モスクワのシェレメチボ空港に降りると、知人から紹介された現地在住の日本人が迎えに来てくれていた。 「ロシア人って、どんな人?」 私の問いかけに、彼は答えた。 「あなた、何歳ですか」 「28」 「じゃ、今まで生きてきたなかで『コイツ、ダメなやつだなあ』っていう人がいたでしょ」 「うん。まあ」 「それが典型的なロシア人ですから」 彼の言うとおり、ロシアの旅は一から十までくそったれの連続だった。けれどまた行きたいと思うのはなぜだろうか。