VSOLJニュース(343) さそり座に新たな新星が出現 著者:前原裕之(京都大学) 連絡先:maehara@kwasan.kyoto-u.ac.jp 私達の天の川銀河の中には、今年に入ってから日本から見えないものも含めると 既に5個の新星が発見されていますが、6個目となる新星がさそり座に発見されま した。新星を発見したのはAll Sky Automated Survey for SuperNovae (ASAS-SN) のチームで、2月24.36日(世界時)にチリのセロ・トロロ天文台に設置された口径 14cmの望遠鏡とCCDカメラを使って撮影した画像から14.3等の新天体(ASASSN-18ds) を発見しました。この天体の位置は 赤経 17時 03分 47.51秒 赤緯 -38度 16分 57.1秒 (2000.0年分点) です。 2月25日にラ・シヤ天文台の3.6m望遠鏡で行なわれた分光観測から、この天体の スペクトルには水素のバルマー系列や1階電離した鉄の輝線がみられることが分か りました。また、27日に南アフリカ大型望遠鏡(SALT)で行なわれた分光観測では、 前述の水素や鉄に加えて中性の酸素や1階電離したカルシウム等の輝線がみられた 他、これらの輝線がP Cygプロファイルを示すことも分かりました。このようなス ペクトルの特徴から、この天体が古典新星であることが判明しました。AAVSOなど に報告された観測データによると、この新星は3月1日に12等ほどにまで増光して おり、今後の明るさの変化等が注目されます。 2018年3月4日 参考文献 Stanek, K. Z., et al., ATel #11348 Schmidtobreick, L., et al., ATel #11360 Aydi, E., et al., ATel #11364 新星の画像 ・清田さん http://meineko.sakura.ne.jp/ccd/ASASSN-18ds.jpg