はじめに
日本全国を張り巡らす「国道ネットワーク」。その中には厳しい地形のために、ある道は車の通行が
不能となり、ある道は近年になり長大トンネル等により難所を克服した。そういう難所を進む国道達
を当サイト管理人(筆者)がセレクトし、訪問の上で紹介するのがこの「国道難所」である。
本当の難所越え国道は道自体が廃道になっている所が多いが、ここでは車での到達が容易な場所
に絞っている。バイパスの工事などでレポートしている状況に大きな変化が生じると思われるが、
「国道難所」をお楽しみいただきたい。

今回紹介する国道289号「甲子(かし)道路」は2008年7月であるが、それまでは甲子峠を車で越える
ことができなかった。その代わりではないだろうが、甲子峠を越える登山道が国道指定を受け、国道
標識が立てられ「登山国道」と呼ばれてたのはその筋では有名な話である。「甲子道路」開通前後の
同道路及び「登山国道」についてここで紹介する。

開通後のレポートはこちら→甲子道路〔現在〕
「国道289号(甲子道路/登山国道)」の位置
■所在地:福島県西郷村

訪問レポート
■2004年5月2日

※大黒屋や登山道の位置関係がわかるよう、甲子道路開通後の地図であるが掲載した。ご了承下さい。

20%の急勾配に望む
20%の急勾配に望む
「道」をこよなく愛するWeb開設者のページに、よく登場するのが今回目指す国道289号『甲子(かし)登山道』。当管理人もぜひ一度そこを訪れたく、家族旅行のルートにそこを組み込むことに成功したのだった。

旅行は北陸・新潟経由で福島県に入り、裏磐梯から猪苗代、白河、甲子というコースで車を進めた。慣れない長距離ドライブから裏磐梯辺りで子供の体調が悪化し、猪苗代の病院へ連れて行くというハプニングが発生。幸い旅行を中止せざるを得ない自体は避けられたが、子供の今後の体調を考えると早めに旅行を切り上げる方がよさそうだ。甲子も断念か!?と思われたが、立ち寄ってもそんなに遠回りにならないだろうという判断で現地へ向かうことにしました。

白河市街地より国道289号を西へ向かい、山に近づくにつれ国道は高度を徐々に上げていく。目的の甲子登山道へは、国道をまっすぐ甲子温泉まで進めばたどり着く予定だった。「だった」と書いたのは、甲子温泉の手前数キロで工事により旧道のほうに迂回させられたからだ。既に開通していた国道バイパスのトンネルで地質上の問題があり、対策のための工事が行われているらしい。旧道途中から再びバイパス(現道)に戻る道があったのだが、それに気づかなかった我々はそのまま旧道を進んだのだった。

旧道は道は狭いもののすれ違いは可能で、川沿い(阿武隈川上流)の林の中を進んでいく。実はこの時、子供の体調と共にガソリンの残量も気になっていた。白河からここまでガソリンスタンドの営業を見なかったし・・・(汗)。そしてもう少しで目的地というところで、交互通行のための信号機に引っかかった。その信号機の先には、「上り坂勾配20%」の標識と共に、標識がなくとも一発で急だとわかる坂道が目に飛び込んできた(画像一番上)。ガソリンも残り少ないのにそんな急坂を登るのか!?

結局「無理は禁物」ということで、車を近くの路肩(この山中にあって良かった)に停め、子供と妻を車に残して筆者は徒歩で急坂に挑んだのだった。坂を何とか登りきると道は分岐し、直進は谷あいを更に高度を上げていくが、今回の目的地は右折。その先は旅館(大黒屋旅館)の敷地となっていて、そこを失礼しながら進んでいく。旅館の玄関前の先に離れの建物が見え(画像上から2番目)、その離れの門状部分を通ると、目指す登山道の入り口となる。

右下に大黒屋の露天温泉と阿武隈川の源流を眺めながら谷底へ向かう登山道(画像上から3番目)を降りていくと、今回の真の目的物が目に飛び込んできた。そこには予定通り、登山道にはアンマッチな「国道表示」標識が立っていた(画像上から4番目)。標識の先はコンクリート製の橋になっていて、下をごうごうと清流が流れている。橋の先にある階段を上ると本格的な登山道になっていて、その途中にも国道標識が立っていた。途中で登山道を降りてくる本格装備のおじさんとすれ違ったが、いかにも運動不足な体型で軽装の上デジカメを持った管理人を見て、きっと彼は「ああ、また道ヲタクが来たな」と間違いなく思っただろう(汗)。

事前情報では、この先にはもう標識はないとのことだったのでUターン。先ほどのコンクリート製の橋で上流を見ると、そこには建設中の立派な橋を確認することができた。今は車が通行できない国道289号甲子峠を車が通れるよう、バイパス(甲子道路)を現在建設中であり、その橋はバイパスの一部となる。この橋を間近で見れないか?というわけで橋への道を探すも、川を遡れそうな道は見当たらず断念した。

旅館に戻った時点で、先の“分岐点”から谷あいを進む直進路があることを思い出した。それを進めば建設中の橋も身近に見えるだろうということで、そちらに歩を進めてみた。案の定、美しい山をバックに例の橋を眺めることができたのだ。この甲子道路、平成20年度に開通するらしい。開通したら、再びここを訪れてみたいと思った。

子供の体調も気になったので、惜しみながらも現地を離れ妻と子が待つ車へいそいそと向かった。帰りは20%の下り坂なので歩くのに苦労はしないだろうと思ってたら、坂が急すぎて足の踏ん張りがいつも以上に必要となり
大黒屋旅館の玄関向こうの離れに向かいます
大黒屋旅館の玄関向こうの離れに向かいます
登山道は急な砂利道坂で谷底へ
登山道は急な砂利道坂で谷底へ
登山道に国道標識発見
登山道に国道標識発見
さらに登山道を進むとそこにも標識が
さらに登山道を進むとそこにも標識が
建設中の甲子道路の橋
建設中の甲子道路の橋
国道289号と甲子登山道を案内する看板
国道289号と甲子登山道を案内する看板
結構大変だった。車に戻ると子供の体調はよくなく、帰路を急ぐのだった。
なお、この「甲子登山道」については、井上さんのページ「KOKUDOU.COM」の「Kokudou Quest」99年7月に詳細がレポートされているので、そちらもご覧頂きたい。

最後に、子供の体調は薬の効果である程度は戻り、ガソリンは栃木県に入るまで十分に残っていたのだった(^_^;)