Q.61 キャッシングの過払い
僕の彼女なんですが、キャッシングしてるんですよ。たしか1万7千円やったかな?毎月キャッシュコーナーで入金してマス。つき合ってすぐの頃、今日返済日や〜って言ってたので、2年くらい?続けてると思いマス。必要な時借りられるし、便利やと言ってるので、借りたり返したりの繰り返しだとおもいマスガ、
一体いくら借りてるのか!?ワカリマセン。よく耳にするキャッシングの過払い?にあたるには、どれぐらいの金額や期間をさすんでしょうか?目安ってありますか?教えてください、お願いしますm( _ _ )m



A. 回答
(1)キャッシングの過払い現象は,社会現象として数年前から,かなり頻繁に発生しています。
借り主からの過払金返還請求に対応できずに,武富士が会社更生を申し立てたり,ニコニコクレジットの丸和商事が民事再生を申し立てています。

(2)まず,キャッシングの過払いとはどういう現象を言うのでしょうか。
 キャッシングの過払いを説明する前提として,まずサラ金いわゆる消費者金融の金利については,
従前から利息制限法による利息と貸金業者が上限利息を定めた出資法による利息という2つの規制がありましたので,その点について簡単に説明します。

(3)まず,利息制限法の利息ですが,
 @ 10万円未満の借入の場合は年2割
 A 10万以上100万円未満借入の場合は年1割8分
 B 100万以上の借入場合は年1割5分
という利息の制限があります。そのため,15%の金利で100万円借りた人が,利息だけを10年間支払い続けた場合,
その金利は毎年15万円で,10年間で合計150万円ということになります。

(4)これに対して,出資法では平成12年から平成19年ころまで年29.2%,平成4年から平成12年頃は約40%,
平成4年よりさかのぼると,さらに高額の利息が上限とされており,サラ金業者はその利息で貸付をしていました。

参考 @ 54.75%(?1992年4月)
   A 40.004%(1992年5月?1994年7月)
   B 39.931%(1994年8月?2000年5月)
   C 29.2%(2000年6月?)
   D さらに,2010年6月18日以降には,20%。

(5)そのため,先ほどと同じ金額の100万円を約30%の金利で借りた人が,仮に利息だけを10年間支払った場合,
その金利は毎年30万円で,10年間で合計300万円ということになります。

(6)今の例をもとに,いわゆるキャッシングの過払いということについて説明します。
  サラ金業者は,出資法の上限利息で貸付をするのが通常でしたから,
サラ金から100万円を借入して10年間利息のみを支払っていた人がいれば,その人は,合計300万円利息を支払っていたことになります。
ところが,数年前にサラ金会社の利息の根拠であった出資法の利息での貸付は違法で,利息制限法の範囲内の利息で計算しなさいという判例が続出しました。
 そうすると,利息制限法の利息では150万円が上限ですから,300万円の利息を支払った人は,すでに150万円も余計に利息を支払っていることになります。
 この人は,余分に支払った150万円で借りた元金の100万円を返済しても,まだ50万円の過払い利息が残ることになります。
 この50万円の金額は過払いということで返還請求ができるというのが過払い請求ということになります。

(7)相談者の方は,キャッシングの過払い?にあたるには、どれぐらいの金額や期間をさすんでしょうか?目安ってありますか?教えてくださいとのことですが,
その人が,借りた期間,そのときの金利,金額によって異なりますから一概にはいえません。
 ただ,既に支払いが終わっていれば,その人は過払いであり,返済を受けることは間違いがありません。
 また,現在返済中であるとすれば,目安とすれば,@これまで自身の借りた金額とその間の利息制限法の金利を概算で計算する。
そして,Aその間に自身が返済した合計額を計算する。その二つを比較して見るのがいいと思います。

(8)自分の支払額を計算してみた結果,過払いになる見込みがなければ,そのまま支払えばよいでしょうか。
 利息制限法を超える金利を支払っていた期間があるのであれば,利息制限法に引き直し計算をして返済残額が減少することは明らかですから,
過払いにならない場合でも,法律事務所に1度相談するほうが良いでしょう。



Q.62 離婚の種類
私は結婚して5年になります。子供はいません。昨年からですが、夫の虫の居所が悪いと、私に手をあげるようになりました。
1度、ふくらはぎをけられたとき、軽い捻挫になりました。病院に行くほどの怪我ではありません。最近、私から離婚をちらつかせたことがあったのですが、夫からは、ちょっと手をあげたくらいで離婚できるなんて考えが甘い。そう簡単に離婚できないぞと言われました。慰謝料ももらえないぞとも言われました。
本当でしょうか。まだ、本当に離婚に踏み切る考えがあるかと言えば、正直分かりません



A.62 回答
(1)離婚が簡単にできるかどうかということですが,その前提としてまず,離婚する方法について説明します。
 離婚には,@当事者が話し合いで離婚を決める協議離婚,A家庭裁判所に調停を申し立てて2名の調停委員に審判官である裁判官を交えて話し合いで決める調停離婚,
B調停離婚ができない場合に,家庭裁判所に離婚の訴えを提起して離婚する裁判離婚の3種類があります。

(2)このうち,協議離婚,調停離婚も話し合いで当事者が合意した場合に成立する離婚ですから,相手方が嫌がっていれば離婚は成立しません。慰謝料も発生しません。
 例えば,妻が離婚したい,慰謝料が300万円欲しいと言っても,夫が拒絶すれば離婚もできませんし,慰謝料の発生もしません。
 
(3)次に裁判離婚について考えます。
 協議離婚でも調停離婚でも,当事者間の話し合いでの離婚ですから,話し合いが決裂すれば,裁判離婚ということになります。
どのような場合に裁判離婚ができるかですが,裁判上離婚原因は民法で明記されています。
民法770条には,離婚理由として@配偶者の不貞行為。A配偶者から悪意で遺棄されたとき。B配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
C配偶者が強度の精神病にかかり,回復の見込みがないとき。Dその他婚姻を継続しがたい重大な事由があるときを規定されています。

(4)そうすると配偶者の暴力は,@番からC番には該当しませんから,離婚原因との関係では,D番目のその他婚姻を継続しがたい重大な事由といえるかどうかが問題となります。
通常は@夫婦の性格の不一致とかA夫の妻に対する暴力とかが考えられます。

(5)夫の妻に対する暴力が離婚理由になるのであれば,今回の質問者は,夫が手を挙げたり,蹴ったりするということですが,離婚はできるのでしょうか。
それとも夫が言うように,ちょっと手を挙げたくらいではそう簡単に離婚できないということになるのでしょうか。
 夫が妻に暴力を振るう行為は婚姻を継続しがたい重大な事由に該当することも多いですが,暴力といっても単に1度くらい軽く手を挙げたことがあっても,
本人がその行為を反省して悔い改めるというような態度を裁判で示せば,離婚は難しいと思います。
 特に,病院に行くほどの怪我でなければ,暴力の証明という点でも難しい問題があります。

