遺産相続について

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 Q.1
 自動車交通事故を起こすとどんな責任を負うのか?

 A.1
 自動車事故を起こしてしまった場合,運転手は,原則として民事上の損害賠償責任や懲役,禁錮又は罰金などの刑事上の責任のほか運転免許の取消し,停止などの行政上の責任を負うことが考えられます。
 
 民事上の損害賠償責任とは,運転に過失があれば,被害者に対してその人が出費した治療費,入院費,車の修理代等に加え,被害者が入院や通院により休職を余儀なくされた場合に受け取れなくなった給与相当額などを支払うものです。それゆえ,被害者の職業,年齢,性別や休職の期間などによっては多額の賠償金を支払わなければならないケースがあるのです。
 
 続いて,刑事上の責任ですが,自動車の運転に必要な注意を怠ったために被害者を死傷させてしまった場合,自動車運転過失致死傷罪として7年以下の懲役もしくは禁錮又は100万円以下の罰金に処せられます。さらに,アルコールなどの影響で正常な運転ができない状態で事故を起こしたり,他の人や車の走行を妨害する目的で侵入,接近し,あるいはことさらに信号を無視した上で重大な交通の危険を生じさせる速度で車を運転して事故を起こした時などは,危険運転致死傷罪としてより重たい刑に処されます。
 ちなみに,飲酒運転,無免許運転,ひき逃げなどの場合は道路交通法違反をこれらと併合して起訴されることもあります。なお,物損事故のみの場合は,主に道路交通法違反として罰金刑に処されることが多いです。
 
 最後に行政上の責任ですが,運転免許の減点,免許の停止及び取消しがこれにあたり,停止や取消しになると,自動車の運転ができなくなります。これらの処分は都道府県に設置されている公安委員会が行っています。
 自動車事故に対する世間の目は非常に厳しいものとなっており,被害者はもちろん,加害者も悲惨な状況に置かれることがあります。自動車を運転される方は,安全運転に心がけましょう。





 Q.2
 自動車事故を起こした場合に損害賠償責任を免れることはないのか?。


 A.2
 運転手が損害賠償責任を負うのは,運転手の故意又は過失によって事故が引き起こされ,事故によって損害が発生した場合です。それゆえ,運転手がどうしても避けられなかった事故(不可抗力による事故)については,損害賠償責任を負いません。
 もっとも,自動車の運転には高度の注意義務が課されていますので,単に「人が急に影から飛び出してきたから避けられなかった」程度では,到底,不可抗力とは言えないのが現実です。なお,法律では,@車の運行供用者(当該自動車の使用について支配権をもっていて,自動車の使用によって利益を受ける人。例えば自動車の名義人など。)及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと,A被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があったこと並びにB自動車の構造上の欠陥又は機能の障害がなかったことを証明したときに限って損害賠償責任を免れるとされています。ただ,実際に不可抗力と認定されることは極めて希であり,また,その立証は大変難しいものとなっています。
 損害賠償責任を免れないとしても,被害者の方が信号を無視していたり,一旦停止をして左右の確認をしなかった場合など被害者側にも過失があると認められるようならば,過失相殺をして,賠償額を軽減してもらえる場合もあります。





 Q.3
 交通事故の被害者になってしまった場合


 A.3
 交通事故に遭い,怪我をしてしまったならば,加害者に対して被害弁償を請求したいところです。 しかし,相手方の身元が全く分からないようではどうしようもなく,加害者の身元を確認することが極めて重要になってきます。その際,運転免許証などを提示させ,氏名,住所,勤務先などを押さえておきましょう。仮に,加害者がこれらを明らかにしなかったなら,少なくとも加害者の車のナンバーを控えるなどしておきましょう。
 加害者には,被害者を救護し,警察に事故内容を申告する義務がありますが,加害者が警察への申告を渋るような場合,被害者自身が警察に申告し,交通事故証明書等を受け取っておくべきです。また,この申告が加害者の刑事責任,行政責任の端緒になります。このことは,後に加害者に対して被害弁償を請求する際の証拠としても意味があります。証拠の収集ということからすれば,負傷した場合には速やかに医師の診断を受けるなどし,診断書等が用意できるように備えるなどもしてください。
 なお,加害者側の保険会社から保険金の提示をされた場合でも,その額が不当に低くとどまることがあります。そのような場合に,自分だけで賠償額を引き上げることは非常に困難であり,すぐに弁護士に相談してください。また,加害者から示談を持ちかけられたような場合にも,弁護士に相談してください。加害者側に交渉慣れした人物や場合によっては暴力団まがいの示談屋などが現れ,被害者は,不利益を被るおそれがあるからです。
 損害賠償を受ける際には,法律の専門家である弁護士の手が必要不可欠です。





 Q.4
 交通事故の加害者になってしまった場合


 A.4
 自動車で人をはねて怪我をさせてしまった場合,法律上,被害者を救護し,事故内容を警察に申告する義務があります。これを怠ると,それだけで処罰されます。
 また,加害者は,被害弁償の責任を負いますが,そのためには保険会社に事故について届出をすることになります。ただ,その前提として,被害者の救護,警察への届出をし,事故後に損害が拡大しないように努めなければなりません。そして,なるべく早く保険会社又は代理店に事故の発生を連絡しなければならず,保険会社が損害の査定を行うために保険会社に協力する義務があります。
 人身事故が起きると,高額な被害弁償責任を負うことがありますので,任意保険に入っていない自動車を運転することは絶対に止めましょう。
 なお,示談をする場合,被害者は高圧的な対応をすることもありますが,弁護士に相談してください。加害者である以上,誠意ある対応をしなければなりませんが,まともに話し合いができない場合には,弁護士を通じて簡易裁判所に民事調停の申立をすることもできます。






       
                                      石川県金沢市大手町7番23号
                                                        蔵大介法律事務所
                                                       金沢弁護士会所属
                                                   電 話:076(234)5830
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