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ひかりのまち |
《Story》 11月のある週末。ソーホーのカフェで働く27歳のウェイトレス、ナディアは、伝言ダイヤルで恋人を募集中。今日はカメラマンのティムとデートの約束だ。誰かそばにいてほしい、でも誰でもいいわけではない…。 姉のデビーはバツイチの美容師。9歳になる息子ジャックと暮らしているが、夜遊びに余念が無い。 元教師の妹モリーはもうすぐ出産。でも夫のエディは、なぜか最近うかない顔だ。 両親は愛情を見失いかけている。家出した弟ダレンのことでなじりあってばかりいる。 いつもと変わらない週末。幸福と愛を求めてさまようナディア。ロンドンの街の灯はそんな彼女をやさしくつつみこむ…。 《Review》 ロンドンには不思議な魅力がある。古臭さと新しさが雑然と同居していて、どこか人間臭さを感じる都会だ。この街のもつチカラがこの映画には感じられる。 必ずしも皆が“面白い”という映画ではないだろう。ただ、人をきちんと描き、その街と時代を描ければ、映画としてはだいたい成功だと思う。この映画はそんな映画にきちんと仕上がっています。 何気ない日常のなかでも、ちょっとしたことで人は悩み、傷つき、そして喜びを感じながら生きている。それが本当のドラマなのかもしれない。そしてこの映画はそれをきちんと描いている。なにか特別なことが起こるわけではないが、それがかえってリアルなものになっている。人々の小さなドラマの背景にはいつも“ひかりのまち”ロンドンがやさしく人々をつつみ込むように静かな光を放っている。なかなかの秀作です。 |