立場はどうなっているのか,文面からは不明ですが,
銀行の支店長代理やファミレスの店長も管理・監督者に該当しないとされた判例もありますから,不明な点があるなら,1度相談なさったら良いと思います。



Q.50 土地の境界をめぐるトラブル
今回の震災は、まさに一大事でしたね。命が助かるのも大変ですが、災害復旧時や復興に被災者が抱える相談事は、ホントに沢山あると思います。
弁護士の先生が対処される問題もあるんでしょうね。例えば、自分の家がなくなってしまって、持っていた土地の線引きもよく分からなくなってしまったら法律的には、どんな対処をすればいいんでしょうか?


A.50 回答
(1)この場合の対応としては,まず,近隣の関係者との話し合いでしょう。
 例えば,隣の土地の所有者と話し合いをして,必要に応じて双方立会の下,測量して双方が納得して境界などを決めることが出来ればそれが一番です。

(2)当事者間で話し合いがつかない場合にはどうなりますか。
 この場合に,法律的な手続きが必要になりますが,手続きとしては,調停を申立てて話し合いをするか,地方裁判所に訴えを提起して解決することになります。

(3)もう少し具体的にいいますと,調停手続きでは,双方が互いに自らの主張する境界線を根拠付ける資料を提出し,2名の調停委員を介して話し合いをすることになります。
 裁判で境界を決める時には,境界確定訴訟を提起することになります。この場合は,裁判所は,当事者の主張に拘束されずに自らの判断で境界線を定めることになります。

(4)このような災害復旧時や復興に際して弁護士の先生が抱える相談事にはどのようなものが予測されますか。
 様々な問題が予測されます。
 今回の相談のように家と土地に関することに限っても,@震災によりブロックが崩れて他人の家を壊した場合にどうなるかとか,A震災により購入した建物が傾いた場合に責任を追及できるか,Bマンションが崩壊した場合に復旧や立替の手続きはどうなるかとか,様々な問題が考えられます。

(5)今回のような大災害の場合には,住居の関係以外には,どのような法律的問題点が考えられますか。
 @ 被災者の生活関係の問題点
   例えば,財産関係,相続関係,保険関係等の問題が考えられます。
 A 被災者の仕事関係の問題点
   例えば,営業関係や雇用問題等,様々な問題が発生することが予測れます。

(6)具体的には,どういうことが問題となるのでしょうか。
 @ 被災者の生活関係についてみますと,行方不明者や死亡者の財産管理をどうするのか,相続についてはどうなるのか等の問題が発生します。
また,生命保険金や,損害保険金の請求についても,相続の問題も絡んで発生してきます。さらに壊れた住宅の住宅ローンがあった場合の処理問題なども考えられます。
 A 次に被災者の仕事関係についても,営業が止まって手形が決済できないとか,リース物件が損壊してしまった処理の問題や,震災に起因して会社が倒産したとか等の問題が発生します。
 雇用に関しても,震災を原因とする労働者の欠勤問題や,給与支払いの問題,勤務中の怪我に対する労災保険の問題なども考えられます。

(7)事態が落ち着いてくるのには,時間がかかるでしょうが,今後法律的にみても様々な問題点が予測されます。


Q.51 公園の桜の枝を折って持ち帰る行為について
全国的にお花見の自粛などが話題になっていますが、個人的には疑問です。
桜を肴に東北のお酒を飲んで、貢献したいと考えています。
ところで、昔、お花見で、公園の桜の枝を折って持ち帰ってしまった事がありました。
かなり酔っていました。いけないとは分かっているんですが、どんな罪になるんでしょう?



