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 真空管アンプ SV−501SE

ちょっとした気まぐれから真空管オーディオアンプを作ってみようという気になりました。

でも今は汗水たらし、手指にマメをこしらえてシャーシに穴あけするなど50年前と同じことをやる気がしません。

そして、都会に足を運ぶこともほとんどなくなったのでパーツ集めも大変そうです。

しかしこの世界、結構キットが販売されているのを知りました。 あれこれカタログやウエブサイトを見たうえで刈谷市にある株式会社サンバレーの300BシングルステレオキットSV−501SEを買いました。



このキットは3枚のプリント配線基板が使われています。昔の真空管アンプを再現させるということからみると、プリント基板を使うことに異論をとなえる人も居るようですが、私は今迄自作電子工作でプリント基板慣れしていましたから、特に抵抗感はありませんでした。

ただこのキットでミニチュア真空管のソケットを基板に取付けることだけは気に入りませんでした。

このキットの設計・製造元はお隣の県の杉戸町にあるようです。

ではキットの製作内容を写真でご紹介します。



キットの入手

午後2時過ぎメールで注文、代金銀行振込。
20時間後の午前11時頃ヤマト便で商品到着。

写真のような荷姿でした。
「精密機器 取扱注意」のシールがありました。

製作マニュアルとおり作業開始。

最初は電源基板にパーツを付けます。
基板上は電解コンデンサで埋まります。
B電源はシリコンダイオードによる倍電圧整流方式です。
固定バイアス電源とドライバ真空管6BM8のヒータ用直流電源の回路もこの基板に含まれます。

基板右の四角い部品はリレーでB電源遅延投入用です。真空管が温まったころONになります。
説明書では約30秒後とありましたが実際には約40秒以上経ってからONとなりました。

次の作業は出力管のフィラメント用直流電源基板です。

最近この基板はバージョンアップされた様子で以前の回路図では可変抵抗で電圧調節するようになっていましたが、変更後は無調整になっています。

パワートランジスタが替わったためか脚が基板の穴に入りませんでした。
卓上ボール盤で基板の穴2箇所6個を 1.5mm径に広げました。


写真は完成した出力管のフィラメント用直流電源基板です。

電圧は安定化された DC 5V です。

左右チャンネルの出力管フィラメント電源は別々になっています。

ドライバー段の基板を作ります。この基板は 6BM8(3極5極複合管) 用で左右チャンネルが1枚の基板にまとまっています。

6BM8 のソケットは基板の裏側にハンダ付けします。この方式は嫌いですが仕方ありません。
ジャンクの球を抜き差ししてテストするのはやめたほうがよいでしょう。銅箔の剥離が恐ろしい。

小物部品から組付けて行って調子が上がりドンドン作業を続けた結果、セラミックスリーブを入れて取付ける抵抗があるのを忘れました。組み直したけど物干し竿みたいになりました。

製作マニュアルから脱線しました。
個人的な好みから、出来上がった基板の裏面をエタノールで拭いて銅箔面に防湿・防錆・絶縁コーティング剤 「 Hayacoat 」 を3回スプレーしました。

ハンダ付け面は子・孫の代まで錆びが出ることは無いでしょう。

基板3枚作ると細かい部分の配線はほとんど終わりです。

出力管は Electro Harmonics社(ロシア)製の3極真空管 300B です。

写真はその真空管用サブシャーシとソケットなどのパーツです。

電流計は出力管の電流チェック用に使われます。

サブシャーシに真空管ソケット2個とスタンドオフ端子3本を取付けたところです。
ソケットの穴は4つですが太い穴と細い穴がありますから向きを確認して取付けないといけません。

中央の四角い穴は左右の真空管の電流チェック切替スイッチ用です。

下の穴2個は真空管のカソード側に入るヒューズ用ホルダが取付けられます。
固定バイアス方式のため万一バイアス電源故障の際、真空管の破損防止のためヒューズを入れるのでしょう。

写真は左側の2個がアウトプットトランス、右上が電源トランス、その下がチョークコイルです。

電源トランスはリードが出ていてシャーシに四角い穴はありません。トランス下部のスペースは基板が占有します。

チョークコイルは2つのコイルが巻かれていて左右のチャンネル別々に平滑回路を構成します。

真空管アンプはコストの大部分がトランスです。
もちろん重量のほとんどがこの鉄と銅の塊です。このアンプの仕上がり重量は約11kgです。

底板とシャーシの写真です。
底板は取付け穴がシャーシのネジ穴にうまく合わなかったのでリーマで少し穴を大きくしました。

シャーシは文字が印刷されていて豪華?です。
シャーシの側面全周は何の部品も付きません。

シャーシの外形は
  180W x 430D x 70H です。

基板やサブシャーシ、スイッチなどのパーツを取り付けて配線が終わったところです。

右のコントロール基板で電流計を抑えていますが電流計の裏のスポンジゴムがやや厚いので基板が微妙に湾曲しました。基板取付け6角支柱のシャーシ側に座金を2枚ずつ入れて基板の納まり具合を調整しました。

外観全体はこんな風になりました。

実際に運転したところ「まあ、いい音」が出ます。
比較対象アンプがSTK−ICタイプのミニコンポなのでここでは余分なことは言えません。


写真の斜め左下、2個のツマミで左右チャンネルの入力調節用VRを回します。両側の黒丸は入力ジャックを移設するときの穴を隠すグロメット(プラスチックプラグ)です。

出力管2本の間にあるパーツは手前から電流計、電流チェック用スイッチ、ヒューズ(2個)です。
電流計の両側に固定バイアス調節用VRがありシャーシ表面からバイアス調節ができます。

定格出力8W x 2
8畳ほどの狭い室内では十分過ぎる音量があります。

四角い箱はアウトプットトランス2個のカバーです。
このカバーは電磁シールド用なのでしょうがアウトプットトランスの入力・出力電線を上空で迂回配線しているためボロ隠しにもなっています。

カバーの右側は電源トランスと純金製?入出力端子、ヒューズつきACインレット、電源スイッチなどです。電源スイッチOFFのときB電源電解コンデンサの電荷を急速放電させ出力管を保護します。(コールドエミッション対策)

20℃の室内で3時間くらい使うと電源トランスは僅かに暖かくなります。真空管は熱くて触れません。

完成してみると、なんとなく物足りない気分です。

ヤッパリ自分で図面を描いて、パーツを集め、シャーシの穴あけもして作らないと満足感が得られないなと思いました。


このキットの回路図は発売元のウエブサイトwww.kit-ya.jp で公開されています。



2006.11.28