VSOLJニュース(367) カシオペヤ座に新星が出現 著者:前原裕之(国立天文台) 連絡先:hiroyuki.maehara@nao.ac.jp 7月下旬にカシオペヤ座の中に発見された新星が11等ほどの明るさになってい ます。この新星は7月27.9302日(世界時; 以下同様)に、ロシアのKa-Dar天文台 で焦点距離135mmのレンズとCCDカメラを用いて撮影された画像から、同天文台 のS. Korotkiyさんとモスクワ大学のK. Sokolovskyによって12.9等の新天体と して発見されました。また、発見後の調査でスペインのラ・パルマのFRAM-ORM 広視野カメラで発見前の27.23087日に撮影された画像にこの天体が13.15等で 写っていることが分かりました。この天体の位置は 赤経: 00時 11分 42.96秒 赤緯: +66度 11分 20.8秒 (2000.0年分点) です。 この天体の分光観測は7月29日にコーカサス山天文台の2.5m望遠鏡で行なわれ、 この天体のスペクトルには、P Cygプロファイルを持つ水素のバルマー系列の輝 線や一階電離した鉄、中性のナトリウムの輝線が見られることが分かりました。 このようなスペクトルの特徴から、この天体が古典新星であると判明しました。 この新星は発見後の7月29-30日ごろにいったん14等近くまで暗くなったものの、 その後はゆっくりと増光を続けています。これまでにVSOLJに報告された観測に よると、この新星は8月1日に13等、8月4日ごろには12等、8月9日ごろには11等 まで明るくなりました。今後の明るさの変化やそれに伴なうスペクトルの変化 が注目されます。 2020年8月11日 新星の画像と明るさの変化 (佐野さん) http://sn1997ef.web.fc2.com/sn/other/20200728/02.html 新星の光度曲線 (VSOLJ) http://kws.cetus-net.org/~maehara/LCGmc.py?object=TCPJ00114297%2B6611190&obs_code=&sdate=&edate=&plot_all=y&plot_vis=y&plot_U=y&plot_B=y&plot_V=y&plot_Rc=y&plot_Ic=y&plot_y=y&plot_Rj=y&plot_Ij=y&plot_C=y&plot_cG=y&plot_c=y&plot_p=y&grid=y 参考文献 CBAT "Transient Object Followup Reports": TCP J00114297+6611190 Sokolovsky, K., et al., 2020, ATel #13903 Sokolovsky, K., et al., 2020, ATel #13904