A.51 回答

(1)公園の桜であれば,公園の管理者が占有管理するものと考えられますから,他人の財物を持ち帰ったということになります。
 したがって,桜の花がついている枝を折って持ち帰れば当然,窃盗罪に該当します。
 他の都道府県の話しですが,2000円相当の八重桜を折って持ち去ろうとしたとして書類送検されたという話も聞いたことがあります。

(2)刑法上は窃盗罪の可能性になる可能性が高いですが,その他に,例えば国立公園や国定公園などの特殊な場所に咲いている桜であれば,自然公園法違反といった犯罪の可能性もあります。

(3)しかし,例えば,桜の花を数枚,持ち帰ったとしても,それが,財物として保護されるべき程度に達しているのかという疑問があります。

(4)それはどういうことでしょうか。
 一般に,経済的価値が極めて軽微で,刑法的保護に値しないものは,財物と解すべきではないとされています。
 この点について,旧警察犯処罰令という法律があって,他人の田野などで菜果を採取したり,摘みとったりする行為や,花卉(かき)花草を採取したり折ったりする行為を拘留科料にすると規定していました。
 この法律が廃止されたことから,この法律が規定していた程度の,軽微な盗犯は不可罰ということになったと理解されています。
 そうすると,例えば,花びらを1,2枚ちぎって持ってくる行為程度では,違法な行為であることは間違いありませんが,おそらく窃盗罪として処罰することにはならないと思います。

(5)それでは,公園の中に折れて落ちている枝を持ち帰るのはどうでしょうか。
この場合も,管理者の占有の範囲内にあると考えられますので,窃盗罪になると思います。
但し,既に折れて,地面に落ちている枝であれば,先ほど述べたとおり,経済的価値が軽微で刑法的に保護に値しないというようにも考えられます。

(6)桜の枝を折って,その場に捨ててくる行為はどうなりますか。
  持ち帰らないわけですから,窃盗罪にはなりません。ただし,桜の枝を折っているから器物損壊罪になる可能性があります。



Q.52 賃貸マンションの敷金返還
賃貸のマンションを契約したところ、敷金の返還について、解約時にリフォーム代やクリーニング代を差し引いて返還するといわれました。何か納得いかない気がします。
キレイにして過ごし、掃除をすればお金はかからないと思いますし、ましてやリフォーム?それって住人とは関係ないんじゃないでしょうか?


A.52 回答

(1)まず,敷金という言葉について簡単に説明します。
 敷金とは,一般に建物の賃貸借に際し,賃借人(入居者)の賃料債務その他の債務を担保する目的で,賃借人から賃貸人に交付される金銭です。
そして,契約終了の際に,賃借人(入居者)に債務不履行(未払い賃料,賃借物の損壊)があれば,その額が減額され,債務不履行がなければ,全額賃借人(入居者)に返還されるべきものをいいます。
 
(2)この敷金の返還がどの範囲で認められるかは,入居する際に契約した,賃貸借契約の内容がまず問題となりますので,その内容を確認して下さい。

(3)一般的に不動産業者が利用している標準契約書という雛形がありますが,これによると,賃貸借物件の明け渡しの際に,賃借人がなすべき原状回復義務の内容については,
「(賃借人は)通常の使用に伴い生じた本物件の損耗を除き本物件を原状回復しなければならないと。」と規定されています。
ここでは,通常損耗は賃貸人の負担であるということが明確にされています。

(4)そこで,通常損耗とはどういうことかを含めて,どのような場合に賃借人が負担すべきなのかが問題となります。
一般的に,建物の損傷については,以下の3つに分類できます。
@ 建物・設備等の自然的な劣化・損耗など(経年変化)
A 賃借人の通常の使用により生ずる損耗など(通常損耗)
B 賃借人の故意・過失・善管注意義務違反,その他通常の使用を超えるような使用による損害(故意・過失による損耗)。
このうち,@,Aについては賃貸人の負担です。
賃借人(入居者)が負担するのはBの故意過失による損耗の場合だけです。

(5)具体的には例えば,床に関していえば,家具の設置によるへこみや設置跡や畳・フローリングの日照りや雨漏りによる色落ちなどは通常損耗ということになります。
これに対し,賃借人の不注意で雨が吹き込んだりしたことに原因があるフローリングの色落ちやキャスター付きの椅子などによるフローリングの傷へこみなどが賃借人の負担ということになります。

