VSOLJニュース(334) さそり座に新星が出現 著者:前原裕之(国立天文台) 連絡先:h.maehara@oao.nao.ac.jp この時期には夕方の南西の空に見えるさそり座の中に、爆発直後の新星が発見 されました。新星を発見したのはハワイとチリでそれぞれ4台の口径14cmの望遠 鏡とCCDカメラを使って超新星のサーベイを行なっているAll-Sky Automated Survey for Supernovae (ASAS-SN)のグループです。 ASAS-SNのグループは、チリにある望遠鏡で10月14.01日(世界時; 以下同様)に 撮影された画像から14.0等の新天体(ASASSN-17nj)を発見しました。この天体の 位置には前日の13.10日の画像には17.4等よりも明るい天体が見られないことか ら、この天体は13-14日のわずか1日の間に急激に明るくなったと考えられます。 発見された天体の位置は 赤経:17時30分34.18秒 赤緯:-31度06分06.8秒 (2000.0年分点) です。 15.58日にはインドのアブ山天文台の1.2m望遠鏡によってこの天体の近赤外域 の分光観測が行なわれ、この天体のスペクトルにはP Cygniプロファイルを示す 水素のパッシェン系列や中性ヘリウムの輝線の他、中性の窒素や酸素などの輝 線も見られることが分かりました。これらの特徴からこの天体が古典新星であ ることが確認されました。 ASAS-SNの観測データによると、この新星は16日には13等ほどに増光しており、 今後どこまで明るくなるのかが注目されます。 2017年10月16日 参考文献 Stanek et al. 2017, ATel #10850 Joshi et al. 2017, ATel #10852 参考文献 Stanek et al. 2017, ATel #10523 Stanek et al. 2017, ATel #10524 Kurtenkov et al. 2017, ATel #10527 Williams & Darnley 2017, ATel #10542 Berardi et al. 2017, ATel #10558 Munari et al. 2017, ATel #10572 A.R.A.S Spectral Data Base http://www.astrosurf.com/aras/Aras_DataBase/Novae/2017_NovaSct2017.htm vsnet-alert 21271 vsnet-alert 21272 Tanaka et al. 2011, PASJ, 63, 911 Munari et al. 1996, A&A, 315, 166