保育士合格体験記

 

−−−−−目次−−−−−

T.保育士試験をめざした動機

U.1年目

1.下見受験のつもりで

2.試験対策

3.筆記試験受験

4.実技試験対策

5.試験結果通知

 

V.2年目

1.試験制度の変更

2.LEC東京リーガルマインド通信講座受講

3.学習クイズSystem

4.受験対策その他

5.筆記試験

6.筆記試験結果

7.実技試験対策

8.実技試験当日

9.実技受験者ガイダンス

10.言語

11.音楽

12.試験通知と得点

13.結果報告会

 

W.まとめ

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T.保育士試験をめざした動機

 保育士試験をめざした動機としては2点あります。

 わたしは社会福祉法人の団体職員で、職員は相談業務とかかわりのある社会福祉士や、介護現場にかかわりのある介護福祉士、あるいは介護支援専門員(ケアマネジャー)を目指して、そして続々と合格して資格を取得しています。わたしも以前2年間通信講座を受講し受験資格を取得し、受験し、社会福祉士となりました。しかしながら、社会福祉関係の他の資格(介護福祉士や精神保健福祉士)は、実務経験が無く、実習を含めて講座を受講しなくては受験資格すら取得できません。また、ヘルパー2級といった講座の受講も可能ですが、やはり、受講時間数が長いため、見送っています。そうしたところ、保育士は、4年制大学を卒業した私に受験資格があること、そして、独学でも一発試験で受験できることがわかりました。また、国家資格になるということもわかりましたので、今後の業務に役立つこともあろうかと考えました。

 もうひとつの動機としては、わたしには子どもが3人(現在、小1、5歳、3歳)おり、これまでの育児経験を踏まえて保育士というひとつの認証を受けたいということと、あわせて、勉強を通じて得たものを子どもたちに返していきたいということでした。

 


U.1年目

1.下見受験のつもりで

 平成15年度の受験を思い立ったのが、15年の春頃でした。試験まで半年を切り、全範囲を勉強して、一発合格することは困難と考えました。そこで、15年度は、下見のつもりで受験することにしました。

 

2.試験対策

 下見気分といっても、受験まで何もしないわけではなく、まずは、「ユーキャン保育士合格講座」(通信講座)( http://www.u-can.co.jp/open/educate/course_temp/in_html/45/special.html )の教材(写真)と「保育士養成講座(全国社会福祉協議会)」(書籍)(写真)をインターネットオークションで安価で入手しました。また、インターネットのメールマガジン「エンゼルカレッジ」( http://www.angel110.com/c2.html )の無料登録もしました。

ただ、これで試験対策を完全にするのは困難でした。というのも「ユーキャン」はテキストが薄く、試験範囲を十分に網羅しているとはいえませんでした。また、「保育士養成講座(全国社会福祉協議会)」については、すでにこのときには「新・保育士養成講座(全国社会福祉協議会)」が刊行済で、内容が古くなっていて、さらに、これらは試験科目の変更前に出ていましたので、現在の試験に対応しているとは言えませんでした。

このときいちばん頼りにしたのは、東京都社会福祉協議会が開催している「保育士試験対策講座」でした。平成15年度までは保育士試験は各都道府県が実施しており、この試験対策講座も各都道府県あるいは都道府県社会福祉協議会が開催していました。そこで県によっては、対策講座で説明された箇所からほとんどの問題が出たなどの報告がエンゼルカレッジなどのホームページに載っていました。

日中有給休暇がとれそうな日程を選び、小児保健と保育原理の2科目に参加しました。たしかに、これまで勉強をしていなかった私にとっては、とても良い場ではあったのですが、配られたテキストも薄く、授業時間数は午前10時から夕方までのおよそ1日だけ、さらに最大の問題としては受講料が高い!1科目5,000円。他県だと1,000円代というところもあるのに!

とりあえず、15年度は下見と考えていましたので、できれば、受講した科目は合格できればなぁなんて思いながら、受講しました。

ただ、他科目のテキストの残部や、東京都社会福祉協議会が発行している「保育士試験問題集」(過去問)、「保育基礎講座保育実習(言語・絵画)」「保育基礎講座保育実習(音楽)」といった書籍を購入することができたのは、ひとつの成果とも言えます。

あと、試験対策として、「よくわかる新保育所保育指針ハンドブック」(学習研究社)を購入しました。試験対策講座で、保育所保育指針からの出題がかなりあることを知り、これを習得しておく必要を強く感じたからです。今でも保育所保育指針についての解説本はいくつか出ていますが、この本はイラストが多く、読みやすいという、たしかエンゼルカレッジでの講評が載っていて、それでこの本を選びました。イラストが多く何度も読み返す苦痛を和らげましたが、指針がほぼ原文のまま掲載されているだけで、できれば、年齢別の保育の内容だけではなく、試験対策には、言語は年齢を重ねるとどのように発達するか、といった、年齢横断的な整理も必要であると思いました。

