インプラントはだれにでも入れられるのか

 

 インプラント治療を希望されても誰もが受けられるとは限りませんが、今では絶対的な禁忌症はかなり少なくなってきており、患者さんの治療や協力によって解決できる問題も少なくありません。ここではいくつかの代表的なリスクファクターを挙げておきますが、このうち複数のファクターが重なった場合は条件が厳しくなると考えて良いでしょう。


1.年齢〜年齢の上限はなく、日常生活が普通に自分自身でできる程度であれば可能です。一方、下限については、成長発育の終了時、つまりだいたい20歳以上が適応です。

2.全身疾患〜全身疾患の既往があっても、良好にコントロールされた状態であればインプラントは可能です。なかでも糖尿病と心臓疾患は、インプラント治療にとって特に注意が必要です。また、骨粗鬆症の治療薬として使われる「ビスホスホネート」は、手術により顎骨壊死の危険
があり、またステロイド製剤の長期投与でもリスクが高まるといわれています。

3.喫煙〜タバコも絶対的な禁忌ではないものの、リスクのひとつと考えられます。できれば手術の前後数週間は禁煙するのが望ましいでしょう。

4.顎骨の条件〜骨の幅、骨の高さ、骨の質により、リスクが異なります。幅はインプラントの周囲に1ミリメートル以上の支持骨が必要です。高さについては、周囲の解剖学的構造物(神経、血管、上顎洞、鼻腔など)を傷つけない範囲で長いインプラントを埋入しますが、一般的には10ミリメートル以上の長さがあると安心できます。顎骨の条件が悪い人でも、今では骨造成術、上顎洞底挙上術、抜歯即時埋入術などにより、リスクを軽減できることが多くなりました。

5.歯周病と歯ぎしりなどの悪習癖〜歯が失われた原因が歯ぐきの炎症である歯周病や、歯ぎしりや噛み締める癖などの過大な力ならば、その原因が残っていたらインプラントにも似たような機序が働くと考えられます。ただし、これらのリスクは術前に取り除くことも可能なので、それぞれのリスクの程度を把握し適切な治療方針が立てられれば、充分に対応できると考えられます。

 
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