(6)今回の相談者のリフォーム代とクリーニング代はどうなるのでしょうか。
細かい内容は分かりませんが,リフォーム代については,リフォームする箇所や何故必要となったのか,その原因等によって異なってくると思います。
クリーニング代については,通常の清掃をしてない場合に限り,その部分のクリーニング代を負担するということになりますから,きれいに清掃して返却すれば足りるということになります。

(7)相談者が契約した内容に,標準契約書と異なる特約が記載されているような場合,例えば,原状回復義務を賃借人の負担とするというよう契約がなされた場合にはどうなるのか。
このような特約も一定の範囲内で有効になる余地がありますが,本来賃貸人が負担すべきものを賃借人に負担させることになりますから,有効になる要件は,かなり要件は厳しくなります。
 また,契約の内容によっては,消費者契約法10条に違反して無効になる可能性もあります。



Q.53 お金を貸した相手が行方不明になった
お金を貸した相手方が行方不明になってしまいました。ある日突然、電話をしても通信拒否。自宅へ行っても、もぬけの殻。こんな場合、裁判をやってお金を回収するのは難しいですかね。


A.53 回答

(1)トラブルの相手方に裁判を起こす場合は,原則として,裁判所を通じてその相手方を被告とする訴えを提起することが必要です。その方法として,訴状を裁判所に提出して,相手方に送達(受け取らせる)することが必要です。
 お金の貸し借りの場合であっても,裁判を起こす場合には,当然に返さない相手を被告として訴えを提起して,その訴状を相手方に受け取らせることが必要です。

(2)では相手方が自宅などの住所にいなくて訴状を届けることが出来ない場合には裁判は出来ないのでしょうか。
 この場合には,まず相手方の就業場所(勤め先)に送達するという方法があります。
 昼間住居地に誰もいない家庭が多くなったことから認められるようになった送達方法です。

(3)相手方が自宅にもいないし,勤め先も分からないし,どこに送達するべきか,その場所を判明しないような場合にはどうなるのでしょうか。
 この場合には,公示送達という方法があります。
 相手方の所在が全く不明で訴状などを送達出来ない場合には,一定の方法により公示することによって送達が終了したものとする送達方法です。
 ただ,公示送達は,簡単にできるわけではなく,申し立てる当事者は,相手方の所在が不明であることを,証拠によって疎明しないといけません。

(4)以上の手段を取れば,相手方の所在が不明でも何とか裁判をすることは可能です。そして勝訴判決を取ったとして,次にその回収方法が問題となります。

(5)では相手方の所在が不明の場合どのように回収することができますか。
この場合に相手の所在が不明ですから,判決が出ても任意に回収することは出来ません。その場合には,やはり強制執行の申立をするしか方法はないと思います。
 例えば,自宅が持ち家の場合であれば,不動産競売という方法もあります。また,取引している銀行が判明するのであれば,預貯金の差し押さえという方法もあります。

(6)相手の財産の所在が全く不明の場合はどうですか。
 この場合には,やはり回収は不可能です。
 ただ,裁判で判決を取った場合には,10年間より短い時効期間のものでも,その時効期間は10年間となりますから,その間に相手方の所在や財産が判明すれば強制執行が可能となります。



Q.54 夫の浮気相手に対する慰謝料請求
最近、夫の帰りが極端に遅くなったり、お金の使い方にムラがあったり、私に隠れてこそこそ電話をしたり、どうも浮気をしているような。でも証拠は「女の勘」だけなんです。
よくドラマなどで探偵が浮気現場の写真を撮ったりするシーンを見かけますが、やっぱりこんな証拠がないと、慰謝料は取れないんでしょうか?


