『茶の味』(2003年、日本)
 監督:石井 克人 出演:坂野 真弥、佐藤 貴広、浅野 忠信、我修院 達也、三浦 友和

 まあ、一言で言えば「変わった映画」です。はっきり言って万人受けはしないでしょう。 難解な上に上映時間も長いという、興行的には大変不利に思える作品ですが、ネットの映画評などでは なかなか評価が高いですね。終始のんびりしていて、どこに山場があるのか分からないままに2時間半ちかく が過ぎていく感じで、でも退屈しないという"石井マジック"。私は小津安二郎作品をちゃんと観たことは ないのですが、きっとそれに近いんだろうなって思いました。大爆笑もしなければ感動もそれほどなかった けど、なんだかんだ結構面白かったです。
 主役(春野ハジメ少年)の佐藤貴広くんはいい味を出してましたねえ。ちょっと抜けた感じや挙動不審な 感じや動機が不純な感じが、むしろクラスに居そうで良いですね。そして、浅野忠信の脱力系演技には今回も やられました。『鮫肌男と桃尻女』を観たときに受けた衝撃をもう一度喰らった感じですかね。「あの演じ方 っていうのは、むしろ演技力がないとできないんだろうなあ・・・」とか考察したりしながら観てました。 我修院達也のおじいちゃんも良かったんだけど、せっかくなら実際にお歳を召した俳優さんがあの役を演じた方 がしっくりくる気がするなあ。いつもの我修院的演技よりは抑えた感じだったかもしれないけど、 それでもちょっとキャラが強すぎる感じ。
 「巨大な自分に見られている」感じとか、全く一緒じゃあないけど同じような感覚って、幼い頃の 自分にもあったような気がするんだけど、そういう子供ならではのおかしな感覚ってどこかに消えてしまったなあ。

[視聴日05.07.XX / 更新日06.03.28]

Written by "春は太陽".