(6)それはどういう意味ですか。
 過去の離婚裁判で,妻が夫の暴力について色々主張していましたが,それを証明するのは妻の責任であるため,証拠がないとして敗訴になった例もあります。
やはり暴力を受け,それが原因で離婚を考えるような場合には,医師の診断書などをすぐに作成しておくことが必要です。



Q.63 盗撮行為
県外に住むぼくのいとこが、去年女性のスカートの中を盗撮し、現行犯で捕まりました。いとこはどんな罪に問われたのか?とても気になっています。
会社はクビにはならず、部署移動となったところは知っているんですが。子供もうまれたばかりで大変喜んでいたので、彼の今後の人生に、大きな影響がないことを祈るばかりです。
前科?があると、普段の生活においてどんな影響があるのかも、教えてください。



A.63 回答
(1)スカートの中を盗撮する行為は,刑法では処罰規定が置かれていません。
  しかし,各都道府県が規定する,公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(いわゆる迷惑防止条例)によって規制されています。

(2)迷惑防止条例では,具体的にどのように規制されているのでしょうか。
  例えば,石川県の場合,第3条で,何人も、公共の場所又は公共の乗物において、人に対し、
みだりに、人を著しくしゆう恥させ、又は人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならないと規定し,
その2号で衣服等で覆われている人の身体又は下着をのぞき見し、又は撮影し、若しくは録画すること。が規定されています。
そして,第12条では,第3条の規定に違反した者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
2 常習として前項の違反行為をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。と規定しています。

(3)現行犯で逮捕されたということですが,その後どうなるのでしょうか。
  逮捕されている期間は最長3日間ですし,通常は,その期間内に勾留請求されます。これは原則10日間,さらに10日間の延長も認められています。
 現行犯逮捕された場合,その期間内に,その人に対し,正式裁判するか,罰金にするか,釈放するかの処遇が決定されます。

(4)この人の場合はどうなりますか。
  犯罪を認めていれば,起訴されて正式裁判に行くことは通常はありません。
 逮捕後,勾留せずに釈放ということもありますし,勾留した後に起訴猶予ということもあります。また,勾留後に罰金という形で処理されることも多くあります。

(5)次に,前科があると今後の人生においてどう影響を与えるのかについてですが,
  確かに,前科があると一定の制限を受けます。
  例えば,その受けた刑罰によっては選挙権,被選挙権が制限を受けますし,弁護士,医師などの国家資格に影響を与えることもあります。海外渡航にも影響を与えます。

(6)前科というのは1度つけられると,その人が亡くなるまで前科があることになるのでしょうか。
 前科が消滅するかどうかということについては,法律上でいう前科と、検察庁で記載される前科調書とでは若干異なってきます。

(7)法律上の前科の場合は,一定期間経過後に消滅します。つまり,時間の経過により、刑の言渡しの効力が法律上消滅するということです。
  受けた刑の内容により消滅するための期間は異なりますが、前科は一定期間再犯を犯さなければ消滅します(刑法第34条の2)。

(8)これに対し,検察庁の管理する前科調書ですが,これは、本人が死亡するまで名前が残ってしまいます。
具体的には、罰金以上の刑に処せられた場合は、前科調書に記載され、過去に有罪判決を受けたという歴史的事実はずっと残ってしまいます。
 但し,前科はプライバシーとして認められているので、基本的には開示されません。よって、私人で調べることはほぼ不可能。戸籍や住民票、住民基本台帳等に記載されることもありません。



Q.64 名前の変更
知人からきいたのですが、営業先のお客さんが、名前が変わったので、改めてご挨拶なんて話しになったそうです。
結婚ですか?おめでとうございますなんて話したら、名字ではなく、名前だけ変えただけだったそうです。
理由を聞くと、字画と響きが悪いので、変えたと。戦国武将じゃあるまいし、そんな簡単に改名できるものなんですか?



A.64 回答
(1)名前の変更といっても戸籍の記載を代える場合と,単に通称を代える場合があります。
 戸籍の記載でなく,単に通称を代えるだけなら,自分で使っていれば,それで足りる問題です。そこで,問題は戸籍の記載を変更することが簡単にできるかということです。

(2)まず,戸籍に記載されている名前の読み方だけ変える,漢字を変更せずに、読み方だけを変えるのであれば、手続きは簡単です。
住民票を登録できる役場の窓口に行き、読み方の変更手続きを行います。

(3)これに対して,戸籍の記載上は,名前は簡単に変えることができません。頻繁に名前が変わると、社会的に混乱を招いてしまうからです。
しかし、どうしても変えなければならない場合、戸籍法第107条の2が正当な事由によって名を変更しようとする者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない。と規定しています。

(4)ここでいう「正当な事由」とは、どのような場合ですか。
   過去の判例では,具体的に,以下のような場合を指します
 @ 珍奇・難解など、その名前を使うのに社会生活上、著しい支障がある。
 A 家族や近所に同姓同名の人がいる。
 B 男性か女性か,その性別を間違えられる場合。
 C 犯罪者に同姓同名の人がいる等,精神的苦痛を伴う場合 
 D 長い間、通称名として使ってきた。

 戸籍上の名前の変更は,上記のような正当な理由が必要です。

(5)それでは例えば,姓名判断、占い、画数が悪いからという理由の場合,戸籍上の名前の変更はできるのでしょうか。
 このような場合は,通常は「正当な事由」とは認められません。ただ,「長い間、通称名として使ってきた」というのであれば,その期間が長ければ長いほど変更が認められる余地が大きくなります。

(6)具体的にはどのくらいの期間が必要ですか。
  社会的に広く認知されているというのが基準になります。具体的には,変更したいと思う名前を(通称名として)5年から10年くらい使用する。そして,それを証明することが必要です。
例えば,その間の通称を使った郵便物とか等を保存しておくことなどによって証明することが必要です。



Q.65 離婚後の子との面会
私のお付き合いしている彼は1年ほど前に離婚しております。離婚した元奥様の間には二人のお嬢さんがいます(6歳と3歳)。
離婚をするときは元奥様から離婚しても子供たちの父親にはかわりないはないのだから会いたいときは会わせるということでした。
しかし、元奥様のほうの環境もかわってきたのか最近ではなかなか会わせてもらえることもできず。
面会を求める連絡を取ろうとしても元奥様はメールアドレスを変更されてメールでの連絡もできなくなりました。
唯一、携帯の番号は変更ないようなので繋がりはしますが元奥様が携帯に出る事はないそうです。
彼は元奥様の現住所など教えてもらっていないので直接会いに行くこともできません。
子供に会いたさを辛そうに語る彼を見ると私も辛いです。
彼がどういった経緯で離婚をしたのかは聴いておりませんが穏便に法律の力で彼が子供と定期的に面会できるような方法はないでしょうか。
どうかお力をお貸しください。



