VSOLJニュース(384) 中村さんがいて座に新星を発見 著者:前原裕之(国立天文台) 連絡先:hiroyuki.maehara@nao.ac.jp 三重県亀山市の中村祐二さんは1月27.8704日(世界時; 以下同様)に口径10cmの 望遠鏡を用いて撮影した画像からいて座の中に9.7等級の新天体を発見しました。 この天体は板垣さんや加藤さん、野口さんらによって確認観測が行なわれ、10等 前後の明るさで観測されました。野口さんによる観測によると、この天体の正確 な位置は 赤経: 18時 02分 53.58秒 赤緯: -29度 14分 14.2秒 (2000.0年分点) です。 この天体の分光観測は2月1.4日にチリにある口径4.1m SOAR望遠鏡によって行な われ、この天体のスペクトルには水素のバルマー系列や中性の酸素・ヘリウム、 一階電離した窒素・鉄の輝線がみられることが分かりました。これらの特徴から この天体が古典新星であることが判明しました。 vsolj-obs MLに報告された観測結果によると、この天体は発見直後から2月上旬 までの間にゆっくりと暗くなっており、1月28日にはVバンドで11等台前半、2月 11日には11等台後半で観測されました。 この天体の位置は赤色変光星OGLE-BLG-LPV-190334 の位置に近く、この天体が 増光前の天体かどうかや明るさやスペクトルの変化など、今後の観測結果が注目 されます。 2024年 2月13日 参考文献 CBAT "Transient Object Followup Reports" PNV J18025353-2914151 Strader, J., et al., 2024, ATel #16428