有栖川有栖


表は上段が左から標題・作者・出版社・点数(10点満点)、下段が感想となっております。

「海のある奈良に死す」有栖川有栖 双葉社5点
推理作家の有栖と犯罪心理学者の火村によるシリーズのうちの一作
わたしとしてはこのシリーズを読むのははじめてです。
古来からの歴史的つながりにより「海のある奈良」と呼ばれる福井県小浜を 舞台にした一作…というとちょっと語弊があるかな?
タイトルからしてある意味ミスディレクションです。
殺された作家が書こうとしていた推理小説と古い八尾比丘尼の人魚伝説、そ れに「石童丸物語」。
この3つの話が糸を織り成す物語。
この3つの物語に秘められた伏線をたどる推理小説です。
結末に若干の不満は残りますが、結構楽しめたお話でした。

「孤島パズル」有栖川有栖 創元推理文庫6点
前作があまりに駄作だったので、同シリーズの続編を読んでみました。
この作品でなんとなくこの作者の魅力がわかったような気がします。
本書も閉ざされた孤島というクローズドサークルが舞台ですが、登場人物の 個性、生活背景がそれぞれ異なり、それぞれの区別は容易でした。
また、人物自体の魅力も前作より上。まぁ、ようするにキャラクターがよく 書き込んであるという事でしょう。
この部分が目障りで無くなると彼の書く論理的なトリックが際立ってきます。
自らつくりあげた舞台背景を存分に活用し(当然かな?)、極めて論理的に殺人トリックが 解き明かされます。
江神先輩もなかなか味のある人で、十分に楽しめた作品でした。

「月光ゲーム」有栖川有栖 創元推理文庫3点
有名(新本格)推理作家、有栖川有栖のデビュー作です。
ふと読みたくなったので、買ってみました。(笑)
私には馴染めない無理矢理な閉鎖環境(クローズドサークル) の設定、個性が無いわりに多い登場人物(名前見ても誰だか判 別できなくなる)、こじつけたような動機。
あまり好きな作品ではなかったです。
あ、でも、月について語られる幻想的な場面は好きですけどね。





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