2005/9/6

 
  カステラの耳  
 
 お盆の頃には 婆ちゃん(母の母)の仏壇にお参り方々 母の里・明石で

明石焼を食べるのを恒例としております

母と奥方様3人連れ 毎年の様に店替えて 口に合う味 追い求めて

かれこれ15年 年々粉ぽい味になって来てるのが心残り 

明石焼と言えば 卵にダシが絡み タコを具にして 表面のみ焼たのを

だし汁に浸して 食すのが明石焼 卵とダシをけちればタダのタコ焼



食べ終わり 最近TV報道&旅行本などで有名な“魚の棚商店街”へ

東入口角に昔からの和菓子屋さんが今も繁盛してはります

私5歳の頃 婆ちゃんに連れられ 裏口で新聞紙に包んだカステラの耳

(食パンの両端部ヘタと思っていただければ 感覚がつかめます)

婆ちゃんは押戴く様に買い 一切れを私に持たしてくれるんです



私「婆ちゃん おいしいねー」

婆「文ちゃん 大人に成ったら 本物のカステラ買える様になりよー」

 

ここに来たら毎回の様にカステラの耳をねだってましたが 望みが適うのは

たまにでした 婆ちゃん死んで17年 思い出したが吉日

正面入り口より入って カステラ1本箱入りを注文 紙箱は更に包装され

手提げ紙袋に入れて御代が 金1.050-也 安い

戦争には負けたけど 日本全体が裕福になったんですねー

衣・食・住 どれにも不自由せん世の中 有難い事です

礼節もやがて付いて来るハズ



日頃買慣れんカステラ買うのを見た 奥方様が



奥「どうしたん カステラなんか買うて」

私「婆ちゃんのお供えにと思うて」

奥「めずらしいねー」

私「いやー 50年ほど前に……..」



それ以上は声にならず 景色がかすむだけでした。