咬合性外傷について

 

 咬合とは上下の歯列が咬み合わさることですから、単なる歯並びとは異なり口腔の咀嚼機能に直接関係します。ヒトの顎の関節は単なる蝶番運動だけではなく、下の顎が前後左右に動くための滑走運動を行ない、前歯で食物を引きちぎったり奥歯で噛み砕いてすりつぶすという複雑な咀嚼運動を行ないます。

 このような顎の運動のなかで、上下の歯は通常生理的な範囲内の咬合力によって機能が営まれますが、その力が過度に強くなった場合に歯周組織にダメージが生じ、とくに歯周炎と合併すると急激に歯周組織の破壊が進みます。これを咬合性外傷と呼び、歯周病の進行に強く影響する因子として十分な注意が必要です。

 咬合性外傷を引き起こす原因としては、一部だけが強く当たる咬み合わせの状態や癖、歯ぎしりや異常に強く咬みしめる癖、ブリッジや義歯の支台歯 、舌や唇の悪習慣などが考えられますが、歯周炎が進んで歯周組織が減ったり弱っている状態ですと、生理的な範囲の咬合力ですら外傷を引き起こす力としてはたらくことがあります。また、歯は縦からの力(垂直圧)には抵抗力が強く、横からの力(側方圧)には弱いという性質がありますので、歯ぎしりなどで横方向への顎の運動が頻繁に行なわれると咬合成外傷を引き起こしやすいといえます。

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