公式サイトへGO! 海の上のピアニスト
The Legend of 1900

1999 USA/ITALY
2h05m

Starring: Tim Roth, Pruitt Taylor Vince, Melanie Thierry, Clarence Willams V, Bill Nunn
Director/Screenplay: Giuseppe Tornatore


Rating: ★★★


海の上のピアニスト 公式サイト ↓
http://www.asmik-ace.com/LegendOf1900/index.html


《Story》
〜太西洋で生まれ、一度も船を下りたことがないピアニストの伝説。〜

1946年。裏通りにある楽器屋に一人の男が入ってくる。「この大切なトランペットを買ってほしい」。思い出に満ちたそのトランペットを手放す前に、もう一度だけ演奏をし、かつての友人の物語を語り始める。
 1900年。大西洋を航海する豪華客船ヴァージニアン号は多くの移民たちをアメリカに運んでいた。ある時、ダンスホールのピアノの上に置き去りにされた赤ん坊は1900(ナインティーンハンドレット)と名付けられた。時は流れ8歳になったナインティーンハンドレットは何かに導かれるようにダンスホールのピアノの前に座り、世にも美しい旋律を奏で始める。やがて彼は青年になり、淡い恋をする。船上の天才ピアニストとして評判になった彼に、友人たちは船を下りるよう勧めるが、彼は頑なに船を下りることを拒む・・・。

《Review》
 期待が大きかったせいか、やや情緒に頼った表現で感動させようと言う意図が少々押し付けがましく感じるところもある。終わらせ方にも少々疑問が残る。しかし全体としては、かなり丁寧に作られており、見ごたえのある作品に仕上がっている。
 「いい物語があって、それを語る人がいるかぎり、人生、すてたもんじゃない」。映画の中でナインティーンハンドレットが友人に対し言った言葉である。太西洋で生まれ、一度も船を下りたことがないピアニストの伝説は、社会との関わりを頑なに拒否し続けた男のせつなくも純粋な物語である。
 ドラマとしてかなり丁寧に描いているので、ウソっぽいシーンでも説得力をもって伝わってくる。主人公が嵐で大揺れの船内で、ピアノのストッパーをはずしダンスホール中を滑りながら演奏するシーンは一見ありえない光景だが、圧倒的な表現力で観客を魅了している。高い演出力がなければできない技である。
さらに役者がいい。特に主演のティム・ロスはいい。器用な役者である。「フォールームス」では”やりすぎ”の感もあった演技がここではシンプルに抑えた演技になっている。閉ざされた空間の中でしか自分を表現できなかった男の微妙な気持ちの変化を実に丁寧に表現している。

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