OIKey-F88

PIC16F88 で 4チャンネル・メッセージ・メモリー付エレクトロニック・キーヤーを作りました。
 
1.OIKey-F88 キーヤーの機能
 このキーヤーはプリント配線基板にすべての部品を取り付け、金属ケースを用意しなくても使用できる構造にしました。

 通常のエレクトロニック・キーヤーとして使用するほか、PIC内で乱数を作り、ランダムにコールサインを発生させて、受信や語間7点分のスペースの感じの聴き取り練習をすることができます。

 メッセージメモリーは4チャンネルあり、CQ呼出しやJCCナンバーの送信などを記憶させて、送信できます。 CQ呼出しは繰返し送信することもできます。メッセージメモリーに記憶したデーターは電源を遮断しても消滅することなく保持されます。

 4個のメモリースイッチのどれかを ON にして、電源スイッチを ON することによりモニターブザーを OFF にしたり、相対するパドル入力を記憶しないようにすることもでき、キーイングをバグキーモードにすることもできます。バグキーモードではパドル接点のチャッタリングを消去し、線(Dash)の送信後、1点ぶんのスペースが付け加えられるようになっているので綺麗な符号を出すことができます。

2.回路構成
 回路図に示すとおり非常に簡単なもので、8ビットのマイクロ・コントローラー PIC16F88と10MHz セラミック発振子、定電圧電源レギュレーター IC 、パドル入力、キーイング出力、モニターブザーなどで構成されます。

 メモリースイッチとパドルの入力の合計6個の入力は PIC の内部でプルアップするように設定してあるため、外付けプルアップ抵抗器は要りません。

 キーイング速度は可変抵抗器 VR1 により任意の速度に設定できます。
この速度の設定は PIC 内の A/D (アナログ・デジタル・コンバーター)に可変抵抗器の中点の電圧を入れてデジタル数値に変換し、キーイング速度を設定するプログラムに取り込んでいます。
 
回路図(印刷用 420KB) 2008.5.7 PIC型式訂正
取扱説明書(169KB)   2008.5.8 電源について追記
F88_17.HEX へのリンク 下記の通り改定
使用部品例(48KB) 下に写真があります

本キーヤーのF88_16.HEXプログラムで、メモリー書込み後、一旦電源を落として再投入し、メモリースイッチを押すと、最初の1回は読み出しだけで送信機のキーイング出力が無い不具合が見つかりました。 2回目からはどのメモリースイッチを押しても問題ありません。PICにより不具合の無い場合もありましたが、プログラムを改定、差替えました。
2008.5.24 


F88_18.HEX へのリンク 下記の通り改定

ランダムコールで、同じコールサインが連続して出ることがあるとの使用状況が知らされました。この様な場合に、乱数の種を初期の値にするプログラムを F88_17.HEX のファイルに追加しました。 PIC に新しくプログラムを書き込む際はこの F88_18.HEX をお使いください。

使用説明
この新しいプログラムは、ランダムコールを使用したあと、電源とランダムコールのスイッチを一旦、OFF にして、パドルの点(DOT)側を押したままにして少し間をおき、電源スイッチを入れると、PIC 内の乱数の種は初期の値に書き換えられます。一呼吸おいて、パドルから手指を離すと「QRV」の送信があり、キーヤーとしてもランダムコールのモードとしても使用できます。

ランダムコールで同じコールサインの送信が繰り返される場合以外、通常起動時は上の操作の必要はありません。

同じコールが繰り返される原因
1.ランダムコールスイッチと電源スイッチをほとんど同時に OFF にした。
 (ランダムコールスイッチを OFF にすると約20ステップのコマンドが走り、最終の乱数をEEPROMに書込み記憶させます。同時に電源を落とされると書込み不具合になることがあります。)

2.乱数がゼロになってしまった。

3.PIC の EEPROMが壊れた。

改定プログラムは上の 1 と 2 に対応させるため乱数発生プログラムを改良しました。
乱数はいつでも初期値に戻せるほか、同じコールが繰り返されないようにしました。
 
2008.7.1
 
 
線(DASH)をやや長めにしたプログラム
無線運用規則で、モールス符号の点(DOT)と線(DASH)の長さは1対3と決められています。でも線は少し長めの方が打っても、聞いても落ち着いた感じがするという人がいます。