A.54 回答

(1)まず,夫の浮気相手に対する慰謝料請求の問題について話します。
 夫が,妻以外の女性と浮気をすれば,夫婦の婚姻関係を不当に害していますから,当然に,妻の権利を侵害したことになります。
したがって,相手の女性は妻の被った精神上の苦痛を慰謝すべき義務がありますから,慰謝料請求が可能となります。
 これは,浮気の結果,夫婦関係が壊れたとか,離婚したとかしないとかは関係しません。
 また,浮気をした夫との間でも当然に離婚事由となりますし,慰謝料請求も可能となります。

(2)浮気の相手方である女性に請求できる慰謝料の金額についてはどうなりますか。
 事案によって,異なってくると思いますが,100万円から200万円くらいの金額が多いように思います。

(3)そこで,次に今回の質問にあるように,夫と浮気相手の女性との関係,夫の浮気をどのように証明するかです。
 探偵さんというか,興信所の調査で,夫と相手の女性との浮気現場,いわゆるラブホテルから,2人が出入りする瞬間の写真をとることができれば,かなりの確率で証明ができると思います。

(4)興信所とか利用する以外に証明方法はないのでしょうか。
 夫と相手の女性との浮気を証明できれば足りるわけですから,どのような手段でも証明は可能です。
 例えば,まず,相手の女性から交際を認める内容を記載している手紙や,そのような内容の携帯メール等が入手できれば証明は出来ます。
 それ以外にも一緒に2人で旅行に行った証拠,例えば,旅行先のスナップ写真,ホテルの領収書などでも証拠にはなります。
 電話で話している内容を録音できればそれでも証拠にはなります。

(5)もし夫が浮気をしているのなら,その証明は,興信所の調査以外にもいろいろな方法で可能ですから,
どうしても許せない気持ちが強くて,相手の女性から慰謝料を取りたいのであれば,1度弁護士に今持っている情報で証明が可能かどうか相談してみたら良いと思います。



Q.55 弁護士への道のり
この前、風邪で学校を休んでいる時、番組を聞きました。弁護士さんが出ていましたよね。私、弁護士に憧れています。 どれくらい勉強すればなれるものでしょう?
タイマー録音しておくので先生におしえて欲しいです。


A.55 回答

(1)今日の相談者である学生さんは,弁護士に憧れるということですが,弁護士の仕事としてやりがいはどうですか。
確かに,法律の専門化として,社会正義の実現を目ざし,市民の権利を守る仕事ですから,やりがいはあると思います。

(2)どれくらい勉強すれば足りるかという質問ですが,私が弁護士になった時と現在は制度が違いますが,ちなみに私が受験した旧司法試験の時についてまず,述べてみたいと思います。
 当時は,毎年2万5000人前後の受験者がいて500人前後の合格者という内容でした。
この時は,それなりの大学,例えば中堅以上の国立大学の法学部とか,有名私大の法学部卒業したレベルの人たちが,一般的に12時間を3年間とか8時間を5年間の勉強が必要といわれていました。それでも受からずに諦めていく受験生も多数いました。

(3)では現在はどうか。現在の新司法試験は,受験資格を得るために法科大学院,いわゆるロースクールを卒業することが必要となっています。合格者は2000名程度と旧司法試験に比べて大幅に増員されていますが,それでもかなりレベルは高いと思います。

(4)具体的にはどのようになるのでしょうか。
 まず,高校を卒業して4年生大学に入学します。法学部が望ましいですが,他の学部でもかまいません。そして,大学を卒業して,ロースクールに入学することが必要です。
出来るだけ司法試験の合格率の高いロースクールに入る方が良いと思いますので,そのためには,それなりの高校や大学を卒業することが望ましいと思います。

(5)無事ロースクールに入学した場合,その後,新司法試験に合格するためには,どの程度勉強する必要があるのでしょうか。
 ロースクールには2年コースと3年コースがありますが,ロースクールを卒業して新司法試験に合格した弁護士に確認したところ,通常,授業を含めて1日10時間程度の勉強を3年間続ければ,半分程度の確率で合格できるのではないかということでした。

