春は太陽伝 ・菅野美穂編 |
突然の発表で話題になった菅野美穂さんのトータル・ヌーディティ写真集『NUDITY』。
その発売が1997年8月22日でした。 当時大学4年だった私は、仲間内では「好きなアイドルが菅野美穂」のキャラで通っていたため、 その話題になると、周りは「お前は買うだろ」と半分冗談交じりで、発売前から入手困難である事を皆知 っていながら言うので、「え!マジで買ったの!?」ちょっと驚かしてみようという気も有り、私はその期待に応えてみる事にしました。 とはいえ、噂どうりの品薄状態。数日前より近所の本屋を回ってみるものの、「入荷数未定のため、予約は受け付けません」という所がほとんど。 下手に予約をしても、いつ手に入るか分からないため、発売日当日に賭ける事とします。 そして8月22日、その日の朝までバイトしていた私は、流石に大都市の大きな本屋まで出向く余裕は有りません、 というか、朝のニュースで都内書店の行列を見てしまうと、これからそこに並ぼうという気にはなれず、結局朝9:30頃から、近所の大規模チェーンの駐車場で、 様子を見ながら開店を待っていました。街外れの本屋で、流石に行列はないものの、10時が近づくと、私と同じ目的の人々の車や自転車が入ってきました。 私は車を降りて、まだ開かないお店の自動ドアの前に立ちました。そして、ドアが開き、やはり私の隣に構えていた大学生が本のコーナーへと向かい、 それを追いつつ様子をうかがっていた私は、既に用意されていたと思われるPOPを見つけました。そこには「菅野美穂の写真集は、入荷未定です」と書かれてあり、 またそれと同時くらいに、写真集を探す大学生に店員さんが、「すみません、ウチではまだ確保できてないんです。下手をしたら生産が落ち着いてからになるので、 9月に入ってしまうかも・・・」と伝えています。また、入り口付近では「写真集の発売は有りません!」と別の店員さんが叫んでいます。この瞬間私は、 「意外に大変な事に巻込まれて(?)いるかもしれない」と思うと共に、やや意地になっていました。 その後、(どちらにせよ開店から待たないと買えないと分かっていながら)3・4軒本屋を回り、そして、「(まあ、いずれ手に入るなら・・・)」と、本来の目的をはずれ、 単なるいちファンとして、割と大き目の本屋で予約をして帰路につく事としました。その帰り、別の用事でとあるショッピングモール的な店舗に寄った時、 そこに行きつけの書店があるのを思い出しました。ついでに入ってみると、レジの中で店長さんらしき人が大声で電話をしています。どうやら、 別の書店の人と話しているようでした。 「・・・それとねえ、例の写真集、朝から問い合わせ凄いでしょ?ウチも朝から電話鳴りっぱなしでさあ。でも、いつ入って来るかわかんないし、 予約は受けない事にしてるんだけどね。」・・・それはまさに私が各書店で見てきた様子でした。そして私は聞き逃しませんでした・・・ 「お宅はどうなのよ?ウチはさあ、出版社の都合で明日になるとか言ってるんだけど、一応5部確保したよ。」 「(なにいー!!この店に、明日入ってくるのか!!しかもたった5部!?)」次の日、当然行きましたよ、やはり開店30分前に。その時点で既に2人、 やはり大学生っぽい人が店の前に立ってます。私がそのうしろに並び、そしてもう2人来た所で、まだ開店10分前にもかかわらずおばさんの店員さんが出てきました。 「例の写真集ですよね?丁度5人、良かったあ、これ以上来られても5部しかないのよ」なんて言いながら私たちを店の中へと入れ、写真集を手渡してくれました。3,800円也。 車に戻る時、駐車場ですれ違った男の人が私の手元を見て「はっ」とした顔をし、走って階段を上がって行くのを見た時、何故か申し訳ない気持ちがしました。 また、前日予約したお店に電話をかけた所、「実は、入荷が未定でして、こちらからお断りの電話をしようと思ってたんです。助かります。」なんて言われて、やや複雑な気分。 そして、現在私の『NUDITY』は、買った日に私が見て、その後遊びに来たKとTが見ただけのかなり良い状態で、約2年もの間、おとなしく本棚に納まっています。 (99/8/23) |