A.65 回答
(1)質問内容を確認しますと,
@ 離婚した妻との間に6歳と3歳の2人の娘がいて,離婚をするときは,妻から離婚しても子供たちの父親にはかわりないはないのだから,会いたいときは会わせるということでしたが、
妻のほうの環境もかわってきたのか,最近ではなかなか会わせてもらえることもできない。
A 面会を求める連絡を取ろうとしても元奥様はメールアドレスを変更されて,メールでの連絡もできなくない。
携帯電話の番号は知っているが,鳴らしてもでないし,住所も知らないから直接に会いに行くこともできない。ということになります。
順番に検討していきたいと思います。

(2)法律的に子供と定期的に面会する方法はないのかということですが,まず,離婚したときの約束というのが,どういう約束なのかが不明です。
その約束が,家庭裁判所で調停離婚し,その際に父親として子供と面会交流する権利を定めた場合なのかによって,状況は異なってきます。

(3)まず,家庭裁判所で面会交流に関する権利を定めていないような場合には,離婚後であっても,
家庭裁判所に調停又は審判の申立てをして,面会交流に関する取り決めを求めることができます。
調停手続を利用する場合には,子の監護に関する処分(面会交流)調停事件として申立てをします。
そこで,子を養育・監護していない親が子供と面会,交流等を行うことについて,
その回数,日時,場所などといった具体的な内容や方法について話し合うことになります。

(4)調停では,子との面会交流の回数や方法をどのように決めるのですか。
 子との面会交流は,子にとって親と面会交流を行うことが,その子の健全な成長を助け,子の福祉にかなうものとなるよう,子の年齢,性別,性格,就学の有無,生活のリズム,生活環境等を踏まえ,
子に負担がかからないように十分配慮し,また子の意向も尊重した取決めができるように話合いを進めます。

(5)次に,家庭裁判所の調停や審判で面会交流に関する権利が定まっているにもかかわらず,離婚した妻が会わせてくれない場合はどうするかです。
 この場合は,その取り決めをした家庭裁判所に,履行勧告を申し出ることができます。
そうすると,その家庭裁判所の調査官が担当し,双方の言い分を良く聴いて,調整を図り履行を促してくれます。

(6)しかし,調整してもどうしても会わせないという当事者に対しては,直接強制はできません。
但し,そのような場合は,不法行為として損害賠償を認めた裁判例があります。

(7)離婚した妻と連絡がとれないという問題ですが,携帯電話番号が分かっていれば,そこから必要性があれば,
弁護士法23条照会等で,携帯電話の持ち主の住所を調べることは可能です。
 また,戸籍の付票を取り寄せることによって現住所を調べることも可能ですから,連絡を取ることは実際は可能になると思います。



Q.66 近隣の騒音問題
自宅の近所に歌謡喫茶というべきなんでしょうか。カラオケパブのようなお店があり、騒音に悩んでおります。
お客さんらしき人は、店の前に迷惑駐車しますし、静かな住宅街で営業すること自体非常識に感じます。
文句の一つも言いたいところですが、経営者がもしも怖い人だったら等と考えると私が正面切って言いに行く事等とてもできません。なにか良い解決策はありますでしょうか。



A.66 回答
(1)カラオケの騒音に悩んでいるとのことですが,近隣の騒音問題については,各都道府県の条例が規制しています。
 石川県では,「ふるさと石川の環境を守り育てる条例」が制定されており,その条例で, 飲食店営業等に対する音量制限を規定しています。

(2)どのように規制されていますか。
 その条例では,深夜における音響機器の使用制限が規定されています。具体的には,一定の指定地域で飲食店営業等を営む場合は、
音量基準の定めがあるほか、 午後11 時から翌日午前6時までの間、 カラオケ装置等の音響機器を使用することが禁止されています。
ただし、 音響機器から発生する音が外部に漏れ出ない措置を講じた場合は、 この制限を受けません。

(3)この規定に違反した場合にどうなりますか。
 規定に違反した場合に,一定の行政処分と罰則が規定されています。
 行政処分としては,条例に違反し、 かつ、 周辺の生活環境を損ねているときは行為の停止、 施設の改善などを勧告する。
従わないときは行為の停止、 施設の改善などを命ずる。ことが規定されています。
そして,それに違反したときには,さらに罰金10万円以下が規定されています。

(4)相談者の場合,条例に違反しているかどうか,それを調査するために具体的にどうすればよいでしょうか。
まず,担当している行政の窓口は,石川県環境政策課ですから,そこに問い合わせすれば良いと思います。
そこで,カラオケ騒音の相談をして,対処を依頼するのが良いと思います。
規制基準を超えているのか違反があるのかどうかを測定してくれると思いますし,
もし基準を超えているのであれば,解決に向けた当事者間の調整をしてくれると思います。

(5)さらに,違法駐車の問題は,違反が明らかですから,本来は直接に注意すれば良い問題でしょうが,
自分ではできないのであれば,近隣の警察署に相談すれば取締してくれると思います。

(6)「騒音規制のしおり」平成21年4月 石川県
騒音規制のしおりという小冊子も発行されています。
        電話076-225-1463 FAX 076-225-1466

☆ 第百五条 飲食店営業等を営む者は、指定地域のうち深夜における騒音の防止を図る必要がある地域として規則で定める地域において、
午後11時から翌日の午前6時までの間においては、規則で定める音響機器を使用し、又は使用させてはならない。
ただし、当該音響機器から発生する音が営業施設の外に漏れ出ない措置を講じた場合は、この限りでない。

☆ (改善勧告及び改善命令)
第百八条 知事は、第百四条第一項、第百五条又は前条の規定に違反することにより、騒音を発生する場所の周辺の生活環境が損なわれていると認めるときは、
当該違反行為をしている者に対し、期限を定めて、その事態を除去するために必要な限度において、
当該違反行為の停止、騒音の防止の方法の改善その他の必要な措置をとるべきことを勧告することができる。
2 知事は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、期限を定めて、同項に規定する措置をとることを命ずることができる



Q.67 中古住宅の購入後に見つかった欠陥
おともだちが中古の家を買ったんです。25年とか26年たった古い家です?でね、雨漏りするんですって。
むずかしいことはよくわからないけど、買った時の契約書?に、「買った後で見つかった欠陥」は直しませんとかいてあったらしく、とても困ったと言っていました。
こんな場合、売った人に直してもらうことはできないのでしょうか?



