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ミニシアター作品ガイド (番外編)

このページは、投稿を頂いた映画評のうち単館作品ではないもの、劇場用映画ではないものなどを掲載しています。

 

タイトル

映  画  評

評価

こんな映画が好きな人におすすめ

千と千尋の神隠し

監督:宮崎駿

 「ナウシカ」「トトロ」を撮った宮崎駿(少なくとも僕はそう言いたいが監督的には間違いなく「もののけ」だろう、が)は「アンダーグラウンド」を取り終えたクストリッツァだったようだ。もろに目指した先は「黒猫・白猫」。その選択においてこの作品は見事に成功している(とんとん拍子に活躍していく“どんくさいハズ”の千、というのもテンポ維持を考えるに不可欠だったのでは、と)。
 よくこんな荒唐無稽な作品を作ったもんだという称賛。それらを思いついたことにではなくそれらを表現(有形化)しつくしていることに対して。(恐らく本作でさえ監督の想いに至らない部分を抱えていると考えると「映像」というものがそら恐ろしく思えて仕方なくなりさえする)。
 振り返らせない千尋でのあの幕切れも評価する。目を向けるべきものは「こっち」に併在しておりいつでも会えるハズだという提示に結び付いていると共に、もうひと山、もうひと山と望む観客の尽きない欲求に対して、ていの良い「しつけ」としての監督の快い冷たさが感じられた。
 結局のところ本作の評価は前述の「戦う意思の有無」を問うか否か。僕は評価する。
ここにも類い稀なる映画がある。
 最後に、今年度の日本アカデミーは夏木マリさんに助演女優賞を与える義務があると思う。もし本作に作品賞を与えるということがないのならば。
(なおの)
★★★☆ 黒猫・白猫

ダンサー・イン・ザ・ダーク

原題:DANCER in the DARK

監督:ラース・フォン・トリアー

 セルマは唄わない。唄うことを知らないから。でも彼女は唄を知る。正しくは知らしめる。
 彼女の素晴らしき才能が体現されて幕を閉じるこの映画はハッピーだ。虚構は虚構で終わらない現実だったのだから。そして回る。全ての彼女の唄が本物となる。素晴らしきミュージカルが始まる。華麗なる輪舞。物語に涙するのは勝手だがこれはそんなチンケな映画ではない。讃えられるべきはその「構築」。素晴らしく「映画」であるということ。その美しさにこそ。
 ラスト15分ほど前に席を立とうか思ったボクの期待に120%で答えてくれたトリアーはやはり信じうる偉大な現役監督だ。3部作とかドグマとか囲いはいらないから撮ってくれ。んでもって『キングダム』はどうした?
(なおの)
★★★★ 奇蹟

僕のバラ色の人生

ナインス・ゲート

原題:The 9th Gate

監督:ロマン・ポランスキー

 ポランスキーなのに、ジョニー・デップなのに、レナ・オリンなのに、なんで盛り上がらないんだろ? と思ってたら、こーゆー訳かい……な映画。(終)
 といったコメントが適当な作品だと思うが、フォームの余白が申し訳ないので、少々「悪魔」話でも。コメディでもなく、舞台は現代で、隠喩でなく、「悪魔」を取り扱うのは難しい。ラストでいきなし「私が悪魔だ」デ・ニーロ笑む、おいおい……な『エンゼル・ハート』なんかが難しい一例として挙げられる。不思議なことにこれが「天使」だとあまり問題はない。『ベルリン・天使の詩』が果たした役割も大きいが、「天使」は善や神の記号ではなく登場するのだ。今さら「悪魔」を登場させずとも強烈な「悪」を表現することは出来るのに対し、「天使」はその存在が持つカタルシスや美しいイメージによって観客に許容される。で、さてこの映画。そーゆー点では前半割と成功している。周囲の夜景を見下ろす高層ビルの中に、ガラス張りの空調管理がされた書庫があり、何のおどろおどろしさもないのに、本を通して「悪魔」の存在が見える(書庫の暗証番号が666なのは余計であったが)。ポルトガル……だったか老兄弟の製本屋の元を訪れた時、せまい路地で鉄琴じみた音色を立てて足場が崩れてくる。大した迫力もない、ジョニー・デップ演じるコルソも、恐怖というより戸惑いに近い表情で走って逃れる。その危険が訪れる静かな気配が良い。
 が、ここまで。メインの本の内容も不透明だわ、9枚の絵の謎解きも半端、登場する女性が魔女系ばっか、二度手間で筋の通らない行動する人物満載なのは半分見逃すとしてもそれが物語のプラスとして作用してないのは問題。エンターテインメントにしたいのか、人間の不条理を描きたいのか、なんとなくオカルトファンタジー? じゃイカンでしょう。
 もっと貧乏予算でシンプルな映画撮って欲しいなポランスキー。
(ハヤシ)
エンゼルハート