 

3.筆記試験受験

 平成15年度東京都保育士試験は、筆記試験が8月7日(木)・8日(金)に千代田区三番町の大妻女子大学千代田キャンパス、実技試験が9月19日(金)・20日(土)に文京区小日向の東京都社会福祉保健医療研修センターで実施されました。

 筆記試験の日程はほぼ全国同日になっていましたが、この年までは、各都道府県別の試験問題となっており、保育実習の実技試験は、保育実習筆記試験の科目合格者が受験できました。受験手数料は8,900円でした。

 他の受験生には、悪かったのですが、下見のつもりの1年目でしたので、「保育士試験対策講座」で受講した小児保健、保育原理、それから、過去に教職の授業や、社会福祉士受験のときに勉強した社会福祉、児童福祉、教育原理、養護原理、また、実技試験受験のために保育実習などの科目に比較的力を注いで、当日に臨みました。

 けっこうな人数が受験するのではと思っていましたが、市ヶ谷駅付近ではそれほど感じませんでしたが、やはり、靖国神社に近づくあたりから会場にかけての道は、それらしき人(比較的若い女性)が多くなりました。

 大妻女子大学の構内はさすがに女子大だけあって、きれいでした。男性用トイレの位置を確認し、受験会場に入りました。

 丸々二日の試験日程は粛々と進みました。ただ、保育実習で出題訂正の連絡が受験時間中にありました。しかしながら、試験時間中に全受験教室に連絡がまわりきらなかったとのことで、後日この問題は全員正解で扱われました。

 昼食の弁当は、1日目は近くの弁当屋で購入しました。コンビニも近くにありましたので、まったく購入できないということはないとは思いましたが、なにせかなりの人数が同じ日程で動きますので、2日目は自宅付近のコンビニで購入し持参しました。なお、弁当のゴミは持ち帰りとなります。

 試験の手ごたえとしては、勉強したものはそれなりにありました。ひねくれた問題は少なく、正攻法で勉強することが大切だと感じました。

 

4.実技試験対策

 筆記試験会場の帰り道、2つの実技試験対策スクールが、チラシを配っていました。1つは、千川ミュージックスクール(東京都豊島区千川2-33-1-201/電話03-3554-9147)で4人1クラス 601,500円、個人302,500、個人605,000円、もうひとつは、東京保育実技スクール(東京都練馬区北町2-41-5-102/電話03-3935-3839)で1レッスン453,000円というチラシでした。

この年までは、「保育実習」の筆記が科目合格していれば、実技試験を受験することができましたので、一応、千川ミュージックスクールのクラスレッスンを電話で申し込んでおき、ピアノと言語も「ユーキャン保育士合格講座」のビデオなどを見て、それなりに練習しはじめました。

 しかしながら9月1日に保育実習(筆記)の不合否通知があり、(合格者には実技試験の案内状が送付される)レッスンはキャンセルすることになりました。

 

5.試験結果通知

 試験結果の通知は1027日に郵送されてきました。得点は次のとおり。

社会福祉78、児童福祉45、発達心理8、精神保健32、小児保健59、小児栄養34、保育原理60、教育原理34、養護原理33、保育実習59

「保育士試験対策講座」で受講したもののうち小児保健は1点届かず、保育原理はぎりぎり合格しました。力を注いだ科目では、社会福祉は比較的高得点、教育原理と養護原理は無事クリアしました。保育実習(筆記)は基本的事項の修得が不十分で残念ながらクリアできませんでした。全体としてみれば、下見のつもりで受験したにしては、まあまあの成績を収めることができました。

 

V.2年目

1.試験制度の変更

 平成16年度に、全国の保育士試験の制度が一部変更になりました。(平成15121日付厚生労働省雇用均等・児童家庭局長発・雇児発第1201002号文書

筆記試験が、従前は択一式と記述式だったのが、択一式のみになり、全国統一試験になりました。筆記試験は、社団法人全国保育士養成協議会が受託して実施されました。

それから、実技試験が、従前は、保育実習の筆記試験が科目合格すれば保育実習の実技を受験できたのですが、筆記試験全科目合格しないと受験できないようになりました。科目名称も保育実習(筆記)から保育実習理論となりました。