A.67 回答
(1)中古住宅を購入したら雨漏りがする。こんな場合に直して貰えないのかということですが,
中古の家を購入する場合は,当事者が気がつかない欠陥があった場合については,民法570条が瑕疵担保責任という内容を規定しています。
 この規定では,売買の目的物である例えば中古住宅に欠陥があって,契約をした目的を達成できない時は,契約を解除できる
。そうでない場合でも損害賠償の請求ができると規定されています。

(2)ところが,今回の場合は,買った時の契約書に、「買った後で見つかった欠陥」は直しませんと記載されていた。ということです。
この規定があることによって,瑕疵担保責任の規定が適用されないかどうかということが問題となります。

(3)この点,民法572条は瑕疵担保責任を負わない旨の特約をすることを認めています。
そうすると,この契約書の記載内容が瑕疵担保責任を負わない合意と解釈されるのであれば,責任を追及することが難しいということになります。

(4)但し,その場合でも,買い主が救済される場合が2つあります。
まず,1つは,瑕疵担保責任を負わないという合意をした場合であっても,売り主が知りながら告げていなかったというような場合には,その責任を免れることはできません。
 例えば,雨漏りがすることを売り主が知っていながら告げなかった場合だと,買い主が購入後に雨漏りに気がついたとしても,その責任を追及できます。

(5)もう一つは,売り主が不動産業者の場合です。
 この場合,宅地建物取引業によれば,宅建業者が自ら売り主になる場合には,瑕疵担保責任の期間の問題を除いて,買い主に不利益な特約を結ぶことはできないと規定されています(宅建業40条)。
そして,この条文に反する特約は無効としています。
買い主が買った後で見つかった欠陥は直さないとの規定は,買い主に不利益な特約であることは明らかですから,この特約は無効になります。

(6)住宅の購入は金額が大きいですから,契約書の内容はしっかりとチェックし,契約を締結する前に,相手と話し合って変更する条項は,その旨申し出た方が良いと思います。



Q.68 交通事故と保険金請求
息子が交通事故にあって,後遺症の認定も受けて,現在保険会社との間で示談交渉中です。保険会社から,支払い金額が提示されましたが,自分がインターネットのサイトで調べた金額と違っています。
保険会社の担当者に,そういう話をしても,保険会社としても,これで精一杯の金額を提示しているから,これ以上の金額は支払えないとの回答です。
示談書に署名するしか方法はないのでしょうか。



A.68 回答
(1)結論からいえば,示談書の内容に疑問があるのであれば,署名する前に,1度弁護士に相談に行くことをお勧めします。

(2)それはどうしてでしょうか。
 その前にまず,交通事故で被害を受けた場合の損害賠償と保険金の関係について,簡単に説明します。
交通事故で被害を受けた場合に,治療費,休業損害,慰謝料,逸失利益等の損害が発生します。その損害について,まず,自賠責保険で賠償を受けることができます。
そして,自賠責保険の支払いを超える部分については任意保険で支払いがなされます。その場合,自賠責保険の支払い基準というものがあります。さらに任意保険会社毎に内部基準があります。

(3)そうすると今回,相談者の方に任意保険会社の方が提示しているのは,自分の会社の内部基準による賠償額ということでしょうか。
 多分そうだと思います。

(4)これに対して,インターネットのサイトで調べた金額が保険会社の提示した金額と違うことですが,これはどういうことでしょうか。
 インターネットのサイトの金額は,おそらくそれは裁判基準によって計算された金額を記載しているのだと思います。

(5)裁判基準とはどういうことですか。
 簡単に言えば,交通事故の被害者が裁判を起こした場合に,裁判所で認定される損害額を基準化したものです。

(6)それでは,保険会社の提示額と裁判基準が何故異なるのでしょうか。
 裁判所では,その被害者の損害は具体的にどれだけかとの観点から,過去の交通事故の裁判を整理して,入院期間や通院期間,後遺症の程度,その人の年齢や所得等に応じて,損害額を認定します。
 これに対して,保険会社は,自社の内部基準で,被害者の受けた損害に対して,支払うべき保険金額を計算するという考え方をしますから,
両者は食い違うことが多くあります。結果として裁判基準の方が高額になることが多く発生します。

(7)相談者の方も,自分で調べるだけではなく1度,専門家に調べてもらって,その上で,保険会社の提案に応じるか検討された方が良いということですか。
 はい1度,示談書に署名すれば,もう取り返しがつきませんから,交通事故で自分の受けた被害が,客観的に裁判所ではどの程度として評価されるのかを知った上で,
保険会社の提示額に応じるかどうか検討する方が良いと思います。



Q.69 交通事故の後遺症
数年前、僕は仕事でバイクを運転していて車と正面衝突しました。幸い、大事には至らず4週間程度通院し、主に首を引っ張ったりマッサージしたりムチウチの治療をしました。
これ以上休めずに、一応完治したとして、警察署?で示談書を書きました。
それから数年が経ち、たまに首から背骨の上部辺りに激痛が走ることがあります。今、まさにそれです。
最近までは、寝違いかなと思ってましたが、もしかしたらあの時の事故の後遺症かもと思うようになりました。
だから、以前通院してた病院で再検査してもらい、事故との因果関係を調べてもらおうかと思います。
もし、後遺症だと認定されれば補償はされるのでしょうか?しかし、前の職場は退職してしまい示談書にもサインしてしまった今となっては、どうすることもできないのでしょうか?



A.69 回答
(1)交通事故の被害を受けた後に示談書を書いたということですが,通常は示談が成立すると,その交通事故で受けた損害についての問題は全て解決したということになります。
そして,その後に示談の蒸し返しはできないというのが原則です。したがって,示談書に署名捺印する際には,慎重に行うことが必要になると思います。
 但し,その原則にも一定の例外があります。

(2)それはどういうことですか。
 示談契約は,あくまで示談当時に当事者で予測された損害を前提として締結されるものです。

(3)そうすると示談当時に予測されていなかった損害については,どうなるのでしょうか。
 その場合に,示談の効力は及ばないということになります。

(4)この点については最高裁判所の判例があります。
  この判例では,示談によって,放棄された損害賠償請求権は,示談当時に予想していた損害についてもののみと解すべきである。
その当時予想できなかった後遺症などによる損害についてまで放棄した趣旨と解すべきではないとされています。

(5)そうだとすれば,相談者は,以前通院してた病院で再検査してもらい,事故との因果関係を調べてもらおうかと言っていますが,そこで,もし、事故の後遺症だと認定されれば,その分は追加で補償はされるのでしょうか。
 そうですね。
 医師が,現在の症状が,以前の事故の影響による後遺症であり,それが今発現したというような趣旨の意見を述べるのであれば,その可能性は高くなりますね。

(6)私自身の経験でも,1度示談した被害者が数年後に後遺症が発現したという事案で,整形外科の先生に,裁判所で事故との関連性が高い症状であるという証言をしてもらい,損害賠償請求を認める判決をもらったこともあります。

(7)但し,医師の協力を得るのもかなり難しいし,裁判自体も相当困難が予測されます。
 とりあえずは受診した医師と良く話し合って見るのが良いと思います。



Q.70 遺留分減殺請求
私の父は、金沢市内に駐車場を複数所有しています。父も高齢になり、最近父の財産の分配について家族と話し合う事になりましたが、残念ながら、円満に解決・・・と言う訳にはいかないようです。
父と同居している兄が、父の面倒を見ている分、割増しした相続を要求してきたからです。兄には感謝していますが、通院費用などはすべて父の貯金から支払っていますし、私の相続分を減らされる言われはないと思います。
法律的には、どう解釈できるのでしょうか?ご参考までに、相続人は、私と兄の2人のみです。



