6 分子モデル

 次に実際に計算に用いた分子のモデルについて説明したいと思います。図で示したのはアセチルアセトンで安定化したアルミニウムプロポキシドのモデルです。これは分子モデリングソフトであるChem3Dで作成しましたが、画面上で組み立てた分子は、はじめは最も安定な構造になっていません。そこで、原子の結合距離や結合角を調整し、エネルギー的に最も安定である構造を求める操作が必要となります。これが「構造最適化」です。この分子はPM3法を用いて構造最適化しました。また、チタンはd軌道を含む遷移金属で、PM3法が使えないため、これらの元素にも適用できるMNDO-d法で構造最適化しました。
 このモデルのうち、この部分がβ-ジケトンで、中心の金属をカニのはさみのようにはさんでいます。これをキレート環と呼びます。今回の計算では、アルミニウムアルコキシドでは、図のRで示した、置換としてエトキシ基をはじめとするここでしめしたものを用いました。またチタンアルコキシドでは、エトキシ基、メチル基、フェニル基の3つについて計算を行いました。

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細見 隆昭 <E-mail hosomi@hi-ho.ne.jp