9 チタンアルコキシドの吸収スペクトル

 チタンについても同様の計算を行いました。先ほどと同じように、上には計算値を、下には実測値をしめしています。アルミニウムアルコキシドの計算結果から、遷移確率を考慮しないでも、実測値とよく一致することがわかりましたので、ここでは状態密度図を吸収スペクトルとして示しています。
 Tiの最も長波長側の吸収スペクトルの計算値は、ベンゼン環を置換したもので357nm、実測値は359nm、メチル基を置換したもので342nmと335nmになり、Tiの場合にも計算値と実測値の違いは10%内の誤差で、よく一致していることがわかりました。実測値には、左上がりのバックグラウンドが見られますが、これは薄膜を形成した際にみられる酸化チタン(TiO2)による吸収端が観察されたとかんがえられます。
 このように、今回の方法で、Al、Tiなどの金属の種類にかかわらず、アルコキシドの紫外可視吸収スペクトルを理論的に求められることがわかりました。

9

[1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11]
[←もどる] [次へ→] [TOP PAGEにもどる↑]
細見 隆昭 <E-mail hosomi@hi-ho.ne.jp