A.70 回答
(1)相続人が相談者とその兄の2人であれば,法定相続分はそれぞれ2分の1です。
 父の遺言がなされない限り,原則としてその割合で相続することになります。

(2)父親の遺言があった場合には,どうなりますか。
 その場合は,その遺言内容に従います。但し,相続人には遺留分がありますから,それを侵害するような遺言内容であれば遺留分減殺請求をして,あなたの相続分を確保することができます。
 子供の場合は遺留分は法定相続分の2分の1ですから,本件の場合には遺産総額の4分の1となります。

(3)今回父親と同居している兄が,割増した相続分を要求しているとのことですが,これについてはどうなるでしょうか。
 先ほど述べたように,まず遺言書が優先されますから,父親が兄の割増分に配慮した遺言を作成すれば,そうなります。

(4)父親が遺言書を作成せずに死亡した場合にはどうなりますか。
 当事者である兄弟2人で話し合いをして,遺産分割の合意を得ることができれば,その内容になります。

(5)話し合いをしても,お互いの合意を得れなられない場合はどうなりますか。
 この場合は家庭裁判所に調停を申し立てる必要があります。

(6)家庭裁判所ではどういう点が問題になるでしょうか。
 家庭裁判所では,相続人である2人息子が,父親から生前に財産をもらっていたかどうかの特別受益の有無,と父親の財産の形成に貢献したかどうかの寄与分という2点が問題になると思います。

(7)父親と同居して世話をしているが,通院費用などは父親の貯金から支払っている。これは,寄与分として考慮されるのでしょうか。
 一般的に,被相続人に対する療養看護も,寄与分として考慮はされます。
 ただ,寄与として認めるかの判断は,具体的な事案毎に,看護の内容,期間,被相続人との関係などを総合的に考慮して行われます。
今回の場合も,父親が寝たきりで,同居の長男の協力がなければ,入院せざるを得ないような症状,父親の療養費の負担を強いられるような状況にあれば,認められる可能性は高いと思います。



Q.71 賃貸マンションの敷金
僕は大学4年です。ようやく、就職先が決まり、来年は生まれ育った長崎に帰ります。
そこで出そうなトラブルなんですが、借りているマンションの敷金です!
部活の先輩から聞いたんですが、敷金以上の支払いを請求されたそうなんですよ。
何度か先輩の家に行きましたが、そんなに汚く使っていた訳ではないと思いました。僕も同じ不動産屋から借りているため、今すごく心配です。
アドバイス!お願いします。



A.71 回答
(1) 敷金の関係については,5月の連休前に1度説明しましたが,今回もう一度わかりやすく説明します。

(2)まず,敷金について簡単に説明します。
 敷金とは,一般に建物の賃貸借に際し,賃借人(入居者)の賃料債務その他の債務を担保する目的で,賃借人から賃貸人に交付される金銭です。

(3) そうすると敷金の目的はあくまで賃借人の賃料債務その他の債務を担保する目的ということですか。
 そうなります。したがって,契約終了の際に,賃借人(入居者)に債務不履行(未払い賃料,賃借物の損壊)があれば,その額が減額され,債務不履行がなければ,全額賃借人(入居者)に返還されるべきことになります。

(4) これは,入居時の契約には影響されないのでしょうか。 
  当然,敷金の返還がどの範囲で認められるかは,入居する際に契約した,賃貸借契約の内容がまず問題となりますから,その内容を確認して下さい。一般的には,不動産業者が利用している標準契約書という雛形があります。

(5)それによるとどうなっていますか。
 これによると,賃貸借物件の明け渡しの際に,賃借人がなすべき原状回復義務の内容については,「(賃借人は)通常の使用に伴い生じた本物件の損耗を除き本物件を原状回復しなければならないと。」と規定されています。
 ここでは,通常損耗は賃貸人の負担であるということが明確にされています。

(6)そこで,通常損耗とはどういうことかを含めて,どのような場合に賃借人が負担すべきなのかが問題となります。
  一般的に,建物の損傷については,年数を経ることによる劣化,通常の利用による損耗がありますが,これらは,通常損耗として,賃借人の負担すべきものにはなりあません。

(7)では,どういう場合が賃借人が負担すべきものなのでしょうか。
  賃借人の故意・過失・善管注意義務違反,その他通常の使用を超えるような使用による損害の場合が,賃借人の負担です。

(8)具体的にはどのような場合が考えられますか。
  例えば,床に関していえば,家具の設置によるへこみや設置跡や畳・フローリングの日照りや雨漏りによる色落ちなどは通常損耗ということになります。
 これに対し,賃借人の不注意で雨が吹き込んだりしたことに原因があるフローリングの色落ちやキャスター付きの椅子などのよるフローリングの傷へこみなどが賃借人の負担ということになります。

(9)今回の相談者がいうように,そんなに汚く使っていないならどうなりますか。
  特別に壊したり傷つけたりしていないのであれば,通常損害ですから,支払う必要はないと思います。
 ただ,相談者が契約した内容に,標準契約書と異なる特約が記載されているような場合,例えば,原状回復義務を賃借人の負担とするというような契約がなされた場合には,このような特約も一定の範囲内で有効になる余地がありますから,注意が必要です。
 ただ,本来賃貸人が負担すべきものを賃借人に負担させることになりますから,有効になる要件はかなり厳しくなります。また,契約の内容によっては,消費者契約法10条に違反して無効になる可能性もあります。



Q.72 クレジット・カードでのキャッシング
僕はいわゆるサラ金でお金を借りた事はないのですが・・・
クレジットカードでキャッシングしていました。
10年ぐらい前は、限度額の50万円は使っていたと思います。
サラ金の過払い金はあるにしても、クレジット・カードでのキャッシングにも過払い金は、あるのでしょうか



A.72 回答
(1)クレジットカードには,ご存じのとおり,ショッピングと,キャッシングの二つの機能があります。
 今回このキャッシングについてのご相談ですが,クレジットカードを利用してのキャッシングであっても,サラ金からの借入と基本的な考え方に違いはありません。

(2) 問題は,そのカードでキャッシングした時の借入利率がどうなっているかです。  利率が利息制限法の範囲を超えているかどうかがポイントです。

(3) どこのクレジットカードを利用していたのか,利用していた時期は何時頃かによって,利率が異なっていますので,注意して下さい。

(4) 具体的にはどのようなカードが利息制限法を超えている可能性が高いのでしょうか。
 私の今の記憶ですから,若干不正確かもしれませんが,銀行系の大手のクレジットカードの場合も,信販会社系のオリコカードとか,ジャックスとか,ニコスなども,平成20年より以前は,利息制限法を超えた利率であったと思います。

(5)どのタイプのクレジットカードであっても,古くからキャッシングをしていたような場合には,利率が利息制限法を超えている可能性は高いと思いますから,1度,相談にいかれたら良いと思います。
 そこで,過去の取引履歴を調査してもらえれば,過払いかどうかは容易に判明します。

(6) 調査してもらう場合は,どのような資料を持っていけばよろしいのでしょうか。
  過去の取引に関する明細書があるなら,それを持参してもらえればいいと思いますが,それがない場合でも,どこのカードで何時頃から取引していたのかが分かれば,十分です。

