次に光吸収をどのように考えるか、また今回のDV-Xα法でどのように計算したのかを簡単に述べます。分子中には電子が詰まっている軌道「被占軌道」と、電子が詰まっていない軌道「空軌道」があります。物質に光が当たると、被占軌道にある電子が光のエネルギーを吸収し、よりエネルギーの高い空軌道に移動する場合があります。これが「光吸収」となります。
今回の計算で、光を吸収する前の状態を「始状態」、光を吸収した後の状態を「終
状態」とすると、始状態から終状態うつる中間的な状態を考えることができ、これを
「遷移状態」と呼びます。 これはスレータにより、提案されたもので今回の計算ではこの遷移状態をとりいれました。
光吸収は、この分子軌道間のエネルギーが、光のエネルギーと一致する場合のみ起
こります。つまり、分子軌道間のエネルギーを調べることで吸収波長を求めることが
できます。また、光吸収の強度は、被占軌道から空軌道へ電子が移動する確率、いわゆる「遷移確率」から算出できます。
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