現在、国内において実質的な支配的影響力を持つ映画会社は、東宝、松竹、東映の3社であり、洋画系のロードショー・チェーンとして東宝のTY系と松竹・東映(+東急レクリエーション)のSY系が存在し、邦画系は東宝と東映が持つ2系統のチェーンが存在しています。(下記注)
ここでいうチェーンとは東京都内の劇場を中心として、全国で同じ映画を上映する映画館の結びつきのことであり、洋画系の場合はその劇場間の結びつきが常に同じであるわけではありませんが、ある程度のはっきりとしたラインが出来上がっています。例えば、東京の日本劇場で上映される映画は大阪では北野劇場で上映され、京都では京都スカラ座で上映されるという具合です。また、大都市圏のメイン館となる劇場はチェーン・マスターと呼ばれ、配給会社が行う宣伝等に大きな影響力を持っています。
邦画系の場合は、年頭にはその年の公開作品と上映期間がおおよそ決まっていることが多く、ラインナップとして発表されています。例えば、東宝邦画系のラインナップとして発表された作品が東映邦画系で上映されるようなことは、まずありえません。そして、その作品は東宝邦画系の映画館では必ず上映されることになります。東宝邦画系、東映邦画系では観客の入りの多少に係わらずあらかじめ決められた一定期間のみロードショー上映されます。このシステムを映画界ではブロック・ブッキング(システム)と呼んでいます。ロードショー期間が終了に近づいても観客の入りが良い場合には、ムーブ・オーバーと呼ばれる手段がとられることがあります。
また、邦画系については2社が1系統づつのチェーンしか持っていないので、邦画作品でも洋画系で上映されることが多々あります。
洋画系の場合は、映画の上映権を持つ配給会社がTY系もしくはSY系の興行部と交渉することにより、いずれの系列で上映されるかが決まります。また、有力な作品の場合は興行部サイドからの希望により決められることもあります。しかし作品の製作状況や本国での興行成績、配給会社との折衝などにより、当初、TY系で公開が予定されていた作品がSY系で上映されることもありますが、本格的な宣伝段階に入る前には決定されていることなので、一般の人ががそれを意識することはほとんどないでしょう。
また、洋画系作品の上映期間は公開前からはっきりと設定されていない(もちろん、おおよそ何週間の上映という目算はある)ことが多いため、作品の入り具合によっては次の作品が公開される時期がずれ込んだり、別のラインで上映されるようなこともしばしば起こります。また、公開日が早くから設定されている場合はロックと呼んでいます。
注)1999年3月5日、松竹は邦画ブロック・チェーン(=丸の内松竹チェーン:レギュラー63館、拡大時約120館)を解消し、フリー・ブッキングとすることを発表した。森田芳光監督作品「39」が松竹邦画チェーン最後の作品となり、当初邦画系でラインナップされていた滝田洋二郎監督作品「お受験」は洋画系での公開となる。なお、チェーン転換後の同劇場の名称は「丸の内プラゼール」に決まった。