(6)相談者の学生さんはまだ14歳ですから,現在の制度も変わるかもしれません。
 今言えることは,法律の専門化として社会正義を実現し,個人の権利を守るための知識とバランス感覚を身につけるためには,試験制度が変わっても,一日8時間から10時間の勉強を3年から5年くらい続ける覚悟は必要だと思います。



Q.56 SNSサイトによる名誉棄損
以前、とあるSNSサイト内のコミュニティー掲示板で起こった出来事です。
『Mさん』と『Hさん』という2人の20代の主婦が、掲示板上で言い争いをしていました。その掲示板の副管理人だった私は、2人の言い分を聞き、双方ともに非があるとして、お互いに謝罪させる事で言い争いを終わらせる事にしました。
『Mさん』はそれに応じ、その後も何もなかったように書き込みをしていました。
しかし、『Hさん』は全く応じる気はなく、自分の非も認めず、自分がやった事すらやってないと言い出しました。
さらにその後、『Mさん』の情報をいろんな人から聞いたと言っていました。その情報とは【Mさんは人妻なのに、このサイトで知り合ったいろんな人と関係を持っている】というものでした。
その情報を元に、コミュニティー参加者にメールなどで「Mはこういう奴だから、関わりあいにならない方がいい」 とふれまわったり、掲示板上でも、その情報に関する書き込みを多数していました。
最終的に『Hさん』をコミュニティーから退会させる事で終息させたのですが、
この『Hさん』の行為は名誉毀損などには当てはまらないのでしょうか。


A.56 回答

(1)要約すれば,MさんとHさんという2人の主婦が掲示板で言い争いをしていた。Mさんは,掲示板の副管理人であるあなたの仲裁案を受け入れたが,Hさんはそれを無視したばかりか,
【Mさんは人妻なのに、このサイトで知り合ったいろんな人と関係を持っている】という内容の,いろんな人から聞いた情報を元に、
コミュニティー参加者にメールなどで 「Mはこういう奴だから、関わりあいにならない方がいい」 とふれまわったり、掲示板上でも、その情報に関する書き込みを多数していた。
この行為が名誉毀損などにあたらないのか。という内容と理解できますので,それを前提に回答します。

(2)インターネット上の名誉毀損行為にも刑法230条の名誉毀損罪や民法709条の不法行為責任の追及が可能ですが,その前提としてまず名誉を侵害したかについて考えてみます。 

(3)一般的に,名誉とは,本人の社会的評価又は価値というふうに考えられています。
【Mさんは人妻なのに、このサイトで知り合ったいろんな人と関係を持っている】という情報は,本人の社会的評価又は価値を低下させることは間違いありませんから,Mさんの名誉を毀損したことになります。

(4)仮に,そのことが真実であった場合はどうなりますか。
 公表された内容が仮に,真実であっても名誉毀損罪は成立します。
但し,公共の利害に関する事実であり,目的が専ら公益を図ることにあったと認められる場合には,真実であることの証明があった場合に名誉毀損罪は成立しないことになります。
その場合には,民法上の不法行為にもあたらないと思います。

(5)しかし,名誉毀損罪が成立したり不法行為となるためには,名誉を毀損したということに加えて公然性という要件が必要になります。

(6)公然性とはどういう意味ですか。
 公然性とは,摘示された事実について不特定又は多数人が認識しうる状態をいうと考えられています。

(7)この公然性の要件について,現実の社会とインターネット上では同じように考えられるのでしょうか。
 若干異なるのではないかということが問題となります。
 インターネットの電子掲示板,メーリングリストなどにおいても,通常と同じ考え方が基本的に妥当すると思います。
 但し,WEBサイトや電子掲示板,等における特定人に関する中傷誹謗が,それがID及びパスワードなどによるアクセス制限がされている結果,
特定の少数の者のみが閲覧可能なように制限されているような特段の事情があれば,公然とは言えないこともあり得ます。