サイダー・ハウス・ルール

原題:THE CIDER HOUSE RULES

監督:ラッセ・ハルストレム

 世の中にはしてはいけないことがたくさんある。嘘をつくこと、人(胎児)を殺すこと、姦淫すること、身分を偽ること、薬物中毒になること……。でもそれはリンゴ収穫人の宿舎に誰かが貼った規則と同じだから、自分たちの規則は自分たちで作るべきなのだ、人生のその場面ごとに行き当たった人間が、幸福や良心や現実や愛情や道理に照らし合わせて判断して生きていけば良い……。見てないけれど、パンフとか雑誌批評には絶対こんな感じの一文があるはずだ! てーかこれ以外にどんなあらすじを述べるんだか。
 判りやすく・美しく・愛がある。大変良く出来た映画。多分、もっと個性的で強烈な作品にすることは出来たはず。『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』の主人公が犬のように振る舞うように、『ギルバート・グレイプ』の母親が愛情で肥大した肉体の持ち主だったように、陰を濃くすればするほど陽の当たる部分の美しさが際だつ道理だから。正直そんないびつで美しいものを期待していた部分もある。でも、孤児院や堕胎や近親相姦や死や、そんな負の要素を誇張することなく、世界を美しく美しく真っ直ぐに真っ直ぐに描ききった力に感動した。自身の趣味はさておいて、ああ良い映画だなあと、こーゆー映画は必要だなあと、しみじみ思った次第。
(ハヤシ)
★★★☆ マイライフ・アズ・ア・ドッグ

ギルバート・グレイプ

怪奇奇形人間

監督:石井輝男

 ビバ!石井ワールド!ビバ!土方巽!大ラスは、もはや伝説。ビデオ化直前に発禁された、いわくつきの一本!(キコ)
★★★☆ 狂わせたいの

マルコヴィッチの穴

原題:BEING JOHN MALKOVICH

監督:スパイク・ジョーンズ

 期待したのが良くなかったのかも知れない。笑いにいくつもりなのが良くなかったのかも知れない。リピーターであろう「笑い」の場に行く直前のタイミングで大笑いする大馬鹿が後方の席にいたのが悪かったのかも知れない。マルコヴィッチの44歳のでばったお腹が悪かったのかも知れない。だがしかし、受け付けない映画だった。不快。
 物語とか要素とか構成とか技法とか、あれこれ考えてはみるのだけれど、ウッディ・アレンをMTV仕立てにしたようにしか思えないというのは軽佻浮薄であろうか。あろうなあ、だってウッディ・アレン自体数本しか見てないもんなあ。でも、とにかく、パス!な映画でありました。
(ハヤシ)
 
 他人の中に入ることで自我の肉体と精神について考えさせられるなんてそんな見え見えの展開でそんなうまいのあるかいなぁ・・もぐもぐ・・、うまいがなぁ!!・・・などとベタな漫才ノリのリアクションをホントにさせられてしまったあちきは完敗なんでせう。
 結局どの辺でツボをつかれたかといえば“カタチ”から解放させられるってことに隣接してるジェンダーとかセクシャリティを見逃さなかった監督の視野に負けたんだけど(まんまやん)。ネタとして『転校生』レベルにならないその余裕ってやつっていうと安すぎるか。余りにも余りにもっぽいのに余ってないとこ。いろ〜んな思考と志向のテイストへと散らしてるとこ。J・マルコヴィッチなんて通めいたチョイスを起点にしながら既存の「映画」にもたれかからないとこも心地良い。8と1/2階にするでもなくお猿のBGMにツァラトゥストラを使うでもないとこ。やはしミュージッククリップ出は我が強い。こういう脳ミソある人は大歓迎である、パチパチ。物足りなかった点?結果この映画がちっとも不条理ではないとこ。ま、その残念さこそ正に不条理なんだけど。
 余談になるがこの映画でホントに余りにも余りにもだったのは映画館で前の回を観て帰る客の中に竹中直人がいたこと。あんたがこれ見てやる気出してたらそれこそホントに余りにも余りにも余りにも・・・(泣)。
(なおの)
★★★☆ カメレオンマン

未来世紀ブラジル

ザ・パーソナルズ
−黄昏のロマンス−

監督:伊比恵子

 マンハッタンにあるコミュニティシアターの演劇講座に集う老人達が、私的な体験を基に創りあげる芝居を追ったドキュメンタリー。
 講座で指導される芝居は老人が恋人募集の新聞広告を打つという設定で、演技者がさまざまな私的体験を曝け出すうちにそれぞれの人物の人生や生への価値観が浮かびあがってくるという仕掛け。その芝居が成立する過程と、出演する老人へのインタビューによってこの短いフィルムは構成されている。
 芝居自体の面白さは、講座の演劇指導員であるセスと呼ばれる人物の手腕によるところが大きく、アクターズ・スタジオで使われる演劇教育システム「メソッド」のような手法が用いられている。老人の個人感情が虚構を侵害する場面も見られ、理性から開放された「生」の人間の姿が映し出されている。
 衰えを知らない性的欲望に反し着実に老衰へと向かう肉体へのジレンマや、結婚体験を老人が率直に語る姿を見ていると、彼らが他者を求め続ける普遍の欲求こそが実年齢を超えた「若さ」を保っている秘訣に思えてきた。
 1999年米アカデミー短編ドキュメンタリー賞受賞作。
(HID)
★★☆  

