外来語の カナ表記
 
末尾に長音符号がある外来語のカタカナ表記
 私達が手にする無線関係の雑誌や一般の技術文書、専門書の多くで、外来語をカタカナで書く(以下、「カナ表記」と書きます)場合、末尾に長音「−」が有る単語は、その長音を省略するカナ表記をよく見受けます。
 
例えば
 メモリー(記憶素子) は メモリ
 メーカー(製造業者) は メーカ
 タイマー(限時継電器)は タイマ
等と言った具合です。
 
 それらを見て、読んで、すぐ理解できる人たちは別に問題有りませんが、専門外の人たちは、メモリが「目盛」でメーカは「銘菓」、タイマは「大麻」だと思うかもしれません。
 
JIS Z 8301
 外来語をカナ表記したとき、このように末尾の長音「−」を省略するのは何故でしょうか?
 
 昭和26年(1951)に JIS Z 8301 「規格表の様式」が制定されました。
これは色々な JIS 規格を引用したときに理解・適用の能率向上のために「規格の様式を統一する」と言う JIS 規格です。
 
 この「規格の様式」の中で、「末尾に長音が付く言葉は、3文字までならそのまま記述する。 3文字を超える場合は、末尾の長音を省く」ということでした。
 社内の基準や規則にうるさい会社では、製品の仕様書や契約書、取扱説明書などを作成するに当たり、それに習うよう習慣付けられてきたと思われます。
 
長音が末尾にある外来語で3文字までのカナ表記の例は
 キー
 リレー
 エラー
 フロー
などで、そのまま表記され、決して キ、リレ、エラ、フロ とはしません。
 
長音が末尾にある外来語でカナ3文字を超える例では
 ユーザー     は ユーザ
 クーラー     は クーラ
 コネクター    は コネクタ
 トランシーバー は  トランシーバ
などと表記されてきました。
 
 私は、現役引退後、しばらくこの習慣から抜けられませんでしたが、最近、自分が書く文章やHPなどでは、末尾の長音省略はやめて、話し言葉通りのカナ表記を使うことにしています。
 
CQ ham radio 誌
 2008年6月号の CQ ham radio 誌に寄稿したエレクトロニック・キーヤーの文面で次のようなことがありました。
 
私が書いた原稿の表題は
 「4チャンネル・メモリー・キーヤー」としましたが

出版されたものは
 「4チャネル ・メモリ ・キーヤー」となっていました。
 
 編集者の話では、CQ誌の外来語カナ表記使用方法が出版社のコンピューターの中に入っていて、原稿を入力すると、自動的に修正が行われ、出力されるとのことでした。

 長音は含みませんが 「チャンネル」 という単語は 「チャネル」 と書くことに決まっているのだそうです。
 カナ文字表記の末尾に長音が付く場合は次の通り「省略した」ものと「付けたまま」のものが混在した状態になっていて、これが CQ誌の決まりなのだそうです。
 
 原 稿     誌 面   
 メモリー    メモリ
 キーヤー    キーヤー
 タイマー    タイマー
 モニター    モニタ
 ペーパー    ペーパ
 ワイヤー    ワイヤー
 ニッパー    ニッパ
 サウンダー  サウンダー
 
内閣告示・内閣訓令
 JIS とは別に、一般の社会生活において、現代の国語を書き表すための、外来語表記のよりどころとして、平成3年(1991)「外来語の表記」という内閣告示・内閣訓令が出たそうです。これは「外来語や外国の地名、人名をカタカナで書き表す場合のことを扱う」ということで、この中で、長音は原則として長音符号「−」を用いて書き表す。ただし、慣用に応じて長音符号「−」を省くことができる。と示されました。
 
慣用の例
 エレベーター  → エレベータ
 コンピューター → コンピュータ
 
最近のカナ表記
 最近、種々の電子機器が数多く日常生活に入り込み、取扱説明書やカタログなど広い範囲で、多くの外来語が使われるようになりました。業界団体とか、放送や新聞などのマスコミでは、それぞれ解り易いカナ表記を定めて使っているようです。
 
 外来語のカナ表記について、私の感じるところでは、現在、新聞が1番読み易い書き方になっていると思います。
 
JIS Z 8301 は何度か改定がなされ、最近では平成17年(2005)に改正されました。興味をお持ちの方は内閣告示と併せ、中身をお調べになってはいかがでしょうか。
 
あとがき
この本文は平成20年6月23日 三重県鳥羽市答志島で開催された第34回 東海地区2m和文電信愛好者の集いの席上で私がお話した一部を活字にしたものです。
 
2008.9.8
 
  
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