 受験手数料は12,700円にだいぶ値上がりました。また筆記試験の試験日が全国統一となりました。

 東京都の実施要項などは社団法人全国保育士養成協議会のサイトに掲載されています。

 

2.LEC東京リーガルマインド通信講座受講

 2年目は、本格的に準備して試験に臨む年と位置づけました。1年目は下見のつもりでしたが、4科目合格していましたので、残りの科目を重点的に、でも合格した科目も受験だけはすることとしました。

 勉強の中心は、LEC東京リーガルマインド(東京都中野区中野4-11-10 アーバンネット中野ビル/0120-35-5052)の「2005保育士合格パックBの通信講座を受講することにしました。

平成151110日夜、無料講座説明会(新宿校)に参加しました。来会者は10人ぐらいでしたが専任講師により「保育士国家資格の一発合格秘訣を伝授」と題して講義がありました。保育士試験や就職についての現状、勉強のスケジュール、勉強方法についての解説でした。その後職員らによって、講座の説明がありました。LECの講座の場合、「知識の習得(input)」「実力養成(output)」という組み立てになっていて、効果的に知識を習得するとともに、実力となっているか確認をすることができるとのことでした。また、教材は、試験問題で言う難問は除いてあり、完全に学習できたとして試験の8割が得点でき、仮にミスや忘却によって1割を落としたとしても7割得点できるようになっているとのことでした。(科目合格は6割得点)。金額については、通信も通学同様に録音テープによって面接授業を受けたのと同じ効果があるとして、通学も通信も同額になっているとのことでした。また、他社との比較について、通学は教材や講義に無駄が無いため他社より低め、通信については通学と同額にしているため、他社より高めとの説明でした。

わたしが選んだのは「合格パックB」。入門講座・合格講座・問題演習講座(基礎編・応用編)がパックになっており、厚生労働省の教育訓練給付制度の対象になっていました。申し込みをした場所によって別価格が設定されていて、大学の生協・書籍部、代理店書店、その他の順で約3,000円高くなっていました。そこで、後日出身大学の生協に行って、126,920円で申し込みました。

 また、講座修了後(課題試験をすべて提出することが条件)、在住地のハローワークで手続きをすることによって、厚生労働省の教育訓練給付制度で受講料の40%50,768円助成(支給要件期間によっては20%)がありましたので、差し引き、76,152円の出費となりました。

 教材は、独自のテキストと講義の録音テープ(合格講座の場合、100点満点科目1科目あたり90分テープ4本、50点満点科目1科目あたり90分テープ2本)が順次送られてきました。

 勉強方法ですが、帰宅後や休日も子どもの世話に追われるので、唯一の勉強できる時間は、通勤中だけでした。まずは、講義のテープは、持ち運びに便利なようにICレコーダーに取り込み、それを聞きながら、蛍光ペンでテキストの重要なところにマークをしました。そして、電車の車内では、これを聞きながら、テキストを何回も読みました。駅から自宅までの徒歩の間は、講義を聞きました。通勤時間は約1時間、これの往復で1日2時間、工夫すれば勉強時間はたたき出せるものだと思いました。

 前年不合格だった科目についてはきっちりと勉強をしました。前年合格した科目についても受験だけはする予定でしたのでは浅めでしたが勉強しました。

 

3. 学習クイズSystem

 保育原理、保育実習などの科目では、保育所保育指針からの出題があります。解説本でひととおり習得したのちに、それを確認するために、クイズ作成ソフトを利用してみました。

 フリーソフトを多数紹介しているVectorというサイトで、いくつかのソフトを使ってみましたが、結局岡崎良介氏製作の「学習クイズSYSTEM」( http://www.vector.co.jp/soft/win95/edu/se268307.html または http://www005.upp.so-net.ne.jp/Ryou_room/sub02.htm )を利用しました。

 「ねらい」「内容」「配慮事項」を表示し、その年齢を当てるものですが、職場で昼休みにやることによって、楽しく身につけていくことができました。

 問題ファイルは、以前公開していましたが、保育所保育指針が改定になりましたので、現在は公開していません

 

4.受験対策その他

 全国社会福祉協議会発行の「新・保育士養成講座」と「ユーキャン保育士合格講座」は、手元においてはおきましたが、筆記試験対策としては開くことはありませんでした。また、東京都社会福祉協議会が開催している「保育士試験対策講座」も2年目は受講しませんでした。

 受験対策は、「LEC東京リーガルマインド通信講座」でほとんどやったことになります。

 

