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   デジタルLCメータ
dsPIC30f2012 使用 デジタルLCメータ
 
外 観
デジタルLCメータの外観と内部の写真は次のとおりです。

測定したコンデンサの容量やコイルのインダクタンスはデジタル表示されます。測定に当たって特に調整などの必要はなく、テスターで電圧や電流を測定するような感じで使えます。

スイッチ類は電源スイッチ、Cx と Lx 測定切替スイッチおよびリセットスイッチです。液晶表示器の照度用 VR を調節する以外調整するところはありません。
 
測定範囲はコンデンサが 1pF から 0.1μF 、 コイルは 1μH から 100mH 程度です。

LCメータ外観写真
 
ケース(タカチ SS-125B)に合わせてプリント配線基板を作りました
発振器用 IC LM319M はフラットパッケージ(ピンのピッチ1.27mm)のため基板裏面に直接ハンダ付けしました。
 

構 成

ウエブサイトで 「LCメータ」 を検索すると、数多くの作品が見られます。
世に出てもう 10年あまり、今や骨董品種の PIC16F84 を使ったキットや、私には全く不案内の AVR マイコンを使ったキットも見られます。

私も PIC マイコンのプログラミングの勉強をしながら、最新のデバイスを使って、設計製作に挑戦してみました。
設計製作した「デジタル LCメータ」 は次の3つの要素で構成されます。
 
   1)LC発振器
   2)周波数カウンタと計算機
   3)液晶表示器
 
「LC発振器」はコンパレータ IC LM 319M を使用しました。 この ICは秋月電子から5個100円で購入しました。
「周波数カウンタと計算機」にはマイクロチップ社製、最新の16ビット型マイコン、dsPIC30F2012を、液晶表示器(LCD)は小型の16文字2行タイプでピンが1列に並んだ SD1602 HUOB-XA (バックライト付き橙色)を使用しました。 

以下の写真で液晶表示器のクローズアップと全体的な写真とで、表示画面の色が違っていますが、撮影時の外部光線の具合のためで、LCD は全く同じものです。
 
 
測定方法
この LC メータの測定方法は発振器に内蔵したコイルとコンデンサの周波数を測定し、次いで測定したいコンデンサやコイルを発振回路に加えた時の発振周波数を測定して、各々の発振周波数の比較を行い、測定値を計算して液晶表示器にデジタル表示するものです。測定値の記憶や比較、計算はすべて自動的におこなわれます。


測定方法の詳細
1)発振回路と計算式
 
全体の回路図から発振器の LC 部分を取り出して説明します。
下記、各図の「発振器」とあるのは発振回路のコンパレータ IC 部分です。

発振周波数の F1 と F2 を順に測定して記憶します。 L1 と C8 による発振周波数F1 に対して F2 は内蔵リレーで C9 を追加したときの周波数です。 C9 はできる限り正確な値のコンデンサを組み込みます。 測定した F1 と F2 から (2)式 と (3)式 のように発振器内の C8 と L1 の値が計算できます。

次に測定しようとするコンデンサ Cx を接続した時の周波数 F3 を測定して (4)式 のように Cx の値を知ることができます。

未知のコイル Lx を測定するときはスイッチ SW2 を切替えてから測定端子に Lx を接続します。このときは発振器内のコイル L1 と Lx は直列接続されます。
Lx を接続したときの発振周波数 F4 から (5)式 のように Lx の値を知ることができます。


製作した LC メータでは発振器に内蔵した L1 や C8 の値をいちいち知るためのプログラムは必要無いので 、次のように変換してできた (6)式と (7)式を使って Cx や Lx を計算するプログラムを作りました。

この LC メータは上の (6)式 や (7)式 で判るとおり、測定値精度はコンデンサ C9 の精度に依存します。 L1 や C8 の精度は全く関係ありません。
コンデンサ C9 はポリプロピレンフイルムコンデンサ 1,000pF ±2% 精度のものを使いました。

2)周波数カウンターの周期
PIC マイコンに内臓されているタイマー TR1 と TR3 を直列に接続して 32ビットのカウンターを形成させ、発振周波数のカウントに使っています。

測定周期用にはタイマー TR2 を使い、0.5秒の周期で割込みを発生させて、上記 32ビットカウンターでカウントした値をプログラム上で2倍して周波数 Hzの値を算出します。
測定周期を 1秒にすると測定表示が間延びした感じとなります。
 
測定周期 0.5 秒の動作確認のため、次の写真のように小粒の LED を設けてあります。 LC メータ作動中は常時点滅します。 写真の ICSP ピンについては後述します。
 
取扱説明
1.起動準備
測定用端子 TB1 と TB2 にクリップ付きリードを接続します。クリップは開放のままにしておき、切替スイッチは Cx/Cal 側に倒しておきます。
2.起 動
本機の上側に電源ジャックと電源スイッチがあります。DC 7V〜12V 、1A程度の容量のある電源を接続し、電源スイッチを ON にします。
起動すると LCD に次のような表示が出ます。
 ■マークが7個並ぶと次へ
 
