| 「閉ざされた夏」 | 若竹七海 | 講談社文庫 | 7点 |
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後味の凄く悪い作品。 って、このセリフは誉め言葉だったりするのですけど。 彼女の作品の場合、最後にやるせない後味の悪さが残ることを期待して読んでるようなところがありますので。 なんか、こう、「世間ってあんたが思ってるほど奇麗事ばかりじゃないんだよ」とか言われてるような感じなのです。 不幸な第一の殺人のあと、それぞれの人がそれぞれの想いで行動して、話はもつれにもつれ、不幸の輪は広がっていくいった展開の話です。 最終的にはすべてが綺麗に解きほぐされるのですが、その過程で再びそれぞれの想いが交錯します。 で、想いが成仏してないが故に後味の悪さが残るのですが、変に安易な解決(読者の心情的解決です---事件自体解決します)を示さないのが。。。良いんでしょうかねぇ? ゆっくりと読んでみると、この感じがわかるかとは思うのですけど、うまく説明はできません。 最後に作中から一言引用。 「逃げるために生まれてきたわけじゃない。誰かの本気の想いから、逃げるために生まれてきたんじゃないよ。そうでしょ?」 |
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| 「プレゼント」 | 若竹七海 | 中公文庫 | 5点 |
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文庫314頁で705円、高いです。 元々、私は文庫本を買う時には値段を見なかったのですが、これからは考え方を改めようと思っています。 いや、これは作品内容に対する文句では無くって、文庫本の高騰に対する文句なので、ここに書くのは若竹七海にとっては迷惑なのかもしれませんけど、まるで無関係ってわけでも無いから我慢してもらいましょう。(^^; 本書は、フリーター葉村晶と小林警部補が交互に登場し、最後の一遍には両者が登場するという連作短編の形式を取っています。 内容的には、一話完結ということになってますので、連作短編というよりも単に登場人物が同じだけの、短編集と言った方が良いのかもしれません。 ミステリーだから、詳しくは書きませんけど、各話に登場する人物が全て歪(いびつ)なのです。 ささやかに歪で、そして未熟なのです。 それなのに、作者のスタイルとしては「最後に突き放す」というのを貫いていますので、読後感はかなり悪いです。 日常に潜む歪さが誘う破滅への道って感じの本でしょうか? ちと大袈裟ですけど。(^^; |
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