馬 鹿




談話室の前を通りかかったら、やたらにぎやかだったので、なにげなくのぞいてみた。
すると藤代、笠井をはじめ、2年生が5〜6人、わあわあ騒いでいた。
ああ、いつものメンバーかと思い、そのまま行き過ぎようとした時、目ざとくも藤代と笠井が声を掛けてくる。
「あ、センパイ、三上センパーイ、一緒にどうですかあ♪」
あーあ、つかまった。
ちょっと面倒だな、と思いつつも、別に無視するほどでもない。
暇なので相手するのも悪くない。
なので、ぶらっと立ち寄る事にした。
「何やってんだ」
「背中の字当てでーす」
また子供っぽいアソビだな。
「誰がそんなのやろうって言い出したんだよ」
「藤代」
全員が指差す。
そうだろう。
無言でうなづき、納得。
「あ。バカにしますけど、けっこう難しいんですよ」
笠井が口をとがらした。
「じゃあ次な、これ」
背中に指で、幾つかの文字を書いている。
「・・・・・わかった」
「何?」
「緑」
「ハズレ。縁」
なるほど。
だいたいわかった。
「・・・・・・って言うか、わかるだろう、それは」
「わかりませんよ。ホントにけっこう難しいんですから。なんならセンパイも挑戦しますか?」
藤代が、いたずらっぽく、にっと笑った。
そういう言い方をするのが一番三上をのせやすい事を知っている。
「じゃっ、まーまー、座ってください♪」
言われるままに談話室のソファに座らされる。
「おれは漢字には強いぞ」
「知ってますよ。漢字と数字では誰も勝てると思ってません」
2年生は輪になってじゃんけんをしている。
「じゃあ、俺から。失礼します」
1人が三上の背中に指を当てた。
「・・・・・・・・・鹿児島」
おお、と、どよめき。
「なんだよ。こんなくらいならわかるだろ」
「っていうか、背中に書くと意外にわかりにくいんです。さっき、全員出来なかったんですよ、これ」
レベル低いじゃん。
「じゃあ、次いいですか?」
次の1人が代って背後に立つ。
「・・・・・・・・伝統」
「三上センパイ、ホントに強いぞ」
ざわざわざわ。
「もっと難しいの出せよ」
調子に乗って、そんな事を言ってみる。
「なんか、難しいの、お前、知ってる?」
「さっきのほかに誰も出来なかった奴は?」
「・・・・そーだ♪」
藤代が1人の耳元にぼそぼそと何事か耳打ちする。
「・・・・・・・え・・・・・?やだよ、俺そんな事書くの」
「ダイジョーブって♪」
そう言って、藤代は、自分で、三上の背中に指を当てた。
「・・・・・・桜・・・上水・・・・おい!てめえ、嫌がらせだろう!」
ぼかっ、と、振り向きざまに藤代の頭をはたく。
「もっとまともな問題出しやがれ」
ぷいと振り向いて、もう一度背中を向ける。
「まともな問題ねー」
藤代は、ちょっと考えてから、仲間を振り向き、ちょいちょいと呼び寄せて、何事かささやいた。
「・・・・・・ええっ!?それは止めたほうが・・・・」
「いいからって」
ひそひそひそひそ。
「おーい。作戦会議かよ」
「いえ。まとまりました」
藤代、止める友人をいなしてハデな蛍光ピンクのマジックを握った。
「スキ セックスしたい」
と、三上の背中にしっかりと書き込む。
一同、声も無く真っ青。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
三上は黙り込んでいる。
「わかりました?センパイ♪」
藤代は何事も無かったかのようにマジックをもとにもどすと三上を覗き込んだ。
「・・・・・・・俺の読み違いだと思うけど・・・・・・」
「いえいえ。多分正解です」
「・・・・・・・・そうか」
ゆらっと、座った目つきで立ち上がると、どん、と藤代を突き飛ばしてソファに座らせる。
「俺が問題を出してやる」
一同は、物も言えずに固唾を飲んで見守っている。
三上はこれもまた物も言わずに目に付いたマジックを手に取ると、
「馬鹿」(←達筆)
と藤代の背中いっぱいに大書した。
「・・・・・画数の多い漢字ですね」
「へっ。てめえに読めるかどうかはわからねーけどな」
ぺいっとマジックを放り投げるとそのまま談話室をどすどすと出ていってしまった。
「フン!」
と、捨てぜりふを忘れずに。
「・・・・・どうするんだよ」
「あのままいっちゃったぜ」
藤代は、別に気にするでもなく、ぺろっと舌を出した。
「だーって、好きなんだもーん」
誰も、藤代の背中に突っ込める者はいなかった。


もちろん三上の背中に突っ込める者もいなかったと見えて、夕食の時、そのままの服で食堂に現れた三上を2年生数名は、 恐怖のあまり正視できなかった。
その日、消灯時間になってから三上の部屋から悲痛な叫びが聞こえたと言う。
・・・・誰か、ツッコンでやれよ。






=Fin=


  ◇コメント◇

別にエッチも無いし、面白くも無いし、何と言う事も無いです。 なんで出したか、というか、なんでこんなの書いたのか自分でも分からないし。
多分寝ぼけてでもいたんでしょう。もちろん厳正なるジョーダンです。いかにも左手で書いた的なアホアホSSですよね(笑)
ところでなんでそんなに藤三ばっかり続いて書いてしまったんでしょう。
自分でも、分からないんですけど、別に藤三推奨とかではない事は確かです。




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