(7)調査する場合の費用はどのくらいかかるのでしょうか。
基本的に私の事務所では,相談料込みで1万0500円(消費税込)となります。その後,過払いであるから,取り戻しを依頼する場合には,さらに1万0500円(消費税込)分の追加が必要となります。
後は,取り戻せた金額に応じて報酬金が必要です。また,裁判になる場合には,印紙代金等の実費が必要です。詳しくはホームページで確認するか,直接事務所に問いあわせ下さい。



Q.73 預託金返還請求
以前から、私は とあるリゾート施設利用クラブの会員になっているのですが、
このほど、会員権の預託金を返還してほしく、電話で問い合わせました。
しかし、お願いした書類も届かず、改めて、状況を問い合わせたところ、返せないとの主張を繰り返すだけで,らちがあきません。
どうしたらよいでしょうか。



A.73 回答
(1)預託金会員クラブは,色んな分野で一時はかなりはやりましたが,大半は,財政的に厳しいようです。
 相談者が言うとおり,退会したから預託金を返還して欲しいと,電話で何度も催促しても,なかなか支払ってもらえないのが実情です。

(2)何故支払わないのでしょうか。
 今言ったとおり,財政的に苦しいというのが理由として一番に考えられますが,預託金の金額が少額の場合,支払えないということで,一貫して頑張って,会員が諦めることを期待しているのではないかと思います。

(3)それは具体的にどういうことでしょうか。
 例えば,預託金が30万円程度の金額であった場合,裁判にかかる費用が総額で15万程度とすれば,回収できれば15万円の利益です。しかし,回収出来ない場合は,15万円の持ち出しになります。そうすると中々裁判までは踏み切れないのが通常です。その気持ちを利用して,払えないといって頑張るところも多いように思います。 

(4)それではどうすればよいでしょうか。
 どうしても回収したいのであれば,やはり,訴訟を提起するとか法律的にきっちりと手続きを取るしか方法はないと思います。

(5)訴訟を提起すれば必ず戻ってくるのでしょうか。
 それはわかりません。本当に財政状況が厳しくて返すことができないのか。返せないほどではないが,簡単に返還に応じると,次から次と,返せという請求がくるから,任意の話し会いでは,応じないという方針をとっているのかによって異なってきます。

(6)本当に財政状況が厳しくて返すことが出来ない場合に,訴訟を提起すればどうなりますか。
 この場合は,返す能力がないわけですから,訴訟を起こしても殆ど無意味です。かえって,訴えられたクラブは民事再生するか,破産するかの選択をせざるを得なくなります。

(7)そうすると,訴えを提起する場合には,まだ返済能力があるのかどうかを見極めることが大切だと言うことになりますね。



Q.74 プレゼントの法的な意味
去年まで付き合っていた元彼女から、突然電話があり、プレゼントしてくれた時計を返してほしいと言われました。時計は、ロレックスで60万円ぐらいはします。わたしも愛着があり、返却に応じるつもりはありません。もし、彼女が法的処置に出るなどと言いだした場合、この時計は彼女のものになるのでしょうか?高額なものだけに、やはり、返さなくてはいけないのでしょうか?



A.74 回答
(1)元彼女から60万円のロレックスのプレゼントを返して欲しいといわれたということですが,まずプレゼントの法的な意味を考えてみたいと思います。
 プレゼントとは民法で言えば,贈与ということになります。
 贈与契約については民法550条で,書面によらない贈与は,各当事者が撤回できるが,履行の終わった部分についてはこの限りではないと規定しています。
そうすると,現実に履行されてしまった部分について撤回することができません。

(2)高額のプレゼントの場合も同じでしょうか。
  仮にプレゼントが高額であったとしても,そのことは影響を与えないと思います。結論としては返す必要がないことになります。

(3)今回の相談とは若干異なりますが,婚約の際、一般的には男性から女性に婚約指輪を贈り、女性から男性に時計などを贈ることが多いようです。
 このような場合,結婚に至らずに婚約が解消された時に,女性がもらった婚約指輪や,男性がもらった時計がどうなるか考えて見ましょう。

(4)この場合,婚約破棄の理由がどちらにあるかによって,考えられる解決方法は異なってきます。
 まず,女性が正当な理由がないにもかかわらず,解消を申し出た場合は,男性は女性から婚約指輪を返してもらうか,女性に買い取ってもらうという事になると思います。それ以外に損害賠償請求も可能となります。
 どちらを選んでも、女性から婚約指輪のお返しとして貰った時計などは、返還する必要はありません。

(5)次に,男性が正当な理由がなく解消を申し出た場合は,逆のパターンになります。
  時計は女性に返すか,男性が相当額で買い取ることになりますが,女性がもらった婚約指輪は返還する必要はありません。

(6)問題はどちらにも責任がなく,お互いの合意で婚約が解消された場合です。
 古い裁判例ですが,結納は、他日婚約が成立することを予想して授受する一種の贈与であって、婚約が後になって、当事者双方の合意の上、解除された場合には、当然その効力を失い、その給付を受けた者は、その目的物を相手方に返還すべき義務がある。と判断した例があります。
 この場合は,合意で解消する場合ですから,話し合いで決めれば足りるとも考えられます。

(7)相談者の質問に戻りますが,先ほど述べた通り,基本的には返す必要がありません。ただ,婚約が成立している証拠の意味で,プレゼントを受けた品物であって,相談者の方に落ち度があって別れたと言う特殊な事情があれば,今説明した通り返す必要があることになるかもしれません。



Q.75 多重債務の解決方法
恥ずかしながら・・・サラ金の借金で首が回りません。
カード会社 5社からの借金は200万円を超え、両親から無理を言って借りたお金も、底をつきそうです。私は、どうしたらいいのでしょう?



A.75 回答
(1)相談者の借金の内容が,この質問だけではよく分かりませんので,1度早急に専門家に相談に行く必要があると思います。

(2)そこで,今回の相談内容について,考えられるパターン毎に説明しようと思います。
 まず,5社のサラ金からの借入金額と取引期間がどのくらいあるのかによって,5年間以上にわたり長期に借入や返済を継続していたのであれば,過払いとまではいかなくても,借金の返済額を大幅に減額することも可能です。
 その場合は,個別の業者ごとに,大幅に減額した上で,毎月の支払額を決める解決方法になります。

(3)借入内容を調査した結果,取引期間が短いため,あまり借金が減らない場合はどうなるのでしょうか。
 この場合は,本人の収入額で借入金の返済が可能かどうかを吟味し,返済が出来ないと判断すれば破産申立をすることになります。
 破産申立をして,免責の決定を受ければ支払いをする必要がなくなります。

(4)この人に破産できないような事情があれば,どうなるでしょうか。
 例えば,借金の大半が遊興費であったような場合とか,住宅ローンを別に抱えていて,住宅を失いたくないような事情があった場合ですが。
 この場合には,個人再生の申立手続きを考えることになります。

