7 分子軌道のレベル図

 このようにモデリングした分子について、DV-Xα法で第一原理計算を行いました。計算結果の一例として3種類のAlアルコキシドの分子軌道のエネルギー準位図を示します。
 図中、実線が電子の詰まっている「被占軌道」、点線が「空軌道」を示しています。被占軌道の中でも一番エネルギーの高い軌道を、「最高被占軌道」(HOMO)といいます。また、空分子軌道で一番エネルギーの低い軌道を、「最低空軌道」(LUMO)といいます。これら3種類のエネルギー準位図をみるとLUMOのエネルギーが、2.21,1.77,1.37と変化しており、これが紫外可視吸収スペクトルにみられる吸収ピークの位置に影響すると考えられます。
 また紫外可視領域の光は、6eV以下のエネルギーを持ちますが、このエネルギー差を持つ分子軌道の組み合わせは、HOMO-LUMO付近の数通りしかありませんでした。さらにHOMO付近の分子軌道の成分を調べると、アルコキシド内のキレート環を構成する原子の軌道が多く関与しており、光吸収は、主にキレート環によるものであることがわかりました。光の波長と電子のエネルギーには、このような関係がありますので、この結果から次に吸収スペクトルを求めました。

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細見 隆昭 <E-mail hosomi@hi-ho.ne.jp