DESSERTS

監督:ジェフ・スターク

 ユアン・マグレガーの一人芝居による、わずか4分の短編作品。
 浜辺を遠くから歩いてきた一人の男が、足元に落ちていた「あるもの」を見つけて手に取る。ところがそれは・・・。という内容の一発ネタ作品。
 シンプルさの中にユーモアとスリルを凝縮した、監督のセンスが光る小品。びっくり箱的な面白さは出来のいいCMを見たような印象もあるが、ちゃんと付いているエンドロールのおどけた音楽までもが作品の後味を巧みに演出している点で、「映画」以外の何物でもないことを知る。
 劇場公開はされなかったが、『リトル・ヴォイス』の初日プレゼントとして一部の映画館でビデオが配られた。
(HID)
★★☆  

キュピキュピ
1ミリオン

 先に断っておくが、これは映画ではない。ビデオアート&パフォーマンスアート集団「Kyupi Kyupi」による映像作品を集めた待望のセルビデオである。全12作品25分の悦楽。定価3,900円。家宝を売ってでも買え。私は人からいただいたのだが。
 ライブでも使われたオープニングを始め、どれも短い作品に濃いーいキャラクター陣が様々な演出を施されて次々と現れるという趣向。ドラマ仕立てで始まる『スペスペ2』を除いて、すべての作品がビデオクリップの如く音楽に合わせて映像が展開されていく。この音楽もかなりのクセモノであり、意味不明な歌詞が妙にキャッチーであったりもする。2回も観れば、もう頭の中をぐるんぐるん駆け巡る。
 ダンス、CG、アニメーション、コスチューム・プレイなんでもござれの洗練された多才ぶりのなかに、モンティ・パイソンのエッセンスを巧妙に受け継いだ跡をキラリと光らせる確信犯たち。
 無尽のアートセンスとユーモアに満ち溢れた、高濃度ビジュアル・ドラッグ。
(HID)
★★★ 狂わせたいの

マトリックス

監督:ウォチャウスキー兄弟

 ラスト近く、一番の盛り上がりと思われるところで、いきなり安達祐実登場。続いてハイネケンビール。そして再びキアヌ・リーブス。こんなアヴァンギャルドな映画は初めてだと思いきや、映写事故でした。客はブーイング。口々に金返せ。しかしボクは笑った。というのもボクはここ二週間で三回も映写事故に遭遇しているのです。そんなに沢山の映画を観ているわけではないボクですがこんなに連続するのは初めてです。これは映画の神様からボクへのメッセージなのか、それとも実はこの世界は仮想現実なのか・・・。
 つまり何が言いたいかというと、マトリックスは、たいして面白くなかったということです。そこそこの映画。予告編はよかった。とても期待してたのに。どのへんが新しいのか、ボクは馬鹿なのでわかりません。すいません。
(竹内くん)
★★ ターミネ−ター2(のほうがどうみても良い)

39

監督:森田芳光

 心神喪失者の刑事責任について定めた刑法第39条がテーマのサスペンスです。しかしこれは只者ではありません。まず脚本が素晴らしい。本当に素晴らしい。作品テーマに対する深い考察はもちろんのこと、伏線が蜘蛛の巣のように張り巡らされていて、僕はかなり拾ったつもりだけれど、まだまだ見落としているはずです。とにかく一時も目が離せず、僕は現実の時間感覚を失いました。
 そしてディレクティングがこれまたとても良い。揺れるカメラや不自然なアップ、すべてを見せないフレームワーク、不明瞭な演者のセリフまわしなど、観客を不安にさせ、なおかつ画面に引き込むことを狙ったものではないかと思われますが、見事に成功しています。他にも、キャスティングや、役者たちの演技力、無駄の無い編集など、数多くの優れた点を挙げることができます。時々入るベタベタのサスペンス的BGMは多少興ざめでしたが、それも敢えてやっているのではないかと思わせます。
 僕は作品自体もさることながら、それを作った人達に感動し、ちょっと涙が出ました。これは「アンダーグラウンド」を観た時に得た感動と同じ種類のものです。
 新たな発見があるはずなので、僕はこの作品をもう一度観るつもりです。ちなみに今日の客席はガラガラでした。何てことだ。
(竹内くん)
★★★☆ 天国と地獄(黒澤明監督)

評価は、評者の独断です。各評者のプロフィール、好み等はこちらにあります。

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