歯周病の治療について

 

 歯周病の検査、診断が行なわれたら、適切な治療計画を立てた後、治療に移ります。

 治療の基本は”原因の除去”、つまり歯周病の原因であるプラークを取り除くことです。

1.歯周基本治療

 プラーク除去のためには、自分自身で行なうセルフコントロール(歯ブラシ、歯間ブラシ、フロスなど)がもっとも大切で、これが不十分ですとその後の治療経過が悪かったり再発したりと、歯周病の治療全体にかかわってきますので絶対におろそかにはできません。

 セルフコントロールでは取りきれない場所(歯と歯の間や歯のつけ根など、凹んだり細かく入り組んでいる部分)のプラークは、歯科医院で行なうプロフェショナルコントロールで除去することになります。また、歯に歯石が付いているとプラークコントロールの妨げになるばかりでなく、歯肉への刺激により炎症を悪化させますので、早期に歯石除去を行ないます。

 咬合性外傷を起こしている咬み合わせの異常に対しても、咬み合わせの調整や歯の連結固定、補綴処置などで異常な力を取り除きます。

 以上の処置で歯肉炎やごく軽度の歯周炎は治癒に向かい、1ヶ月もすれば正常な歯周組織になることも多いのですが、それ以上進んだ歯周炎にはSRP(スケーリング・ルートプレーニング)やPcur(歯周ポケット掻爬)を行ないます。SRPは、歯周ポケット内に付着したプラークや歯石を除去し、さらに根面の汚染されたセメント質を取り除いてなめらかな根面にする処置です。PcurはSRPに加えて、炎症によってダメージを受けた歯肉のポケット内面の組織を除去する処置で、どちらも主な目的は歯周ポケット内のプラークコントロールにあります。

 以上のような歯周ポケット内外のプラークコントロールを中心とした処置は歯周基本治療とよばれ、歯周病の治療では基本となるものです。

 その後ある程度の治癒期間をおいてから、再評価のための歯周組織検査を行ない治療後の経過を判断します。この際にも歯周ポケットの深さは大切な判断基準となり、歯周ポケットが前回より浅くなっていたら治癒傾向にあるといえます。歯周ポケットが正常範囲(概ね3mm以下)になっていて他の症状も改善されていたら治癒と判定できますので、その後は定期的なメインテナンスに移ります。

2.歯周外科治療

 中等度から重度の歯周炎では、再評価の検査の結果歯周ポケットが深いまま改善されずに残っていることが少なくありません。このような歯に対しては、さらに歯周外科手術へ移行することになります。歯周外科手術には、歯周ポケット掻爬術、新付着手術、歯肉切除手術、フラップ手術などがありますが、いずれも歯肉にメスを加えて外科的に歯周ポケットを除去し歯肉と歯根との再付着をはかる方法です。

 しかし、高齢者などで全身状態が悪かったり外科的に切ることに抵抗感がある方や、一部に深いポケットが残っているものの歯周基本治療により多少の改善がみられる場合は、外科手術はせずに再度基本治療を繰り返したり、局所薬物療法を行なうこともあります。局所薬物療法は歯周病菌に対して抗菌作用のある軟膏(ペリオクリンなど)を歯周ポケットの中へ注入してポケットの改善をはかる方法で、1週間に1回の注入を合計4回行ないます。

3.メインテナンス

 歯周治療後の再評価検査によって治癒あるいは病状安定と判断された場合、その後は3ヶ月から6ヶ月ごとに定期検診のために来院し、プラークコントロールや歯石除去、さらには必要に応じて再度SRPやPCurなどの処置を行ないます。

 歯周病は病気の進行が何ヶ月、あるいは何年もの長期間にわたるものですし、治るのにも長い期間を要します。また、口の中のプラークを100%除去することが不可能な以上、つねに再発する危険性にさらされています。だから一通りの歯周治療が済んだ後も、自分自身によるブラッシングと定期的なプロフェショナルケアが再発防止のために必要なのです。

 なお、当院では”検診忘れ”を防止するために、定期検診の時期になると一人ひとりにはがきを出してお知らせしています。

 
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