第2章 航空路の需要予測と採算性

1. 那覇−上海便の輸送能力

 仮に那覇−上海線を一日1便、週7便往復で運行するとする。使用機材をボーイング社の767もしくはエアバス社のA300クラスの中型機とすると、一回当たりの乗客数は約300人弱である。これが1年間だとその365倍、約10万人となる。つまり、毎日就航の中型機1便の年間輸送能力が約10万人ということである。もちろんこれは片道当たりの輸送力だが、多くの人が出発地にまた戻ってくるのを考えると、これは往復ののべ訪問人数にほぼ対応するはずである。

2. 採算ラインの輸送人数

 厳密に採算ラインを想定するのは難しいが、一般に7割の平均輸送量があれば優良路線とされているので、この7割を採算ラインとみなすことにする。すると、上記の条件の輸送能力なら、1便当たり7万人の年間輸送人数を確保することが当面の目標になろう。 

3. 利用客別需要予測

 a. 台湾からの旅客

 現在、もっとも大きい需要が見込まれるのが、台湾から中国へ向かう人、特に華東・華北・東北及び北西地域へ向かう人についてであろう。具体的には、上海や北京に向かい、そこから必要に応じて中国の国内線に乗り換えるという事になるだろう。華南地域や南西地域へ向かうなら、これまでの殆どの人がそうしてきたように、香港経由のほうが便利だからである。

 1996年現在、台湾から香港経由で中国を訪問する人数は、1年間のべ約150万人(第6表)。すると、このうちの約5%が沖縄経由に流れれば、十分に1便分の採算が取れることになる。これまで述べてきたように、台湾発沖縄経由の中国行きは、条件さえ整えれば、十分に香港経由に比べて競争力があるのであり、この数値は十分に達成可能であろう。むしろその数倍の需要が見込まれると思われる。それに向けてクリアすべき条件については、後程詳述することにする。

 b. 中国からの旅客

 1997年の台湾の統計によると、中国から台湾への入境者数は、55,054人である(第8表)。このうち1割強の7,000人が沖縄経由で台湾入りするとして、やはり1便年間7万人の1割のシェアを占めることになる。

 そのほか、最近特に上海などの大都市で増加してきている富裕層の動向も無視できない。例えば上海では、少なく見積もっても人口の1%程度は十分に海外旅行が可能な程度の所得水準に達していると思わる。上海の定住人口は約1,300万人なので、その1%なら13万人は、潜在的な海外旅行人口と言えるだろう。もし、那覇−上海線が開設され、ノービザ渡航が可能になるか、もしくはビザの取得が容易になれば、沖縄は、富裕な上海市民にとって、最も気軽に行ける海外リゾート地の一つとして浮上するに違いない。仮に富裕層の5%強が沖縄を訪問することになれば、やはり7,000人で、1便年間7万人の1割のシェアを占めることになる。

 ちなみに平成7年度の台湾から沖縄への観光客数は100,327人である。(第3表)台湾の人口は約2,000万人。上海のそれは約1,300万人。実に台湾の7割の人口規模を持つ。しかも、周囲の江蘇省や浙江省も中国の中では相当裕福な地域である。将来の経済発展につれて、潜在的に上海及びその周辺地域からこの台湾からと同等程度、もしくはそれ以上の沖縄への観光需要が見込まれるであろうことも付け加えておく。

 c. 沖縄からの旅客

 平成7年度の法務省の統計によると、沖縄から中国に向けて出国した出国者数は、3,793人である(第2表)。ちなみに台湾へは16,044人、香港へは7,123人、韓国へは5,792人である。このうち、台湾・香港・韓国へは、すでに沖縄からの直行便がある。もし、那覇−上海線が開業すれば、沖縄から中国へ向かう利便性が飛躍的に改善されるので(これまでは、香港経由もしくは福岡経由などを利用するしかなかった。)、少なくとも、香港・韓国線程度への利用者数が見込まれるであろう。約7,000人として、1便年間7万人の1割のシェアを占めることになる。

 d. 日本本土からの旅客及びその他の相乗効果

 そのほか、那覇−上海便が開設されれば、本土から海外へ行くのに沖縄経由で行こうという客も増え、また、海外から第三国へ向かう客が途中降機で沖縄に立寄り、相乗的に沖縄への観光客が増えることが見込まれよう。

 

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