『ウインズ・オブ・ゴッド』(「THE WINDS OF GOD」1994年、日本)
 監督:奈良橋 陽子 出演:今井 雅之、山口 粧太

 くしくもPKO問題に揺れる93年、漫才師を目指す2人の若者が交通事故に遭って戦時中の日本にタイムスリップしてしまうというお話。 まず、平成の世に生きる彼らは、夢はあるものの平和ボケした生き方をしていました。戦時下の日本に移動した彼らは「国のために 自らの命を落とすなんて実に勿体無い事だ!」と訴えて、非難されます。そして、最後は彼ら自身が「戦うとはどういうことか」を 考えます。私は戦争を知らない世代ですが、まるで自分もタイムスリップしたかのようにのめり込んで観ました。
 ご存知の方も多いと思いますが、これは今井雅之氏が脚本を書いた舞台作品を映画化したものです。それは自主制作に近く、かなり 低予算だったようで、冒頭のシーンなどはあまりにも簡単なセットの舞台上で撮影されたものだったから「おいおい大丈夫か?この映画」 と思ったけど、いやはやこれは、『12人の優しい日本人』同様、低予算でも傑作映画が出来るという、良い日本映画の見本であると思います。
 ビデオで数回観ましたが、何度観ても泣けます。エンディングテーマにザ・ブルーハーツの『青空』が使われているのですが、これが 作品にばっちりハマった曲で、心に響きます。映画のベースとなった舞台作品は今まで何度も再演され、ブロードウェイでの公演も実現しました。 2006年秋には、全編英語の『THE WINDS OF GOD -KAMIKAZE-』が公開される予定です。

[視聴日 不明 / 更新日06.07.26]

Written by "春は太陽".