【1989年5月24日の報道】


事件の背後に社会の欠陥が

会社役員 長谷川 紀男(船橋市48歳))


 貴紙カメラマンによる、沖縄・西表島のサンゴ損傷と写真ねつ造事件は、誠に不幸な出来事でしたが、私は、二十日付朝刊で、貴紙がその非を全面的に認め、謝罪された勇気を 高く評価し、引き続き貴紙を愛読していきたいと思っています。

 このような出来事は、私たちが体験している現代の非常な競争社会の中では、いつ、 だれの身にふりかかってきても不思議ではないのかもしれません。
 したがって、私自身、このカメラマンを責める気にはなれません。

 おそらく、この人は、大変責任感の強い人で、「高い取材費を会社から出させて、自分の見込み違いで記事に なりそうもない。どうしよう?」というアセリから、つい、魔がさしてしまったのでしょう。

 人の非を責めるのは簡単ですが、この事件を契機として、私たちは、その背後にある、 もっと本質的なもの――現代の社会システム全体の欠陥――といったことに、早く気づく 必要はないでしょうか。

 貴紙が率直な謝罪に踏み切られたことは、貴紙の新聞人としての良心が健在であることの証左でもある、と私は考えます。

(1989年5月24日 富山版)


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