(5)個人再生とはどういうことですか。
  その人に借金もあるけれど,継続的に安定した収入がある場合に,借金の一定額を返済して,残金を免除する制度です。
 通常は最低100万円以上で,借金の2割を3年ないし5年間で返済して,残りの借金を免除することになります。
 相談者の場合は,200万円の借金を100万円にして,3年ないし5年で返済することになります。

(6)先ほど住宅を失いたくないような場合に利用できるといってましたが,この場合,住宅ローンとの関係はどうなるのでしょうか。
 この制度では,住宅ローンはそのまま返済を継続して,それ以外のサラ金などの借金だけを100万円以上で2割に減額することになります。
住宅ローンの支払いを継続することになりますから,住宅を失うことはありません。

(7)借金の内容によって,色々な処理方針が考えられますから,1度専門家に相談した方が良いと思います。



Q.76 交際解消に伴う慰謝料請求
私には、高校の時から付き合っている彼氏がいます。来年で11年の付き合いになります。30になる前には結婚して一緒に暮らそうねって何度も約束していました。それなのに、この前彼から別れようって言われました。もう、男性が信じられません。
彼からは、記念日の度に結婚しようねって言われていました。親友からは、ネットに10年も付き合ったんだから、別れるんなら慰謝料もらえるよって書いてあったと言われました。本当ですか?できることなら、私は別れたくありません。でも、ただで別れるのは絶対に嫌です。



A.76 回答
(1)交際中の2人が別れる場合に,相手方から慰謝料をもらえるかということですが,結婚している夫婦が離婚する際に,相手方に慰謝料を支払うことはよくあります。離婚の場合には,離婚原因を作った側の方が相手方に慰謝料を支払う事になります。

(2)交際中の2人が別れる場合にも同じように考えられるかということですが。
2人が法律的に保護される関係にあると言えるかどうかが問題となります。

(3)結婚していなくても法律的に保護される関係ということですか。
例えば,入籍はしていなくても,事実上夫婦として生活している場合には,内縁関係として法律上保護されます。この場合,正当な理由がなく解消すれば,慰謝料請求の対象となります。

(4)その他にはどうでしょうか。
そうですね。もう一つ例として,婚約関係にある場合が,法律的に保護されることになります。
まだ,入籍をしておらず,事実上の共同生活を開始していなくても,2人が婚約関係にあると判断されれば,それを不当に破棄すれば慰謝料請求の対象となります。

(5)今回の相談者の場合は,この婚約関係にあるかどうかがポイントになると思います。

(6)それではどういう場合が,婚約関係にあると言うことになるのでしょうか。
通常は結納をしたりすれば婚約関係にあることになりますが,そうでなくても,当事者が婚姻を約束していた場合が婚約にあたります。肉体関係や,同棲は必ずしも必要ではありません。

(7)また,結納があることも必ずしも必要ではありません。過去の裁判例を紹介しましょう。
例えば,当事者が婚姻を約した上,長期間にわたり肉体関係を継続した場合において,たとえその関係を両親兄弟に打ち明けず,結納を取り交わしたり,あるいは同棲しなかったとしても婚約は成立し,不当破棄者には慰謝料の支払い義務があるとした裁判例があります。

(8)相談者の方も10年間付き合いをした。結婚の合意があったということですから,婚約が成立していたと見る余地は十分にあります。
その場合は慰謝料請求が出来ます。



Q.77 個人再生について
年末の放送で話されていた「個人再生」について教えてください。
知人がギャンブルで借金を重ね、困っています。「個人再生」だと、住宅ローンを残し、持家も手放さなくて済むと聞きました。彼はちゃんと定職にも、ついております。よろしくお願いします。



A.77 回答
(1)個人再生について教えて下さいとのことですが,個人再生の手続きは,破産手続きと同様に,負債の整理に関する手続きです。
負債の整理方法としては,従前は,任意整理,破産手続き,特定調停が利用されていましたが,今から10年ほど前に今話をする個人再生手続きというものが導入されました。

(2)相談者の方は,持ち家を手放さなくて負債の整理をしたいとの事ですが,そうすると,個人再生手続きでは,それが可能です。

(3)個人再生手続きとはどんな手続きですか。
通常,住宅ローン以外の借金の総額の2割,100万円以上を3年ないし5年で返済します。そして,残額を免除してもらう制度です。

(4)この制度のメリットは何ですか。
 先ほど言いましたとおり,住宅ローンの支払いを継続し,住宅を残すことが可能です。
また,破産と違い,資格制限はありませんし,借金の内容がギャンブルや遊興費が多く,借金の使い方に多少問題が合ったとしても,利用は可能です。

(5)もう少し具体的に説明します。
  相談者の借金の内容が不明ですから,こちらで簡単な例を出して説明します。
  例えば,相談者がサラ金クレジットや,その他の借入が合計400万円ある。
  10年前に新築住宅を購入した。2000万円の住宅ローンを組み,現在残額は1200万円である。
 住宅ローンの毎月の返済が10万円であり,その他の返済が金利だけで毎月6万円程度しているとします。

(6)この人が個人再生手続きを採用した場合に,どのような返済方法になるのでしょうか。
 この人の場合,400万円の借金を100万円に出来る可能性が高いと思います。そして,その金額を3年ないし5年で返済します。金利はかかりません。

(7)そうすると住宅ローン以外の支払額は,3年返済ですと年間33万,毎月2万7778円,5年返済ですと,年間20万で毎月1万6667円になるということですか。
 そうです。それに住宅ローンを毎月10万円支払いするということになります。

(8)個人再生手続きを選択するのには何か制限はあるのでしょうか。
  本人の資力が重視されます。確実に返済が出来る定期的な収入があるかどうかが,チェックされます。

(9)利用できる人はサラリーマンに限るのでしょうか。
  サラリーマン以外に自営業者の方でも利用できます。

(10)他には注意することがあるのでしょうか。
 今説明したのはあくまで,一般的な話です。個人再生手続きにも,色々なバリエーションがありますし,どういう方法を選択するのがいいかは,その人の収入,財産状況,負債状況を踏まえて,相談する弁護士と話し合うのが良いと思います。



Q.78 競売物件とは
新聞で競売物件って出てますが、これって、ずいぶん安いですよね。
だんなと良い物件があったら買おうかとも話しています。
調べてみると、問い合わせ先って裁判所なんですよね!?
競売物件って、いったいどういった物件なんですか?おしえてください。



A.78 回答
(1)競売物件とは,例えば,破産者が所有していた自宅とか,その物件の持ち主が借入金の支払いができなかったことから,金融機関から裁判所を通じて強制的に売却手続きをとられた物件のことをいいます。
 金融機関が,貸付金を回収するために担保をつけていた物件のうち,担保権を実行して競売にかけられた物件が大半になります。

(2)競売物件の値段というのは,どういうふうに決まるのでしょうか。
  競売物件の金額については,裁判所の執行官が,その物件を調査して,最低売却価格を決めます。それを新聞などに公表して,入札で最も高い金額をいれた人が購入することになります。

