近畿大学 通信教育部補助教材「梅信」286号より

近大通信教育をふりかえって

近畿大学法学部卒業証書

(法学部卒)西 川 敏 弘




近畿大学教材表紙

この記事は 私が会社員時代 働きながら大学通信教育を受講し、卒業時機関紙に体験談が採用されたものを一部加筆・修正したものです

 近畿大学法学部に3年次編入生として入学を許可されたのは昭和58年4月のことでした。

 家電メーカーの製品設計エンジニアとして勤める(注:当時 現在は高校教員)私にとって「法律」とは、空気の様に、必要性は感じるものの、掴み所の無い漠然とした存在でした.

 

 たとえば、設計業務には特許、実用新案と密接な関係があり、私自身、発明考案者として出願し、「権利」を取得することも多く、又、製品の安全面に於いても各国の技術基準法会に適合した設計と徹底した工場管理を行い安全規格(米のUL、英国のBSI等)を取得する事も、製品設計者の重要な仕事となっています。

 このように、技術者といえども単に工学分野だけを知っておればよいという訳ではありません。

 特に、私の様な“商品”を担当するものにとっては、設計が、製造と直結しており、複雑な社内外との接渉を行わなければならないという宿命があります。

 たとえば、部品採用時には、技術的な検討だけでなくコスト、納期、品質面等、私自身の要求をもって交渉を行っていかねばならず、内容も実に厳しいものです。

 交渉は、すべてが良い話である訳も無く、自分白身の知識の中から、常識とか、誠意という判断基準をもって対応はするのであるが、法を知らない事が、とんでもない事を起こすのではないかという危機感をもっていたので、法律を体系的に学びたくなったというのが、動機の一つでした。

 しかし、この様な“仕事に関連した動機”だけでは、自分自身、長つづさする訳は無いことはわかっていました。私の場合、通信教育で学校教育を受けることも初めてだった事でもあり、アドバイスしてくれる友人もいませんので、何かの楽しみを持ち、自分なりに通信教育教育を理解していこうと考えました。(このことは今になって正しかったと思っています)

 ここで私の考え方を紹介します。(今後の学習に少しでも参考になれば幸いに存じます。)

 

(1)目標は卒業であり単位取得である

 入学時の“動機′は「仕事に生かす」、「生涯教育」であったとしても、入学後は“単位”というものに執著する必要があります。「生涯教育」等という思い込みがあると、単位を取得するということを軽視しがちであり、つい自分の主張を通したくなります。(私も経験あり)

 ところが、単位というものは卒業要件の基本であり、取り残すと不利益こそあれ、何のメリットもありません。

 学習の質とか、自分の求めていた内容と連うという不満があっても、とりあえず与えられたものを、こなしていかなければ、前に進めません。

 単位取得を軽視する意見は良く聞きます。たしかに、単位取得のみに限った勉強も問題がないとは言えませんが、単位がとれずにイヤ気がさした為、学校と縁が薄くなった人も多いと聞きます。逆に言いますと、単位がとれていると“むずかしい教科”も卒業の為意欲も出てさます。このように「単位」は、ふしぎな力を持っているのです。極論を申しますと単位を取るのを趣味と考えたら良いのです。

 

(2)成細を良くすることを考えない

 はっきり言ってキライな教科は「可」が取れるぐらいの学習をすれば良い。

(もちろんペストをつくして)

 そのかわり、自分が必要と思う教科ま自分の納得がいくようにやること。職業を持つ者として「オール優」をねらう必要が自分にあるか、それが可能かを客観的に考えれば答えはすぐ出るはずである。

(3)遺倍数育生活を楽しみ、自分の趣味と関係づける

 このことについて私の実践を紹介してみよう。

 人間というものは勝手なもので、自分の趣味、道楽でやっているものは苦しいと思わず、楽しんでやっています。たとえば、山登りが趣味の人を想像して下さい。

 結局は、価値感の問題ともつながると思いますが、“勉強”とかいうように、カチンコチンとなって取り組む意気込みも、ある程度は必要ですが、“遊び”、“趣味"という側面も無ければ、息ぐるしいものになってしまうと思います。また、今までの生活の中で行ってきた既存の趣味などとの調和が必要であると考えます。

 

 私の場合、趣味は多いのですが、次の趣味は長く続くもので生活の一部ともなっており、大学通信教育といかに結びつけるかが、大さなポイントでした。

 

(趣味1)アマチュア無線、パソコン

 この分野は、中学校時代から続くもので、いわゆる「ラジオ工作少年」として育ち、これが職業を選択させた原因となっています。

 

 このため、私の名別には、コールサイン「JF3MXU」という文字が印刷されており、スクーリングで、多くの同じ趣味の人を見つけることが出来た為、このことが新しい楽しみとなりました。

 

又、パソコンでは、スケジュールや単位取得計画のプログラムを組み、実践に生かすことができました。

(試験番号予測プログラムを作りかけておりましたが、見手に失敗したという笑い話もあります。)

 

(趣味2)ライセンスハント

 私は、いわゆるライセンスハンターであり、電子関係を中心に、年齢の2倍をめやすとして、各種資格、認定書などを取得することを趣味としています。しかし、これもここ数年頭打ちとなり、新しいジャンルへの進出を計画しておりましたが、工料系出身の為、受験資格という壁がありました。

 今回、法学部の卒業により受験資格や基礎知識が得られたものがありますので、ゆくゆくはチャレンジしてゆきたいと考えています。

 このような意味でも、趣味と大学通信教育の接点を見つける事ができ、それが意欲につながったものと確信します。

 しかし、本来の専門分野である電気、電子、通信、情報等の分野では、大物資格を残しており、これも頑張らねばならず、この趣味の悔みは永遠に挽きそうです。

(3)多くの友人を作る

 これは、アマチュア無線の趣味とも関連深いのですが、いろいろな年齢層、職業の人と知り合い、交流を深めることによって、自分自身の考え方や、物の見方を確立していこうと思っております。とかく視野というものは、狭くなりがちです。

近大通信教育では多くの困難を克服し、頑張ってこられた方と知り合うことができ、いろいろな意味で勤まされてきました。

 私自身、学習会へ本格的に参加し出したのが最後の一年間だけでしたが、なぜ、もっと早く参加しなかったのかと後悔しております。

法学部卒業後商経科も卒業・学習会の貢献で大学より表彰も受けた

最後に、

 近大通信教育は、働きながら大学教育を学ばうとする者に対して多くの配慮が行われており、頑張れば実が結ぶシステムが確立されている。また、少しでも多くの人が大学に親しめるよう、クラブ活動、見学会などの行事が実施されている。

このように、人間味ある作風が、ようやく理解できてきたところ、卒業となり、うれしさの中にも、名残り惜しさが同居している状態です。

 各先生、事務局の方々には本当にお世話になりありがとうございました。学んだことを、当初の目的通り、仕事に生かし、社会に貢献していさたいと思います。

私が働きながら取得した大学・短大の4枚の証書のうち2枚(2校目と3校目)は近畿大学の通信教育のもの。大学通信教育で社会科の免許や司書教諭をいただいた。その他取得した法律資格は行政書士程度しか取得できず、結果として自分は情報電子関係の方が向いているという自覚が生まれた


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西川敏弘 jf3mxu@hi-ho.ne.jp