点と線の比率を1対3.5 にしたプログラム(F88_19.HEX)を作りました。
 
F88_19.HEX へのリンク
 
2009.5.11
 
 
HEXファイルのダウンロードについて
2008.5.26

     
3.主な使用部品
3.1 モニターブザー
 発振器内蔵の電子ブザーのほか、低周波入力で発音する電磁ブザー(サウンダー)でも使えるようになっています。電磁ブザーを使う場合は PIC から約800Hzの低周波信号が送られます。電子ブザーと電磁ブザーの使い分けは回路図に示すとおり固定抵抗器 R6 の位置を変更することにより行われます。
 

モニター用ブザー
 
右側のものが電磁ブザー
他の2点は発振器内蔵ブザー
それぞれピンの幅が異なる
 
3.2 スナップスイッチ
 電源用スナップスイッチ SW0 は単極単投型を使用します。電源スイッチはリセットスイッチやモード切替スイッチの役目も負いますから、電源ジャックの抜き差しで代用するのは好ましくありません。
モード切替スナップスイッチSW5は単極双投型で中立位置のあるものを使用します。
 

3.3 定電圧レギュレーター IC
 電圧+5V出力のものを使用します。48M05F(最大電流500mA)のものを使いました。
無負荷時の消費電流は東芝のデータシートによると 1.0 mA と小さいので 9V 乾電池を 5V にして使う場合、好ましいと思います。

 7805S(最大電流1A)タイプでは高さがあるので、電源スイッチ近傍に取り付けるとスイッチ操作の邪魔になります。基板裏面に寝かせて取り付ければ問題ありませんが、このタイプの無負荷時消費電流は同じメーカのデータシートによると 4.2 mA となっています。(2008.4.9 無負荷時電流値訂正)

 78L05(最大電流100mA)は小型ですが、型式表示文字面から見て上の2種のピンが左よりIN-GND-OUT であるのに対してピンの配置が逆のOUT-GND-IN になります。
消費電流はほとんどモニターブザーの電流で、約50mA程度です。
 
 1.5V x 3個の乾電池電源や、+5V出力の AC アダプターを使用するなら定電圧レギュレーター ICは不要です。PIC への電源入力は 5.5V を超えてはなりません。
 
 電源スイッチをいたずらっぽくパチパチ入り切りしたとき PIC のプログラムがハングアップしないようにするため、電源が瞬時でも低下したらリセットするようにプログラムしてあります。(Brown Out Reset ENable)
 上位の PIC は BOREN 設定にリセットする電圧をプログラムできますが、PIC16F88 では電圧の指定ができず、電源が3V近くに下がるとリセットが働きます。
 

定電圧電源レギュレーターIC
(DC +5V)
 
左から
7805S(1A)
48M05F(500mA)
TA78L005AP(100mA)
L78L05ACZ(100mA)
 
3.4 使用部品例
4.完成品の写真など

最初に自作した OIKey-F88 は下の写真の通りで、乾電池使用式です。
 
 このキーヤー用プリント配線基板は CQ ham radio 2008年6月号の付録になる予定ですりました。基板の外観は次の写真のとおりで、定電圧電源レギュレータ IC の取り付け穴が設けられ、積層セラミックコンデンサの取り付け穴はリードのピッチが 2.5mm でも 5mm でも対応できるようになっています。モニターブザー取り付け穴も 300mil, 200mil, 6mm の3種類のリード幅に対応しています。 基板の外形は 約 69mm x 76mm です。
 
 付録になる基板を使って試作した OIKey-F88 は下の写真のようになります。
電源スイッチとモード切替スイッチが並んでいないのは狭いスペースで同時に操作してしまうことを避けるためです。
 使用部品は出版社が案内するパーツ屋さんから一式購入できる予定です。
秋月電子通商からプログラム書き込み済み PIC と部品一式が購入できます

2009年8月22日 ハムフェア2009以降、潟}ルツ電波から基板とパーツキットが販売されています。 2009.8.27

PIC にプログラムを書込む環境をお持ちの方は、プログラムをダウンロードして書き込み、自作してください。
5.製作上の問題など
 CQ ham radio の付録基板を使って組み立てたけれど、動作しないとか製作上の不明点などがある場合、A1 Club の有志の皆さんが支援してくださることになりました。支援掲示板の URL は下記で、期間は2008年8月31日までです。
http://www.a1club.net/support/ 期間満了で掲示板は終了しました。

2008. 4. 7
2008. 4. 8 一部修正
2008. 4.17 部品の写真追加

2008. 5.19 修正、追記
2009. 8.27 追記
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