みなみ歯科医院
 
 

Tips

1.フッ素とシーラント

 フッ素によるむし歯予防法は昔から行われており、水道水に添加して予防効果を上げている国もあるくらい信頼性の高い方法です。我が国ではフッ素塗布とフッ素洗口が主で、歯科医院で行われているのは塗布による方法です。
 フッ素は自然界に広く存在するもので、普通の使用方法では全く害はありません。フッ素の歯に対する作用は、歯の結晶であるハイドロオキシアパタイトにとりこまれてフルオロアパタイトにかわることによって歯の表面を硬くすることで、とくにはえたばかりの歯に効果的です。
 ただし、いくら歯が硬くなってむし歯になりにくいからといって、むし歯の原因菌に作用するものではないので、はみがきが不十分で歯が汚れているとむし歯になります。フッ素は毎日のはみがきが行われていてはじめて効果があると考えたほうが良いでしょう。

 一方、シーラントは、むし歯になりやすい場所である奥歯の咬む面の溝を、むし歯になる前に特殊な樹脂(図の黄色部分)で埋めてしまう予防方法です。とくに溝が複雑で深く入り込んでいる
6歳臼歯には有効です。最近では材料の歯との接着性が良くなって、シーラントが脱落したり欠けたりといったトラブルも減り、またフッ素入りのシーラントも出てきたので、より効果的になってきました。

 ただ、もうひとつのむし歯になりやすい場所である歯と歯の間はシーラントで埋めることはできませんので、 日頃のブラッシングはもちろん必要ですし、デンタルフロス(糸ようじ)を併用すればなお良いでしょう。
 
2.キシリトールと甘味料

 最近、ガムなどを中心としてキシリトール入りの食品をよく目にするようになりました。キシリトールは北欧などでは古くから砂糖にかわる代用甘味料として長年使われており、それなりの効果も認められています。
 
同じ甘いものなのに、なぜ砂糖はだめでキシリトールなら良いのでしょうか?それは、簡単に言うと砂糖はむし歯をつくり、キシリトールはむし歯を予防するからです。
 
口の中は細菌だらけです。そのなかでむし歯菌として知られるミュータンスレンサ球菌は、砂糖を原料に粘着性の強いグルカンを産生し、歯の表面にくっつきます。それは他の細菌とともにプラークと呼ばれる細菌の塊を作ります。プラーク中のミュータンスレンサ球菌は、砂糖などの糖類を代謝して、最終的に酸を外に排出します。この酸が歯の表面のエナメル質を溶かして(脱灰といいます)むし歯を作っていくのです。

 
一方、糖アルコールのひとつであるキシリトールは、ミュータンスレンサ球菌による糖類の代謝を阻害し、結果として酸の産生を抑制します。また、キシリトールには再石灰化の促進作用(脱灰されたエナメル質に再びカルシウムが取り込まれる)、とミュータンスレンサ球菌の増殖抑制作用が知られており、これらの作用が組み合わさって、むし歯の発生を抑えるのです。
 
キシリトールは天然の甘味料ですから合成甘味料とちがって副作用も少なく、これからのむし歯予防には大変有力な手段となっていくでしょう。
 
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3.8020運動

 右の表は、我が国の年齢と歯の残存歯数の関係を表したものです。これによると、平均して50歳で25本(赤丸)、60歳で22本、このあたりから急に減少して70歳で15本、80歳で8本となり、80歳の人はほとんど総入れ歯か大きな部分入れ歯のお世話になっていることになります。

 北海道歯科医師会では8020運動、つまり「80歳で20本の歯を残そう」というキャンペーンを行なっていますが、実現にはまだまだ時間がかかりそうです。

 しかし、歯科の2大疾患であるムシ歯と歯周病は歯に付着したプラークが原因であることから、プラークの除去と歯のメインテナンスを徹底すれば、比較的早期に実現するかもしれません。そのためにはお家でのセルフケアと歯科医院による定期検診の2本立てが重要となるのです。



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