5.筆記試験

 平成16年東京都保育士試験(筆記試験)は、8月4日(水)・5日(木)に東京家政大学板橋キャンパスで実施されました。

受験会場となったのは、高校の一般教室で、上履き持参を要項で指示されていました。机はいわゆる一人ずつのスクールデスクで、空き席を設けず全席使った設営になっていました。よって、テキストと食事(コンビニ弁当)の手提げなどを机の両脇に吊り下げました。男子用トイレは各階にありました。空調も適度でしたが、一般的に言われているように、暑すぎたり寒すぎたりしたときに自分で調節できるようにはすべきでしょう。

昼食は板橋駅の近くのコンビニで購入して持参しました。駅からキャンパスまでの道の間にコンビニがありますが、キャンパスのすぐまわりにはお店はありませんでした。ただあとでわかったのですが、実はキャンパス内にファミリーマート東京家政大学店というのがあります。でも、この東京家政大学店はファミリーマートのホームページでも店の検索ができませんので、もしかすると、特にこの期間は夏季休業の時期でもありますので、開店しているかどうかはわかりません。

 前年合格した科目についても、勉強はほとんどしていませんでしたが、受験はしました。出題者が東京都から受託先の全国保育士養成協議会へと変わりましたが、難易度や出題傾向についての変化は感じませんでした。

 そこそこの手ごたえを感じて、会場をあとにしました。

 

6.筆記試験結果

 筆記試験の結果は917日までに、得点個票(各課目の得点表)は1119日(金)までに通知されると要項に書いてありました。

 試験後、エンゼルカレッジなどでは不適切問題についてWeb上で意見交換が行われていました。また多分、東京都や全国保育士養成協議会などにも、手紙やメールなどでそれらの声が届いたのでしょう。

 全国保育士養成協議会保育士試験事務センターから9月6日付文書が届きました。

 

 


 

また、試験問題のミスプリントが3か所あったことがHPで公表されました。( http://www.hoyokyo.or.jp/ )

吸綴吸啜(小児栄養 問5・問6)

赤沢鐘美赤沢鍾美(保育原理 問17)

予防措置予防処置(保育実習理論 問21)

 

7.実技試験対策

今年度も筆記試験会場の帰り道、実技試験対策講座のチラシを配っていました。今回手にしたのは、東京保育実技スクール(東京都練馬区北町2-41-5-102/電話03-3935-3839)で合同レッスン2科目2500円(1科目1時間)というものでした。

 昨年もこのスクールのチラシを手にしたのですが、そのときのチラシは入会金5,000円、1レッスン453,000円という個人レッスンの案内だったので見送っていましたが、今年は合同で金額も安価でしたので、申し込むことにしました。

 

 

 昨年は、筆記試験の結果を待たずして申し込み、その後保育実習(筆記)が不合格だったためキャンセルしました。今年も、筆記試験の結果はまだ届いていませんでしたが、仮に筆記試験が合格していたときに、早めに効果的な練習に入れると思い、8月中旬に問い合わせてみました。

 すると、受講生がそろわないために全日程開講できないとのことで、自分との日程とあわせ、10月2日を申し込みました。それから、合同レッスンでは、試験当日と同じように他の受講生を前にして演じるということを言われました。

 わたしは言語と音楽を選択していましたので、自己流ながら練習をはじめました。音楽の課題は「ありさんのおはなし」と「空にらくがきかきたいな」をピアノ・ギター・アコーディオンのいずれかで伴奏しながら歌う、言語は、童話などを3歳・4歳・5歳児を対象に3分間口演するというもので、筒井頼子作「あさえとちいさいいもうと」を選びました。

 「ありさんのおはなし」は3拍子で伴奏が全曲ブン・チャッ・チャですが、これに対し「空にらくがきかきたいな」は、伴奏のリズムがフレーズごとに変わり、それも、メロディーの動きと異なったり、コードが?のところがあったりと、練習に窮しました。楽譜に「童謡の課題曲の楽譜は、試験会場で実際に演奏する形に編集しています」と試験実施要綱に書いてあるのは、演奏の技術をみるためにわざと伴奏の形を変えるためにそうなっているのかと思うほどでしたが、講師の話によれば、1番だけになっていることを言っているとのことでした。

言語で「あさえとちいさいいもうと」(福音館書店)を選んだのは、裏表紙に「読んであげるなら3才〜自分で読むなら小学校初級」とあり対象年齢が合致していることと、いくつかのエピソードを省略して3分間の話しにつくりかえても起承転結がはっきりしていること、そしてなにより、自分の子どもに再三読んでいたので、ほぼ暗記していたことです。(講座受講後「おおきなかぶ」(福音館書店)も勉強することとなりました。)

