トップページへ        電子工作の目次へ
   AYU40 DIGITAL
 
CQ ham radio 2009 7月号付録 AYU40

付録のQRP送信機用プリント基板で送信機を作ってみました。 ファイナルのトランジスタが 2SC1815 なんて、そんなモン要らないと言ってしまえばそれまでですが、自作のきっかけにして、「創る」楽しみを求めました。

出版社では「ケーシングコンテスト」を行っていたので、それに応募しました。
コンテストは9月15日に締め切られたので、わが作品を公開いたします。
 
作品の外観は次の写真のとおりです。
作品名称は「 AYU40 DIGITAL 」としました。

 
 
ケーシング・コンテストの条件
   1. CQ誌2009年7月号付録の基板を使うこと
   2. 7MHz 用のCW送信機であること
   3. 金属ケースに入れること
となっていました。 これに対応した作品にしました。
 
概 要
1.VFO
この春、7メガ帯は7.0MHz から 7.2MHz の帯域となったので、その帯域をフルにカバーするVFOを組み込みました。 VFO の型式はデジタル・ダイレクト・シンセサイザー(DDS) 方式にしました。
 
2.周波数の表示
送信周波数表示にはバックライト付き液晶表示器(LCD)を使い、下位 10Hz までデジタル表示できるようにしました。 ダイヤルツマミ右横の FREQ.PITCH スイッチを押すと、周波数表示の KHz, 100Hz, 10Hz の下に「*」マークが移動し、移動表示した部分の周波数ピッチでダイアル操作が行えます。
 
3.金属ケース
金属ケースは、当局のデッドストック、タカチ CD-180BB を使いました。
このケースはアルミサッシュ状のL型のものを上下に重ねるもので、両端をプラスチック製のカバーで囲みます。 ケースの肉厚は 2mm あり頑丈です。 穴あけ加工で、塗装面に傷をつけないように気を遣いました。 ケース底部に、将来、パワーアンプを増設できるよう、追加基板用スペースを設けてあります。(下の写真左上側)
 


各基板(上の写真)の説明

1.AYU40 基板
この基板は設計された通りにトロイダルコイル、その他パーツを取り付けました。 水晶発振子は使わず、DDS VFO が接続できるようにコンデンサの値を変更しました。
TC と CAL、 KEY はジャンパーを入れました。
X1 に DDS VFO の出力を入れ、C1 は無し、C2 を0.01μF に替えました。
 
 
 
2.電源基板
DDS VFO 用の DC 5V 電源として、定電圧レギュレータ 7805S を使いました。
写真のリレーと隣のトランジスタは、電源スイッチ OFF の際の遮断遅延用です。 
電源スイッチ ON のとき、マイコンからの信号でリレーも ON となり、リレーのA接点は電源スイッチと並列に ON となります。

電源スイッチは2極で、電源 ON-OFF のほか、もう1極を OFF 信号用にしています。 電源スイッチを OFF にしたとき、OFF 信号をマイコンに与え、LCD 表示周波数をマイコンの EEPROM に記憶させます。 記憶ルーチンが終了してから(ほとんど瞬時です)マイコンの信号でリレーは OFF になり、完全に電源は落ちます。
 
次回電源を入れたとき、記憶した周波数が表示されます。 リレーは年代モノですが、厚みが薄いので DDS VFO 基板との干渉を避けるために使いました。
 
基板面にはキーイング出力用とモニターブザー吹鳴用のトランジスタも載せてあります。 基板左下に発振器内蔵型ブザーがあります。ケース側板にブザー用小穴を開けました。
 
 
 
3.DDS VFO 基板
この基板はパターンを作図し、焼付け、現像、エッチングして、作りました。 DDS 用 IC はアナログデバイス社の AD9835を、制御用のマイクロコントローラ(マイコン)はマイクロチップ社の PIC18F2321 を使いました。

DDS IC は写真に示す基板の上方にあります。 ピンのピッチが 0.65mm と狭く、ハンダ付けはコツが要ります。 DDS IC のクロック用水晶発振器は 32MHz です。 マイコンは基板ほぼ中央にあり、その右の6本のピンはプログラム書込み用ピンで、基板にマイコンをハンダ付けしたまま、直接プログラムの書込み、改定ができます。

表面実装部品以外の大部分の部品はリードを折り曲げるなどして、基板に載せた状態でハンダ付けしました。
 
基板の裏面(本当は表面)には周波数表示をする LCD がピンソケットで接続してあります。
 
 
 
制御用のマイコンにはエレクトロニックキーヤーのプログラムも入れてあり、ケース上面からキーイング速度を無段階に調節できます。
 
マイコンには、さらに受信機用ミュート出力信号も出せるようにして、接続ジャックを設けてあります。 ミュート出力信号はモールス符号が出ている間は Hi となる信号で、セミブレークイン方式にしてあります。
 
4.ロータリーエンコーダ
ロータリーエンコーダは DDS VFO 基板写真の左に見えます。 コストは無視で、光学式を使いました。 クリック無しのタイプで動きは滑らかです。
ロータリーエンコーダの出力は A と B 二つの位相のずれた出力があり、軸を回したとき、どちらが先に出力されるかをマイコンで検出してダイアルの加算か減算を行いDDS VFO の周波数を決めます。
 
 
発振周波数と LCD 表示周波数
液晶表示器の周波数表示は周波数カウンター方式でなく、マイコンから DDS IC に与える周波数チューニングワード(参照:DDS について)を周波数に換算して表示しています。 このためクロック用 32MHz の水晶発振器の周波数に誤差があると、表示周波数と発振周波数にズレが生じます。 32MHz 水晶発振器の発振周波数を実測したところ 32.00012 MHz と 120Hzのズレがありました。

チューニングワードは32 MHz でなく 32.00012 MHz から計算してプログラムしました。このため、発振周波数とダイアル表示のズレはほとんどありません。
 
 
金属ケース加工と組立加工
この送信機は3枚の基板(将来 P.Amp 基板 1枚追加予定)を使うので基板上のパーツが干渉しないように気を配りました。 ケースの厚みが 40mm 程度なので、エイ、ヤッと作ると大抵トラぶります。 今回は CAD で断面を書いてみて取り付け場所を調整ました。
 
銘板は写真用紙に黒地白文字で印刷したものを両面接着テープで貼付ました。
CAD で黒地と灰色文字のレイヤー(画層)に分けて描き、一括印刷しました。
 
DDS 基板に取り付けた LCD 用のケースの窓は四隅に 1.2mmの小穴を明け、カッターナイフで裏表からスジをつけておいて、金属用糸鋸で長方型の穴を明けました。
切り口はヤスリで仕上げて、割合ウマクできました。
使用した LCD は額縁が無いタイプなので、ただ穴が明いているだけでは格好が悪いため、透明アクリル板で窓枠を作り両面接着テープで貼付ました。

透明アクリル板は貼り付ける前に、LCD の文字が出る部分をマスキングして、枠となる部分の裏側をツヤ消し黒色塗料で塗装しました。
 
ケースは L字型の二枚合わせなので、スイッチやジャックなどは、関連する基板側に付け、二つに割れるケースフレーム間の配線本数ができるだけ少なくなるように配慮しました。 例えば、縦振電鍵用ジャックはキーイング出力のジャックと並列に配線するだけなので、パドルジャックとは反対側(向こう側)に取り付けました。

2009.9.19
2009.9.22 文中に基板写真追加