(8)今回の場合はどうなりますか。 
 ごく少数のメンバーしか閲覧できないような特段の事情がない限り,名誉毀損になります。
したがって,名誉毀損罪として刑事罰の対象の可能性もありますし,民事上も,不法行為として損害賠償請求の対象になります。
この場合,裁判所は損害賠償に代えてあるいは損害賠償と伴に名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができます(民法)723条)。



Q.57 業務上過失致死
最近、食中毒の痛ましい事件がありましたね。実は、私も容疑がかかったチェーン店で食事をした事があり、ニュースを聞いてドキッとしました。
ところで、これで耳にする「業務上過失致死傷」ってどんな罪になるんでしょうか?業務上という事は、一般的(個人的)な間違いと比べて、重くなったりするんでしょうか?


A.57 回答

(1)業務上過失致死傷とは,刑法211条が定めている罪です。
刑期としては,5年以下の懲役若しくは禁固又は100万円以下の罰金が定められています。
通常の過失致死傷の刑とは大きく違います。
過失傷害の罪の刑期は,刑法209条で30万円以下の罰金又は科料と定められていますし,過失致死罪の刑期は,刑法210条で50万円以下の罰金とかなり軽く定めています。
 実際に,5年以下の懲役又は禁固の刑期が予定されているとの罰金だけとは大きな違いです。

(2)過失致死傷の上に業務が付くと,その刑期が重くなるということですが,ここでいう業務とはどういうことをいいますか。
 業務とは,本来人が社会生活上の地位に基づき反復継続して行う行為であって,他人の生命・身体などに危険を加えるおそれのあるものをいうとされています。
 業務というと仕事を連想しますが,仕事の場合も多いですが,必ずしも仕事には限りません。
 1回だけの行為であっても,反復継続する意思があれば業務になります。

(3)具体的にどのような行為が業務にあたりますか。
いくつか例を挙げます。
 まず,良く上げられるのが自動車の運転行為ですね。反復・継続して運転する意思がある限り,仕事であるか娯楽であるかは関係しません。
 それ以外にも,裁判例では,以下のような場合があります。
 娯楽のために銃器を使用して狩猟を行う行為。
 看護師が医師の指示に従って静脈注射をした行為。
 高校の山岳部の教師が,山岳部の活動として行われた合宿訓練に同行する場合。

(4)今回は飲食店で食中毒を発症した料理を出す行為は業務にあたりますか。
  飲食店で食事を出す行為は,社会生活上の地位に基づき反復継続している行為であり,しかも他人の生命・身体などに危険を加えるおそれがありますから,やはり業務上の過失になるでしょう。



Q.58 お金の借用書を公正証書にする
私は、友人からお金を貸して欲しいと頼まれました。金額は300万円です。
その友人とは古い付き合いで人間性も信頼しているのですが、万一を考えてキチンとしておいた方がお互いの為なのではと考えています。
お金の借用書を「公正証書」にするといい、と聞いた事がありますがこれはどんなもので、どうすれば作れるんでしょう?作るには金額の大小に左右されるのでしょうか?


A.58  回答

(1)まず公正証書とは何をいいますか。
 公正証書には,広い意味と狭い意味がありますが,ここでは狭い意味で説明します。 狭い意味では,公証人が,公証人法等の法令の規定にしたがい,作成する書面です。
 その内容は,法律行為に関する事実(例えば,金銭消費貸借契約書,不動産売買契約書)ついて作成することになります。

(2)何処で作成しますか。
 いわゆる公証人役場という事務所で作成する書面です。したがって,公証人役場を探せば良いと言うことになります。石川県では,金沢,小松,七尾の三カ所に所在します。
直接電話して,行かれるのもいいし,作成する内容が複雑なら,1度法律事務所などで内容を相談してから行かれるのもいいと思います。