 10月2日、東京都新宿区大久保のマンションの一室がレッスン会場でした。

 まず言語。わたしを含めて受講生は5人でした。先生から、対象年齢(3歳または5歳)の指示があり、みんなの前で試験さながら交代で演じました。他の受講生は、3歳対象として、「おむすびころりん」、「おおきなかぶ」、5歳対象として、「だいこんむかし」、「こすずめのぼうけん」、「さるかに」、「はじめてのおつかい」を選んでいました。その後講師からの講評がありました。導入のセリフ、目くばり、話の調子、テンポ、強弱、年齢に応じたテンポといった話し方のほか、聞いている子どもとのやりとりの入れ方、失敗したときのリカバリーの方法(「アッ先生まちがえっちゃったネ」と入れる)などのアドバイスがありました。「おおきなかぶ」では「次は誰だっけ」などと聞いている子どもへはたらきかけるセリフの挿入などのチャレンジもありました。

 わたしは、「あさえとちいさいいもうと」1本でいくことを考えていたのですが、3歳児には内容を理解させるのは難しいだろう、くりかえしの言葉が多くリズムのある題材を別に選んだほうが良いとアドバイスがありました。そこで、「あさえとちいさいいもうと」は5歳向けとし、3歳向けとして別に「おおきなかぶ」を練習することにしました。また、単に朗読調を目指すのではなく、子どもたちに話して聞かせるシチュエーションを感じながら話すようにとも言われました。これまで「ユーキャン保育士合格講座」のビデオだけで独学していたわたしにとっては、貴重なアドバイスとなりました。

 つぎは音楽。実はわたしは、歌はカラオケにたまに行くぐらい、ピアノ伴奏をしながら歌うというのは初めてのことでした。そのため、短時間で効果的な発声練習法をまずは教えてもらいました。また、歌い方では、歌い出しをていねいにすること、全音符などののばしをきっちり歌うこと、高いところはおなかで音程を支えることなどを指摘されました。

 ピアノ伴奏については、休符をきちんととること、強弱をつけることなどを指摘されました。歌もピアノも原則は、譜面に忠実なことが大切なようです。

 質疑応答で、受験時の服装について講師に聞いてみました。保育の現場を想定することが大切なので、いくら実技試験が面接試験だと言ってもスーツは硬すぎる、かといって、わざわざエプロンをつけたり、トレーニングウェアに着替えることはないでしょうとのことでした。

 レッスンに参加してわかったのは、言語も音楽も、芸術性とか技術を問うのみではなく、あくまで現場での実際の保育の中でどうみなされるのかという評価であるということでした。

 わたしは翌週の10月9日も参加しました。

 言語では1週間で暗記した「おおきなかぶ」のチェックをしました。「おおきなかぶ」は福音館発行のもの以外に光村図書の小学1年生の教科書にも収録されていて、文章の書き方が異なったり、あるいは同じ福音館発行のものでも時期によって助詞が微妙にちがったりと、1週間の勉強の中で、いろいろなバージョンがあることがわかりました。これによって逆に、多少のセリフちがいが気にならなくなりました。本のセリフ以外では、さいごねずみが来て引っぱるところで「みんなも一緒に声をかけてネ」という声掛けを入れてみました。レッスンでは、だんだん大きくなるように演じることと、入れたセリフを流暢に入れることを言われました。

また、「あさえとちいさいいもうと」は、書きことばから話ことばへの整理、たとえば主語や「〜と言いました」といった説明文の省略などのアドバイスがありました。

 音楽では、発声方法、強弱のつけ方などのチェックをしてもらいました。それ以外では、歌とピアノの音量のバランスを指摘されました。自分ではわかりにくいのですが、ピアノは思ったよりも小さめに弾いてみて、バランスがとれるようです。また伴奏のベース音は長めに弾くとうるさくなるので、音符を短めにするほうが、歌のじゃまにならないようです。また、受講生の中に、疑うことなく1オクターブ違えて練習してきた人もあり、そういうことでは、いくら自分で弾けたとしても、こうしたレッスンで確認することが大切だと思いました。

 最後に、講師から「皆さん合格ラインは超しています」という励ましの言葉をいただき、レッスンを終えました。

 

8.実技試験当日

実技試験では、音楽と言語を受験しました。

日程は1016日(土)午後1230分、会場は筆記試験と同様、東京家政大学板橋キャンパスでした。

筆記試験と同様に板橋駅から歩きました。筆記試験は平日でしたが、実技試験は土曜日それも昼でしたので、埼京線(大崎からの直通)の本数が少なく、あらかじめ列車の時刻を確認しておいたので安心です。