(3)通常の市価より低いのでしょうか。
  相談者の質問にあるとおり,競売物件の価格は,通常の市場価格より低く,その半分から7割程度だと思います。

(4)競売物件を誰が購入するのでしょうか。
 通常は,不動産業者が購入することが多いです。不動産業者は,競売物件を出来るだけ安く落札して,一般人に売却するよう努力しています。購入者を決める落札日には,裁判所に多数の不動産業者が集まっています。

(5)一般人も参加できるのでしょうか。
 一般人も参加出来ます。私も,住宅用の土地を探していたときに,参加したことがあります。落札できませんでしたけど。

(6)競売手続きに参加する場合に注意する点はありますか。
 裁判所に,物件ごとに,詳細な情報を記載した現況調査報告書というものが備え付けられていますから,まず,その内容を十分に確認することが必要です。
 物件によっては,色々な制限がついているようなことも,多いですから,十分に注意することが必要です。

(7)特に,不動産は高い買い物ですから,慎重に判断する必要があります。

(8)個人で現況調査報告書の内容が十分に確認出来ない場合は,どうすればよいでしょうか。
 その場合は,信頼できる不動産業者に相談してみるのも良いでしょう。
 また,現況調査報告書はコピー出来ますから,調査報告書を持参して,法律事務所に来ていただければ,その物件に問題があるかどうかの判断をすることも可能です。



Q.79 信販系の過払い金
以前の放送で、信販系のキャッシングでも過払い金があると聞きました。
私は、10年前に信販系で30万円借り入れしたことがあり、
その後、借りたり返したりを繰り返しましたが・・・
5年前に一括返済しております。
今一度、先生に過払い金の返還をお願いした場合の流れについて
教えてください。



A.79 回答
(1)まず,最近の過払い金返還の状況はどうなんでしょうか。
 過払い金に関する事件は,一昨年度が一番多かったと思います。昨年辺りから大幅に減少し,今年はさらに減少すると思います。

(2)今日の相談者は信販系業者からのキャッシングですが,サラ金業者のキャッシングと比較して返済状況はどうでしょうか。
 どちらかと言えば,信販系業者の方がまだ返済率が高いと思います。

(3)それはどういうことでしょうか。
 過払い金返還請求に耐えられなくなったサラ金業者が多く,返還請求をしても,半分とか3分の1とかを半年後に返済するというような内容の提案をする業者が多くなってきたということです。

(4)それでは,今日の相談者の質問にある,過払い金返還の依頼を受けた場合の流れについてお聞きします。
 まず,事務所に相談の電話が入ります。
 その時,電話を受けた事務員が,相談者に返還請求を希望する業者と取引の内容を簡単に確認します。そして,事務所の相談料金について説明します。

(5)事務所の相談料金はどうなっていますか。
 消費税込みで30分5250円となっています。
 過払い金返還請求を依頼する場合には,相談料込みで2万1000円の着手金になります。
 過払い金の内容の調査を依頼する場合には,相談料込みで1万0500円です。その後,返還請求を依頼する場合には,1万0500円の追加が必要となります。

(6)その他には費用はかからないのですか。
 その他に,訴訟を提起する場合には,裁判所に納める印紙などの実費が必要ですし,戻ってきた金額に応じて,報酬金が必要となります。詳しくはホームページにでていますが,一般の基準よりは若干低い金額としています。

(7)電話をした後は,どうなりますか。
 その後,事務所での相談日時を決めます。そして,事務所で,弁護士と面談の上,相談内容を確認し,依頼をするなら委任契約を結びます。

(8)依頼をした後の手続きはどうなんでしょうか。裁判所とかに出向く必要はあるのでしょうか。
 事務所から,交渉状況についての連絡は行きますが,裁判所に出向く必要はありません。

(9)サラ金や信販業者から直接,自宅や職場に電話があったりすることはあるのでしょうか。
 そういうことも一切ありません。弁護士などからの受任通知が届けば,本人に対する一切の連絡は禁止されることになります。

(10)サラ金業者や信販業者の返還条件が徐々に悪くなっているということですから, もし,過払い金返還請求を考えているのであれば,急ぐ必要があるのではないでしょうか。
 その通りです。せっかく返還請求できる金額があっても,現実的な回収が出来ないという事態になりますから,急いだ方が良いと思います。



Q.80 交通事故の損害賠償と保険金
去年の夏に、知人が大きな交通事故に遭いまして、、、
先月までは週に1度、病院に通いリハビリを続けていました。
ようやく、体も思うように動くようになり、長く休んでいた警備の仕事にも復帰できるようです。しかし、今月に入り、加害者側の保険会社から、損害賠償の額を提示されたそうですが、納得できるような金額ではなかったと、大変困っておりました。以前、番組で、同じような相談にお答えしていたように記憶しております。繰り返しのお話しになるかと思いますが、お教えいただければ幸いです。


A.80 回答
(1)交通事故にあって加害者側の保険会社から金額が提示されたけど,納得できなかったということですか。
 詳しくは記載されていませんが,加害者側の保険会社と交渉がなされたと言う趣旨だと思います。

(2)自動車には自賠責保険は法律上必ず加入しないといけませんが,任意保険は,自由ですし,たまに加入していない場合もありますから,今回の場合,加害者が任意保険に加入していたということは幸いだったと思います。

(3)損害賠償は,本来事故の加害者本人が被害者に対して行うことになるのではないでしょうか。
 それが原則ですが,自動車の場合だけは保険制度が充実していますので,自賠責保険,任意保険でそれをカバーする事になります。
賠償基準として,自賠責の支払う基準があって,それで不足する部分を任意保険で補充するというような関係になります。

(4)それでは,加害者の保険会社から提示された賠償額に納得できない場合はどうすればよいでしょうか。それに従うしかないのでしょうか。
 保険会社の提示額はあくまで,保険会社の内部基準で定めた金額を基準として算定した額で,その人の正確な損害額ということではありません。
 したがって,不服があればそれに従う必要はないと思います。

(5)それはどういうことでしょうか。
 その人が受けた損害額を正確に決めるためには,やはり裁判所の判断が必要となります。裁判所で裁判をした結果,その人の受けた正確な損害額が決まることになります。その金額と保険会社の提示する金額とは,厳密には違って来ます。

(6)具体的にどの程度違うのでしょうか。
  裁判所で認定される場合の,損害額の基準というのは,毎年発刊される書籍で整理されていますが,保険会社の内部基準に比べて3,4割は多いように思われます。
そのため,裁判をした方が賠償額が高額になることが多くなります。
 しかし,保険会社の方も事案によっては,裁判基準に近い提案をしていることもありますから,ケースバイケースともいえます。

(7)保険会社の提示額に不満のあるその人は,どうすればよいでしょうか。
1度,保険会社の提示額を持って,法律事務所に相談に行かれるのが良いと思います。 裁判基準の場合にはどの程度の金額が予測されるかの判断をしてくれると思います。



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