『ボウリング・フォー・コロンバイン』
(「Bowling for Columbine」2002年、アメリカ)

 監督・出演:マイケル・ムーア

 1999年4月に起きたコロラド州のコロンバイン高校銃乱射事件をメインの題材に据え、銃社会アメリカの現状について考える マイケル・ムーアのドキュメンタリー作品。
 「トレンチコート・マフィア」を名乗る同校の生徒2名が銃を乱射し、12名の生徒および1名の教師を射殺した事件が起きて、 当時、高校の教師になりたてだった私は大いにビビったが、でも日本ではなかなか起こらない事件なので、私はどこかで 「日本でよかった」みたいな事を思って安心していたかもしれない。アメリカは銃社会で、日本は銃を持っている人なんて ほとんどいないからね。でも、改めてこの映画を観たら「銃社会だから銃犯罪が多い」という結論にはならないんじゃないかな って気もしましたね。もちろん、この作品の内容を鵜呑みにするのも良くないと思いますけどね。
 この作品には、はっきりとした結論がない様に思えました。銃を軸にアメリカの問題点を羅列しただけ。でも、 問題の所在が定まらない(雑多だ)からこそ、アメリカ人もアメリカ人以外も「社会は、二元論法(有か無か)的に 考えて答が出るものではない」とこの作品から学んで、そしてこれからの事を考えていかなければならないのだと考えます。
 私は知らなかったのだけど、「犯人達がマリリン・マンソンの曲の影響を受けている」として歌手のマリリン・マンソンが 一部保守派より大バッシングを受けていたらしい。でも、この作品中でインタビューを受けているマリリン・マンソンの意見は とても大人な感じで、そしてムーアの主張する「犯人は犯行の直前までボウリングに興じていたのに、なぜボウリングをバッシングする 人はいないのか」という問いかけにも納得です。
 答えがなくても良いじゃないか。観れば、また少しアメリカを理解できるってことで。でも、きっとアメリカにだって良いところはあって、 だからあくまで問題提起であって、この作品が全てではないと思うのだけど。

[視聴日07.07.XX / 更新日08.02.22]

Written by "春は太陽".