筆記試験のときは上履き持参となっていましたが、実技試験は同じキャンパス内の大学の校舎が使用されたため、不要でした。

服装は、半そでポロシャツにダークグレーのジーンズのズボン、黒色の運動靴でのぞみました。この日は天候がいまひとつで、肌寒かったのですが、室内では半袖でも寒さは感じませんでした。まわりの人も、スーツなどではなくほぼ普段着で臨んでいました。

入り口にあった会場の案内図には、絵画の会場も示されていましたが、この日の午後の受験者はすべて、言語と音楽を選択した人たちでしたので、絵画の試験は午前中だったようです。もう1日の試験日程の日曜日については、試験があったのかなかったのか、どの科目だったのかは、わかりません。

まず、正面からまっすぐすすみ、ほぼ突き当たるようなところにある10号館(図書館)3階の、150人ぐらい入る部屋が集合場所になっていました。この部屋は言語の控え室でした。集合時刻のほぼ1時間前に入室しましたが、そのときはわたしの他は2〜3人しかいませんでした。

トイレは、この言語控え室から言語試験室の前を通った先にありました。ちょうど、午前中の試験が終わったところらしく、試験官や案内の担当者と思しき人たちが、「おつかれさま」とか「採点票はどちらに持っていくのでしょうか」などといいながら、試験官控え室に行くところでした。

わたしは控え室に戻り、買ってきたコンビニエンスストアのサンドイッチを食べました。図書館棟ということもあって室内で食べられないときは庭で食べようと思っていましたが、どうやらこの控え室での食事は可能でした。

 

9.実技受験者ガイダンス

やがて、1200をすぎたころから、続々と受験者がこの言語控え室に集まり、集合時刻にはほぼ満席となりました。この日の午後受験する人全員(123人)がこの部屋に集められて、集合時刻の1230から実技受験者ガイダンスが行われました。

ガイダンスの内容は、試験の進行表(各受験者の科目別の試験室と時刻)の配布と、注意事項の説明でした。言語の試験室は5つで5分ごとに、音楽の試験室は4つで4分ごとに割り振られていました。

 

 

10.言語

言語の会場は、このガイダンスが行われた10号館(図書館)3階と同じフロア、音楽の会場は図書館のさらに裏手の12号館で2階が150人ぐらい入る控え室、3階が試験室のフロアとなっていました。

わたしは言語が1325、音楽が1432という時間割でしたので、ガイダンスをした言語の控え室にそのまま残って、順番が来るのを待ちました。見渡したところ男性はわたしのほか1人しか見当たりませんでした。他の人は余裕があるのか、知り合いと談笑したり、あるいは、そのまま座って待っていました。わたしは、念のため、台本を読み返したり、飲み物を飲んでのどをしめらして時間を待ちましたが、飲み物を飲んだからか、あるいは緊張したのかもしれませんが時間もあったのでトイレに行きました。トイレに行き、少しは落ち着いた気分になりました。

言語は、ほぼ時刻どおり進んでいるようでした。各試験室に1人案内の担当者がいて、ほぼ5分前になると、控え室に呼びに来ます。そして呼ばれて試験室の前に行くとろうかにイスが2つあり、そこでさらに待ちます。トイレはこの時点でも行くことは可能でした。なお手荷物は控え室に置く人もいましたが、ほとんどの人は持って試験室に向かいました。

自分の直前の人が試験室に入ってしばらくすると、試験室の扉の前で立って待ちました。そして、前の人が退出していったん扉が閉まり、さらに30秒〜1分ぐらいすると、中にいる試験担当者に声をかけられ、入室しました。

部屋はさほど広くなく、ゼミ室のようなかんじの部屋でした。

 

試験官2人

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


入室するとまず、荷物を荷物用のイスに置くようにうながされました。それから、ガイダンスでの指示に従い、受験番号シールを自分ではがして手渡そうとしましたが、試験官が、受験票ごと渡すように指示されたのでそれに従いました。

次に試験官が「座ってでも立ってでもけっこうです」。と言ったので、わたしは、「それでは座らせていただきます」と言って、座りました。

つぎに試験官から、3歳向けに演じるように指示されました。「わかりました」と返事をしました。わたしは、4〜5歳向けには「あさえとちいさいいもうと」、3歳向けには「おおきなかぶ」を用意していました。

すると、すぐに、タイムキーパーが卓上ベルによって「チン」と計測に入った合図をしました。そこで、すぐに「きょうは、おおきなかぶというお話をします」と、題目を言って口演に入りました。試験官は演目を書きとめていました。のちの音楽でもそうですが、一種の面接と言われている実技ではありますが、数字の大きい受験番号を覚えて言ったり、氏名を言うことは要求していないようでした。