(3)作成するのに金額の大小に左右されるのでしょうか。
作成するのに金額の大小は関係ありませんが,作成する内容や金額によって,公証人の手数料が違ってきます。

(4)公正証書にするとどのようなメリットがありますか。
  公正証書には,通常3つの効力があると言われています。
 まず@証拠としての効力があります。次に,A債務名義としての効力があります。もう一つはB心理的効力と呼ばれるものです。

(5)証拠としての効力とは具体的にどういうことですか。
 まず証拠としての効力とは,公正証書にしておけば,契約を締結した事実を確実にかつ容易に立証できるということです。
相手方に契約をしていないとか,その内容を争われたりすることを予防できる利点があります。

(6)次に債務名義としての効力とはどういうことですか。
 これは,裁判をしないと強制執行できないのが原則ですが,金銭の支払いに関する条項は,公正証書に記載があると裁判をしないで強制執行することができるというメリットがあります。
 例えば,金銭消費貸借契約や,協議離婚の際の養育費支払いに関する条項を公正証書にするメリットはこの点にあります。

(7)もう一つの心理的圧力としての効力とはどういうことですか。
 これは,公正証書にすれば証拠としての価値が高く,一定の金銭支払いについては裁判しなくて強制執行することもできるのですから,作成した当事者とすればその内容を守ることを事実上強要されるという意味です。
 事実上の重要な効力であり,これを上手く利用すれば,かなりの程度,紛争を防止することができます。



Q.59 飼い犬が他人に怪我をさせた場合
GWにパパと娘と一緒に、実家へ遊びに行ったときのことです。私の両親は大型犬を飼っているのですが、よっぽど嬉しかったんでしょうね、3歳の娘に飛びついたんです。もちろん、娘は大泣き。幸い、怪我はありませんでしたが、私もヒヤッとしました。
実家の近所には、娘と同じくらいの子供もたくさんいます。両親も注意していると思いますが、もし、よその家の子に飛びついたり、噛んだりしたら・・・ちょっと想像するだけでも怖いです。
怪我の程度にもよるかもしれませんが、法律的にはどれくらいの支払いや、罪に問われるんでしょうか(#O#)


A. 59 回答

(1)飼い犬が他人に飛びついたり,噛んだりして怪我をさせた場合に,法律的にどれくらいの支払い義務を負うかについては,相談者も指摘するとおり,怪我の程度に影響されますが,
その前提として,犬が他人を噛んだり怪我をさせたことについて買い主に過失があるかどうかがまず問題となります。

(2)犬が他人に怪我をさえた場合の買い主の損害賠償責任は,民法709条,718条規定されています。
 ここでは,動物の管理者,占有者はその動物の種類性質に従い相当の注意をもって,その管理をした場合には,責任を負わないと,過失責任を前提として規定しています。
しがって,仮に犬が飛びついたり噛んだりして,他人が怪我をしたとしても,犬の飼い主に過失がなければ責任を負わないことになります。

(3)それでは,どのような場合に買い主に過失がないと言うことになるのでしょうか。
 これは犬の種類や大きさとか,管理方法,管理場所など色々な要素が考慮されると思います。

(4)例えば,土佐犬や秋田犬などの大型犬の買い主が,家の庭に鎖をつないで飼っており,猛犬注意などの張り紙をしていたとした場合を考えて見ましょう。
 この場合に,子供が野球のボールが飛び込んだとか何らかの理由で張り紙を無視して,勝手に庭に入り込んで,その犬に噛まれたような場合でも,買い主に過失があったということになるでしょう。
 買い主は,犬の飼っている場所が出入り口に近く,その出入りが付近の子供が容易に入れるような造りになっていたような場合には,
犬をおりの中に飼うとか,子供が簡単に入れないような門の開閉を厳重にするとか,塀の隙間をなくすとかまでの注意義務が必要になると思います。