 コンデンサの測定準備完了
 
 
3.コンデンサの測定
 
820 PF 精度 2% のポリプロピレン・フイルム・コンデンサを測定してみました。

 
コンデンサを測定してみて、表示した値どおりのものは無いことを知りました。
通常、市販されている積層セラミックコンデンサやチップコンデンサは容量の誤差が上限 80% 下限 20% といったものが多いようです。
なお電解コンデンサや、容量の大きいコンデンサは本機で測定できません。
 
4.コイルの測定
Cx/Cal ⇔ Lx 切替スイッチを Lx 側に倒すと次の表示に替わります
 コイルの測定準備完了
 
市販の 100μH コイル( 101 インダクター)を測定してみました
 
5.周波数の測定
この LC メータの発振周波数は、被測定パーツにより 10Kz 台から 1MHz 弱の範囲となります。  PIC IC 右にあるジャンパーピンを抜くと、測定時の周波数が表示されます。 周波数カウンタの作動を確認することができます。

 
6.エラー
起動時にスイッチを Lx 側にしておいたり、測定リードを短絡しておくと Error の表示が出ます。 このときはスイッチを Cx/Cal 側にして、測定リードを開放してからリセットスイッチを押せば Error 表示は消えて、起動します。
 
7.リセット

LC型発振器は時間と共に発振周波数が微妙に変化します。この LC メータでは電源を入れて長時間放置しておくと、 測定リードに何も接続していないのに Capacitance  0.0 PF の表示が変化することがあります。 このときはリセットスイッチを押して再起動させます。


発振回路のコイル
この LC メータの発振周波数は、被測定パーツにより 10Kz 台から 1MHz 弱の範囲となります。

発振器内のコンデンサは温度係数ゼロのものを使用していますが、コイルにより発振周波数の時間的変化状況に多寡のある事が判りました。
トロイダルコアに捲線したコイルは発振周波数の変化が少ないことが判りました。
 
写真左のコイル
小型のインダクター、チョークコイル用なので、発振回路には向かなようです。発振周波数のドリフトが多いようです。 LCメータ用発振回路のテストには使えます。

次のコイル
フェライト・トロイダルコア FT37-61材に 0.4mm 線を 40回捲いて約 83μH のコイルになりました。 このコイルを最終的に採用しました。

中央のコイル
当初、手元にあったカーボニール鉄トロイダル・コア T50-2 を使って 82μHを目指して捲いたものです。 実用上問題ありませんでしたが、捲数が124回となり1層捲きにはできませんでした。 やってみれば判りますが、捲くのが大変です。
 
右側の2個のコイル
このインダクターはガッチリしていて購入したときは、安定した発振が見込まれるかと思いましたが、コアの材質不明で、発振周波数のドリフトがかなりありました。 このコイルの用途はスイッチング電源回路用で、LC メータの数百Kz の発振回路には不安定でした。
 
ICSP ( インサーキット・シリアルプログラミング )用ピン
この LC メータではプリント配線基板から PIC マイコンを取外さなくてもプログラムの変更や改訂ができるように、書き込み専用のピンを設けました。
前記、
測定方法 2)周波数カウンタの周期 の項にある写真で ICSP のピンが該当します。
 
自作品コンテスト
ハムフェア2009 の自作品コンテスト自由部門に本機を応募し優秀賞第3席の賞状と赤銅色トロフィーをもらいました。
 
 
将来展望
この LC メータに使用したマイコンチップは最新の 16 ビット dsPIC30F型を使い、マイクロチップ社の C30 コンパイラ(正規版)でプログラムを作りました。
 
製作容易さをテーマにした、コンパレータ内蔵 8 ビットマイコン PIC18F型使用の LC メータも試作してみました。 近日中、ここへ追記する予定です。
 
2009.9.10

 
PIC18F2320 使用 デジタルLCメータ
コンパレータ内蔵 8 ビットマイコン PIC18F2320 を使用したデジタルLCメータの外観は次の写真の通りです。 市販の 100mH コイルを測定しているところです。
 
 
タカチ SS-125B ケースに納めた基板は次のようになりました。
 
マイコン内臓のコンパレータを発振器に使うため、回路は少し簡単になりました。
回路図など、こちらからごらんください。 この 8ビット機の回路図では Ccal が、上の方で述べた発振回路抜粋図の C9に該当します。
 
PIC18F2320 書込み用 L2320_29.hex ファイル

 
 
自作上の参考事項
マイコンは液晶表示器( LCD )のビジーフラグを拾っていません。 タイミングで表示させています。したがって LCD を取り付けなくてもマイコンの動きをしらべることができます。

配線完成後、LED が点滅すればマイコンの動作はOKです。

発振回路の動作は、マイコンのピン11、 T1CK と GND 間にカウンターかオシロを接続すればチェックできます。発振子はセラミック発振子でなく、水晶発振子を薦めます。
液晶表示器は図示のタイプ以外の型式を使う場合、電源のピン番号が異なりますから注意してください。 マイコンに書込むプログラムは 16文字 1行型 LCD には対応していません。

2009.9.21