生涯学習とアマチュア無線

 JF3MXU 西川 敏弘


資格が必要な趣味

 アマチュア無線(ハム)は趣味の一つであり、生涯学習とは一見無関係な存在と思われる方が多いようです。勿論アマチュア無線も単なる連絡手段として割り切って考えれば生涯学習とは関係はなくなってしまいます

 ご存知のようにアマチュア無線は始めるのに国家資格である第4級アマチュア無線技士以上の資格が必要で、見知らぬ人との交信を楽しむというイメージは定着しているようです

高度情報通信社会とハム

 そして最近は携帯電話やインターネットの影響で若年層のアマチュア無線離れということもいわれていますが、「通信」を楽しむ趣味という事には違いありません

しかし、ハムはコールサインという出所を明らかにした実名通信が基本であり、また「不確実な通信」を楽しむ趣味であるという決定的な違いがあります

 つまり携帯電話などプロ通信では「確実な通信」を目的とするため無線のプロが研究し回線を維持管理していますが アマチュアでは自分で電波を発射し、交信相手もたまたま偶然的に交信できたということに意味を持ちます。このような経験はプロになる前段階としての電波実験や自分で作成した無線機やアンテナの研究や実験をするのにはアマチュア無線が役立ちます

 このようにプロになるためのアマチュアという位置づけは非常に大きいものがあります

 そして交信内容も 技術的な話題も多いだけでなく、さまざまな文化の集大成であることがわかります。たとえば海外と交信するためには外国語もある程度必要になったり、交信相手の地理的知識など、さまざまなことを実践的に学ぶことができる趣味といえるでしょう

 またエレクトロニクスホビーの世界ではアマチュア無線は定番中の定番ですが、そのため現在はプロでも、アマチュアは趣味として続ける方が多いのです。特に技術革新の早いこの電子分野では情報入手手段としてのアマチュア無線、技術者のステータスとしてのアマチュア無線の世界が存在します、さらには生涯学習手段としてのアマチュア無線活動の位置付けもあります

 特に電子通信関係では業務独占資格が多数ありますが、アマチュア無線を足がかりに学習し取得される方が多いようです。このようにアマチュア無線が通信ライセンス取得のきっかけとなった事例が多いようです

 雑誌、電波受験界には毎号プロ資格の合格体験談などが掲載されますがアマチュア経験者が大半という傾向があります

 このように、アマチュア無線は電子通信技術の世界では生涯教育の一分野としての地位が確立されつつあるように思えます

 


平成10年8月更新

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西川敏弘 jf3mxu@hi-ho.ne.jp