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ボーン・コレクター |
《Story》 誘拐、監禁、そして骨の髄まで恐怖を味わわせてから命を奪う、残虐非道な手口の殺し。それは、想像を絶する連続猟奇殺人事件。恐怖に震えるマンハッタンで次々と発見される、人間の形を成さない、異形の屍。現場に残される、次の犯行を暗示する奇怪でミステリアスなメッセージ…。悪魔の巧妙さで“死のゲーム”を仕掛けたシリアル・キラーに挑むのは、ズバ抜けた鑑識能力を持つ科学捜査のエキスパート/リンカーン・ライム。そして、事故で手足の自由を奪われた彼に代わって凄惨な犯行現場に赴くうちに、天才的な嗅覚を発揮し始めるパトロール警官アメリア。二人の緊迫した駆け引きによる現場検証、様々なハイテク機器を駆使した物的証拠の分析は、やがて、捜査線上に1900年代に書かれた忌まわしい小説を浮かび上げる…。 《Review》 “連続猟奇殺人”“1900年代初頭の小説”。ありきたりと言えばありきたりだが興味をそそられる題材ではある。しかし、残念なことに細かなところが描ききれていないので“目に見えない恐怖”が伝わりにくい。犯人の動機など、今ひとつ納得いかない点が多いのも気になる。一つ一つの出来事や動機など、徹底的に詰めて行けば作品に深さが出たはずだ。一人一人の人物設定も表面的にはできているのだが、人間のもつ“トラウマ”や心の奥底に潜む“なにか”が描ききれていない。 このような連続猟奇殺人を題材にする場合、本当の恐怖は殺人が起こっている瞬間ではなく、殺人と殺人の間の静寂感にあると思う。そういう点でこの映画はその静寂感があまり感じられない。殺人と殺人の間は謎解きに終始してしまっていて、本当の恐怖が伝わってこない。映画としては単純で分かりやすくはなるのだろうが・・・。 俳優人にも目立って“イイ芝居”を見せている者はいない。ライム刑事を演じるデンゼル・ワシントンは無難な演技をしているが、見せ場という見せ場は少ない。次回作「ハリケーン」に期待か?、アメリアを演じるアンジェリーナ・ジョリーも頑張ってはいるが、彼女でなければダメという感じでもない。 全体的に無難に仕上がってしまい残念な気がする。もっと深く追求し、シナリオを練り直し、テーマをもっと“心理的恐怖”に絞っていけば、イイ映画になったのではないか?という気がする。 |