(5)怪我をした場合の損害額ですが,これは怪我の程度によることになります。
怪我をした場合には,治療費や逸失利益,慰謝料が請求できることになります。
但し,噛まれた人にも落ち度がある場合には,その割合に応じて過失相殺がされて,損害賠償額が減額されることになります。

(6)次に,刑事責任について考えてみます。
犬が人に害を加える場合の規制として,まず軽犯罪法では人に害を加える性癖があることが明らかな犬などを正当な理由がなく解放したり,又はその監守を怠って逃がしたような場合には拘留又は科料に処すると規定しています。
さらに,石川県には犬の危害防止条例があって,その第3条で,次のとおりに規定しています。
飼養者は、人畜その他に危害を加えるおそれのない方法で、その飼い犬をけい留しておかなければならない。そして,第14条3項は,第3条の規定に違反した者は、拘留又は科料に処する。としています。
それに加えて,刑法上の過失傷害,あるいは重過失障害の責任が発生する可能性もあり得ます。



Q.60 相続における特別受益
主人の姉が、姑から仕送りをしてもらっております。この話を友人にしたところ、きな臭い話で誠に申し訳ありませんが、遺産相続の際は、主人のほうに多くお金が入ると聞きました。
主人はどのように考えているのか分かりませんが、私は少しでも多くいただけた方がありがたいのです。姑の通帳には送金の記録が残っております。


A.60 回答

(1)遺産相続の割合は,遺言書があればそれに従いますが,遺言書がなければ法定相続分という割合になるのが原則です。
今回の相談の場合,主人の姉が,姑から仕送りをしてもらっているということです。
このことが,法定相続という原則にどのような影響があるかですが,この場合は被相続人からの特別受益になるのではないかということが問題となります。

(2)まず,特別受益とはどういうことでしょうか。
 これは民法903条が規定しています。そこでは,特別受益とは,共同相続人の中に
@ 被相続人から遺贈を受け
A 婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本としての贈与を受けた
場合に,被相続人の相続開始時の財産の価額にその価額を加えたのものを相続財産と見なすということが規定されています。

(3)具体的にどのような行為が特別受益になるのでしょうか。 
  例えば,婚姻のための持参金や支度金,結納金などを親に支払ってもらった場合には特別受益になります。
また,子供が別の世帯を持つ際に親が土地を分与した場合や,子供の事業の営業資金を贈与した場合も特別受益になります。

(4)特別受益になると相続には,どのような影響があるのでしょうか。
  特別受益寄与と認められると,相続財産から特別受益額を加えた額を基準に相続分を算定し,その後その額から特別受益分を控除した残額をその人の相続分と言うことになります。

(5)例えば,姑の遺産が2000万円で,夫の姉が600万円の特別受益を受けたとして,相続人は夫と夫の姉の2名だけだとすれば,先の600万円を加えた2600万円を基準として,それぞれ1300万円が相続分となります。
 そして,その金額から夫の姉は既に貰っている600万円を差し引いた700万円を相続分として,夫は1300万円ということになります。

(6)特別受益にあたれば,上記のような考え方で処理されますが,何が特別受益であるかどうかは,かなり微妙な問題もあります。
 例えば,子供の1人だけが大学を卒業させて貰ったような場合も,特別受益とされますが,親の子に対する扶養料の支払いであれば特別受益に含まれません。

(7)今のお姉さんの例で考えれば,例えば,お姉さんが病弱で親の援助がなければ生活できないような事情があるというような場合には,お姉さんへの毎月の支払いは扶養という義務の履行のためであり,贈与とは言えませんから特別受益にはあたりません。
 その他に,子供が道楽をして親が借金の尻ぬぐいをした場合とか,特別に可愛がられて小遣いを多く貰っていたというような場合も特別受益にあたらないとされています。
 そうすると今回のように夫の姉が姑から毎月仕送りをもらっている事情がどうなのかによって特別受益にあたるかどうかの判断がなされると思います。


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