試験官は、2人とも年配の女性でした。入室からずっと、やわらかい笑顔を保ち、受験する側にとっては、うれしい配慮でした。ただ、試験官の座るテーブルは足かくしが無いので、座って演じたときに視線をこころもち下げると試験官の足に向かって話すようになりますのでわたしのように男性が演じるときはそういう意味での度胸が必要かもしれません。

実際に演じているときは、控え室にいたときよりも緊張は無くなっていました。これは緊張がほぐれたというよりは、実演に集中できたというかんじでした。話のペースを守り、後段になるほどゆっくりと大きな声で、「うんとこしょ、どっこいしょ」と多少体を動かして表現することに専念しました。というより、実技レッスンを受けていたからこそ、自然に身についていて演じることができたという感じでした。

7割ぐらいすぎたところで、試験官は採点を書き込んでいました。

演じ終えたところでちょうど3分くらいと思われますが、早めにおわったのか、終了のベルを聞くことはありませんでした。「ありがとうございました」と一礼し、手荷物を持とうとすると、先に手渡した受験票を持っていくように試験管に促されました。

 

11.音楽

次は音楽です。音楽は、10号館(図書館)の裏手に位置する12号館で、その前には学内でしたがコンビニエンスストア(ファミリーマート東京家政大学店)がありました。

いったん2階の控え室の場所を確認したのち、建物の外に出て、声出しのできるところを探しました。コンビニエンスストアの前ではギターの調弦をしている女性がいましたが、多分この人も受験者なのでしょう。建物の先はグランドになっていて、その手前で、声出しをしている女性がひとりいました。ほかには、声出しをしている人はありませんでした。

午後になり、またすでに言語で声を出していましたので、さほど心配もなかったのですが、念には念を入れるべく、校舎の裏側で、音階、そして歌を実際に声を出してみました。やっているうちに、腹から声が出るようになり、また、高音の出も良くなってきました。飲み物も適宜飲み、のどを湿らせました

予定時刻の20分位前に、2階の音楽控え室に入りました。この部屋も、言語の控え室と同じくらいの150人位入る部屋でした。言語のときもそうでしたが、音楽の控え室でも、特に譜面を見たり、指を動かしている人などはまず無く、番号が呼ばれるのをただただ待っている様子でした。

わたしは、やはり念を入れるため、持参の譜面を見て、書き込みなどをチェックしていました。

ここも言語と同様で、各試験室の担当者が、控え室に呼びにくるシステムになっていました。わたしの少し前の人たちが呼ばれていましたので、念のため、そして緊張をほぐすために控え室前のトイレに行きました。ところが、控え室にもどろうとしたときに、自分の番号が呼ばれているところでした。

担当者は、「少し予定より早くなっています」と言っていましたが、とりあえず欠席にならずにすみました。

試験室は3階で、言語同様部屋の前には2つずつイスがあり、次そしてその次の受験者が座って待つようになっていました。防音室にはなっていますが、ろうかにも音が漏れて聞こえていました。担当者から、受験番号シール2枚を受験票からはがして手に持っているように指示がありました。

前の人が終わるとすぐに、入室しました。部屋は、ピアノのレッスン室のようで、とても狭いところに、2人の試験官が座っていました。

 

テキスト ボックス: アップライトピアノ

テキスト ボックス: 試験官

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


受験番号シールを手渡すと、氏名を言うのもそこそこに座りました。譜面台には厚紙の両面に1曲づつ譜面が貼ったものが置いてありました。受験要項の譜面よりは読みやすいぐらいに拡大されていて、B4横置きで2段組になっていました。わたしは自分の譜面を持ち込みました。

試験官は、年配の女性と40歳前後の女性の2人でした。

試し弾きはありませんでした。1小節ぐらいテンポを頭の中で確認してから、弾き始めました。特に速すぎないように、おちついたテンポとなるように心がけました。まず、「ありさんのおはなし」そして「空にらくがきかきたいな」。軽くお礼を言ってから、退室しました。実技レッスンで受けた声とピアノの音量のバランスや、音の長さ、大きさについては、配慮できました。

音楽の試験を終え、とりあえずは、今年の試験を終えた開放感を感じていました。

 

12.試験通知と得点

 保育士試験合格通知書と得点個票は、1119日に届きました。その中で、音楽は38点、言語は49点でした。いずれも50点満点なのですが、音楽は、「まああの歌ならばこんなかんじかなぁ」というところですが、言語がこれだけの高得点になったのは、レッスンを受けて基本をおさえたことが充分に試験官に伝わったものだと思いました。

試験正答およびミスプリントのお詫びが、全国保育士養成協議会のホームページに掲載されています。( http://www.hoyokyo.or.jp/

 正答が「全」となっているのは、選択肢が無いなどで、全答正答としている問題で3つあります。

 

上の合格通知書には、全国保育士養成協議会会長の印が押されていますが、これが送付される前に、押印されていないまったく同じはがきが届きました。その後、前年の一部科目合格証明書を提出することによって、押印されたこの合格通知書が送付されました。

そして、12月7日、登録事務処理センターに保育士登録の申請書を送付し、現在は、登録手続きの完了をまっていたところ、年が明けて平成1725日次のようなはがきが届きました。

 

宛名面

裏面

氏名:■■■様(←必ずご確認ください。)

問合せ番号:○○○○○○(←お問合せの際、この番号をお知らせください。)

※氏名に誤りがある場合・保育士登録申請書の変更事項届の提出が必要な場合は、平成17223()までに「はがき」で登録事務処理センター必着にてご連絡ください。

■法施行日(平成151129)までに申請書受付が集中したためと記載内容の審査等のため、大変お待たせしておりますが、保育士証の交付に今暫く時間かかかる見込みですのでご了承ください。

■法施行日(平成151129)前に保育士の資格を取得された方は、法施行日後3年闇は、都道府県知事登録を受けなくとも保育士として保育に携わることができます。〈改正児童福祉法附則第4条・第5(経過措置)

※専用電話(祝日を除く月曜日から金曜日までの10時から12時まで及び13時から18時まで)は、14時以降が比較的すいております。

登録事務処理センター

問合せ番号のお知らせ及び氏名の確認

受付けましたあなたの保育士登録申請書の問合せ番号をお知らせいたします。

なお、表面に記載してあります氏名が登録されることとなりますのでご確認ください。誤りがある場合には、恐れ入りますが下記の事項を記入の上「はがき」で登録事務処理センターまでご連絡ください。

 ・間合せ番号《表面に記載してあります。》

・このはがきに記載されている氏名

・訂正後の氏名《楷書で記入してください。》

なお、氏名・本籍地・連絡先住所が変更となり、「保育士登録申請書の変更事項届」の提出がお済みでない場合には、はがき表面に記載された期限までに必ず提出してください。(詳細は、「保育士登録の手引き」をご参照ください。)

※登録後に交付される保育士証は、昼問不在の場合でも郵便局の不在通知に従い、勤務先等で受け取れます。

登録事務処理センター

150-0002東京都渋谷区渋谷1-1-8(青山ダイヤモンドビル)

登録案内専用電話:0120-041943

FAX:03-3797-7892

 

さらに2か月近く経った3月24日、ファイルといっしょに、保育士証が送られてきました。

 

 

13.結果報告会

平成161218に、実技のレッスンを受けた東京保育実技スクールで結果報告会が開かれました。出席者は、言語・音楽、絵画、筆記の各講師3名、受講生3名と少人数でしたが、他の受講生からのアンケート回答やWebで公開されている絵画の再現画など(エンゼルカレッジこじんまり広場)を見ながら、意見交換をしました。

受講生のアンケートの回答は22人中19人から寄せられていましたが、言語は最高49点、音楽は最高50点満点であったのに対し、絵画は3040点にとどまっていました。回答のあった受講生の中には不合格者はありませんでした。(後に聞いたところ22人全員合格だったとのことです。)

絵画の再現画を見ながらの意見交換では、ピアノの鍵盤などの詳細な写実性も大切だが、人数が多い、全員の表情が違う、色が多い、奥行きがある、子どもの動きがある、といった絵画の技術に加え、年齢に幅がある、外国人を描く(金髪の子など)など、保育所保育指針に沿って描いている絵が高得点であるとの考察がされました。

この後、居酒屋に会場を移し忘年会をしました。

講師によれば、以前のように保育実技(筆記)の科目合格さえすれば実技を受験できた試験制度のときは、通年で50人ぐらいの受講生があったとのことでしたが、今年度から、筆記全科目合格しないと実技を受験できない試験制度に変わったためか、通年受講する人は減少したとのこと。今は、現役保育士が毎月の季節の歌のレッスンに来ていたりするとのことでした。

 

W.まとめ

 ここ数年の間にも、保育士の国家資格化、試験制度の変更、次世代育成支援などの大きな変化がありました。保育士受験を通じて、こうした現状を知ることができたことは大きな成果でした。

 今後は、この受験を通じて得た知識を、仕事や育児への反映をしていくことを通じて、受験の目的を達したいと思います。

 

(おわり)